【コラム】ミュージシャンの収入はブランド力とチーム次第

AOL ミュージック / 2012年8月3日 16時30分

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2011年、テイラー・スウィフトは5,700万ドル、リアーナは5,300万ドル、そしてケニー・チェスニーは4,400万ドルを稼いだとフォーブス誌が報じている。

また、団体Future of Music Coalition(音楽の未来連盟)は、アメリカで音楽家は平均3万4,000ドルを音楽から稼いでいるとし、そこから更にツアーやレコーディングの経費が引かれると発表している。

この格差を明確にしてみようという興味が生まれてくる。ある音楽家が大金を稼ぐ中、世に知られずにひっそりと暮らすことを強いられるミュージシャンもいるのだ。しかし、トップアーティストでも、レコードの売上は以前よりも大幅に下がっている。PwCの報告によれば、2007年から2011年にかけて、北米におけるレコードの売上は36%減少している。そしてデジタルでの売上がフィジカルの売上が減少した分をカバーしているわけでもなく、また今後そうなる可能性が低いのも明白な事実だ。

「300万ドルがレコードの発売前に前払いで支払われていたのはそう昔の話ではありませんが、もう起こることはないでしょう。もうこのような契約は存在しません」とエンターテイメント系の弁護士ダナ・ラポルトは語る。

業界の専門家たちは、アーティストをブランド化し、ブランド力を高めることが現在の音楽ビジネスで儲ける唯一の方法だとしている。

しかし、最初はやはり音楽そのものにかかってくる。楽曲がアーティストを有名にし、そのブランドを定義づけるのだ。また、ツアーは収益率が良い。2009年に北米でのコンサートに対する出費がレコードへの出費よりも上回り、2011年には95億ドルを売り上げ、2009年よりも20%増加している。しかし、ツアーは経費がかさむため、アーティスト側にとっては最終的には大きな儲けにはならない場合がある。こういった理由から、アーティスト側はベンチャービジネスに力を注ぐようになっている。

「10年前ならば、ラジオでヒットソングが生まれれば、大きなツアーを組むことが可能になり、レコードも200万枚売ることができました。しかし、今は必ずしもこうはなりません。現在ヒットが生まれて、ツアーが完売に終われば、スポンサー獲得やCM、TV、映画、アニメなど様々なチャンスが生まれます。アルバムのレコーディングはプロモーションツールと化しているのです」とラポルトは説明する。

つまり、アーティストが音楽を通じて一度有名になってしまえば、エージェント、マネージャー、弁護士、ビジネスマネージャーから成り立つチームがファンのサポートを収入に変えるように動くことになるというわけだ。彼らはアーティストの顔がプリントされたキーホルダーを売るためにグッズの製造元と契約を交わし、リアリティ番組の審査員としての出演を取り決め、アパレルメーカーとのデザイン提携の仕事を持ってくるのだ。

アーティストによっては、これらの仕事でCD黄金期よりも儲けている。例えばテイラー・スウィフトは、エリザベス・アーデンと組んで香水を開発し、1カ月で5000万ドルを売り上げている。勿論テイラーは何百万枚とレコードも売り上げているが、音楽業界でマネージャー業を営むアレン・コヴァックは、彼女よりも低い認知度のアーティストでさえもこのようなビジネスを展開できると指摘する。

コヴァックはクライアントの1人ニッキー・シックスがモトリー・クルーのベーシストという立場を元手に、洋服のデザイン、本の出版、ラジオ番組を展開していることを例に挙げた。ニッキーはケーブルテレビでのトークショーも展開する可能性もあるようだ。

「今の彼はモトリー・クルー時代よりも儲かっている」とコヴァックは話している。

このようなビジネスは、収益を上げる他にも、アーティストのブランドを新しい領域へ広げることができるという部分に利点がある。ラポルトはこの点について自分のクライアントであるスティーブン・タイラーを例に挙げた。スティーブンは『アメリカン・アイドル』で審査員を務めたことで、1000万ドルを手に入れたと言われているが、この番組に出演したことで、若い世代へ彼の存在を知らしめ、同時にスティーブンのプライベートな部分もアピールすることになり、ファッション業界との契約に結び付けることができたとラポルタは指摘している。

「トミー・ヒルフィガーのロックブランド、アンドリュー・チャールズと昨年契約を結ぶことができました。彼にとって初めての衣服ブランドでしたので、成功と言えるでしょう」

一方、殆どのミュージシャンはスティーブンやニッキーのような認知度がないため、
業界最高の弁護士やマネージャーをつけても、このような契約は結べなかったようだ。

Future of Music Coalitionのプログラムディレクター、ジーン・クックは、アメリカ国内のミュージシャンの「ブランド力による収入」は、全収入の2%でしかないと指摘し、「ブランド力を利用して収入を得ているミュージシャンは成功していますが、大抵はブランド力を利用できるような立場にはいないのです」とコメントしている。

そして知名度の低いアーティストが躍起になっているというわけでもない。アーティストによっては印税の収入が下がる中で、音楽以外の仕事で稼いでいるとクックは説明している。無名のアーティストの間では、ジャンルを問わず、「先生」としての収入が増加しているようで、クックのデータによると、副業が最終的にはミュージシャンの平均収入金額を4万9,000ドルまで引き上げるようだが、これはテイラー・スウィフトの0.1%にも満たない。

「ミュージシャンは貧乏です。それは避けては通れません。フリーランスのミュージシャンは沢山の仕事をして、生活をしなければなりませんし、仲間からのサポートもあまりありません。成功を収めているミュージシャンもいますが、大半は違います」とクックはコメントしている。

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