【ブログ】A-Trak:哀しみのMySpace

AOL ミュージック / 2012年4月27日 16時20分

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僕たちはソーシャル・ネットワークを早々に「終わった」と見限る時がある。実際数多くがここ数年で消えてなくなった。しかし、MySpaceほど急速にその評価を落とした存在もないだろう。今やMySpaceは「DeadSpace」と呼ばれる程だ。発音ができない「My_」というロゴに変更するというブランディングの見直しも無駄に終わった。徹底的な変更が行われる予定だとも言われているが、今回の記事はそのことについてではない。今回はMySpaceが音楽コミュニティに残した穴について話していく。

MySpaceは僕が参加した初めてのソーシャル・ネットワークだった。FriendSterについてはMySpaceに加わる前に参加をやめていた。というのは、オンライン上での友達を作ることは奇妙に思え、そして友達の友達をチェックすることが、結果的に人への粘着や、たかり、そしてソーシャル・クライマーへと繋がっていくと感じていたからだ。しかし、MySpaceにはミュージシャンにとっていくつかの便利な機能があったため、参加することにした。その機能のひとつは、イベントカレンダーだ。当時は2006年。僕は初めてのヘッドライナーとしてのツアーを行うことになっていた。日程だけではなくフライヤーも投稿することが可能で、また会場の変更や追加が随時行える点も魅力的だった。

MySpaceの機能性を調べていくと、自主活動をしているミュージシャン用の機能が丸々パッケージされていることに気が付いた。その中のひとつで驚きの機能だったのが、自分のページのレイアウトと背景を変更できるという点だった。自宅で廉価なソフトウェアを使って簡単に音楽が作れるようになったのと同様、自分のイメージ、ブランディングを自分でコントロールできるようになったのだ。ブランディングがバズワードになる前から、僕たちは基本的なHTMLを友人から学んで、MySpaceのページデザインをしていた。

例えば僕の友人Kavinsky(映画『ドライヴ』のサンウドトラックを手掛けている)は、彼は最もクールなデザインのMySpaceページを持っていたことから、2007年の時点で既にMySpace上では有名だった。一方Facebookの場合、全員が同じブルーとグレーのデザインになっていて、まるで郵便局のようなデザインだ。また、「交際ステータス」が原因で殺人事件が起きてしまうFacebookと比べ、MySpaceには「トップフレンド」というものがあった。これはネットワーク上で最も戦略的センスが問われるチェスというべきパートで、相互に選び合うことを期待しながらトップ8に誰を選んでいくかが、自分の世界の構築に繋がっていった。ここで友人、そしてその外側にいる友人、そしてちょっと変わった人たちを選ぶことで、自分のキャラクターの奥深さを表現していたのだ。

また、MySpaceにおける最大の特徴も今はどこも使っていない。Facebookのファンページをチェックしてみれば分かるが、自分の楽曲のアップロードができなくなっている。大抵のアーティストはBandpageというサードパーティーのアプリケーションを使用して、楽曲をSoundCloudなど他のソーシャル・ネットワークサイトから持ってこなければならない。この複雑性には驚きだ。MySpaceには独自のミュージックプレイヤーが搭載されており、6曲を選んで(これもまた戦略性が問われる)アップロードすることができた。またミュージシャンでない人たちはそこから1曲を選んで自分のページで使用することが出来たため、ミュージシャン側はその数を知ることによって、自分の楽曲の人気を簡単に知ることが出来た。

僕はレコードレーベル、Fool's Goldを経営しているが、MySpaceを元にして数多くのアーティストと契約してきた。優れたDJやラッパー、バンドがいると耳にすれば、単純にmyspace.com/アーティスト名とタイプして、彼らの日程や会場を知り、写真をチェックし、ウェブページのデザインから彼らの美学を垣間見ることが出来たし、ミュージックプレイヤーで彼らの楽曲は勿論、人気も知ることができた。しかしそのようなウェブサイトは現在どこにもない。SoundCloudやYouTube、Twitterを動き回ってデータを掴まなければならないが、僕はまだその効果的な方法を見つけていない。ということで、当然のことだが、2012年は誰とも契約していない。また、MySpaceの登場によってアーティストのウェブサイトを検索するということも忘れてしまう時がある。MySpaceの亡き今、MySpaceが業界に開けてしまった穴は大きい。

MySpaceが音楽コミュニティに持ち込んだものとして最後に挙げるのは、「コミュニケーション」そのものだ。メッセージは「友達」であろうとなかろうと、誰にでも自由に送ることができた。例を挙げると、Boyz Noizeというドイツ人アーティストがいる。当時の僕は彼の音楽とは違う音楽にはまっていたが、マイアミで彼のDJを聴いた時に気に入り、楽曲も良かったので、メッセージを送った。そして何回かメッセージをやりとりした後、彼は僕に1曲リミックスをやらないかと言ってきた。以上の全てはMySpace経由で行われた。そしてそのリミックスが後日リリースされ、その年の終わりにエレクトロニック・ミュージック界でいくつかの賞を受賞することになった。MySpaceのお陰だったというわけだ。今ではこのように知らない誰かにアプローチするためには、本名を調べて、個人名義のFacebookページに直接メッセージを送るか(これはかなり気持ちの悪い行為だ)、Twitterを使用してフォローをお願いすることでダイレクトメッセージを送るようにするしかない。これはまるで電報を送るかのような煩わしさだ。

この記事で言いたかったことは、別にMySpaceに復活してもらいたいということではない。それがMySpaceだろうと別のものだろうと構わない。ただ全体像がしっかりと見えるものにして欲しいというだけだ。

さて、Facebookのタイムラインを整理するので、ここまでにしよう。それでは。


(原文:Mourning MySpace)
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A-Trak
グラミー賞ノミネーションDJ。プロデューサー。リミキサー

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