巨人軍・元寮長が明かす常勝軍団の育て方

アサ芸プラス / 2012年12月11日 9時59分

 2012年、5冠を達成した原巨人。その原動力となったのが若手の成長、中堅の活躍、そしてチームの団結力だった。スター軍団の巨人が、いかにしてチームとしてまとまることができたのか。そのヒントを知る男がいる。若手選手の合宿所「読売ジャイアンツ寮」の元寮長である。

「日本一を決めたあと、みんなから電話がありましたよ。坂本、長野、松本、山口、寺内‥‥。彼らが活躍するのは、自分の息子のようにうれしかったですね」

 樋澤良信氏(62)は70年、ドラフト4位で巨人に入団した。「土井2世」として期待されたが、V9時代の巨人で一軍出場機会に恵まれず、75年に現役引退。しかし、巨人一筋40年で、その後も球団付スコアラー、コーチなどを歴任し、06年からの5年間、寮長職を務めてきた。

 寮長時代、実の子供のように育ててきた選手が、今季も一軍で10人以上が活躍した。樋澤氏は、5冠達成の陰の立て役者と言っても過言ではない。

 高卒選手は5年間、大学・社会人出身の選手は2年間、寮で生活するのが通例だ。樋澤氏の在職中も、幾多の名選手をその期間で鍛え上げてきた。

 例えば坂本勇人(23)だが、彼の場合は高卒にしてわずか3年という異例のスピードで退寮した優等生だったという。

「勇人は中学時代、かなりヤンチャだったとスカウトから聞いていたのですが、会ってみると全然そんなことはなかった。とても素直で、思いやりのある子でしたね。恐らく、高校時代に精神面をかなり鍛えられたのでしょう。寮のスタッフにいつも明るく挨拶をしていたし、遠征に行けばいつもスタッフにお土産を買ってきてくれる。ふだんの生活もしっかりしているし、すぐに自立できるなと感じました」

 樋澤氏は寮にいる選手全員を定期的に集合させ、挨拶の大切さ、時間を厳守すること、感謝の気持ちを忘れないことなどを説いていた。

 巨人の選手はどこに行っても注目を集める。この訓示を守ることで、「巨人軍は紳士たれ」という不文律を守らせようとしたのだった。樋澤氏の教えにより、坂本も真摯な姿勢を忘れない選手へと成長していったというのだ。

「一軍の試合は東京ですし、勇人が体をケアしている場所も都内にあった。一軍のレギュラーがよみうりランドの寮から通うのは、体力的にも大変なんです。そこで私は東京ドームで原監督と話し合い、『勇人なら寮を出ても大丈夫』と伝えました。原監督も大きなケガをしない勇人の自己管理能力の高さを知っている。それで、すぐに勇人の退寮が決まったんです」

 09年ドラフト1位・長野久義(27)も、わずか1年で退寮している。

 長野は日大を経て、社会人野球のホンダでプレー。それでも本来なら寮に2年いなければならないのだが、1年目に新人王を獲得し、2年目以降もレギュラーで活躍することが期待された。それ以上に、一人暮らしが容認されるに至ったのは性格面が大きい。

「長野は社会人経験がありますからね。私が教えなくとも、常に感謝の心を忘れない男でしたね。それに、彼はとても気を遣う子です。今季最終戦、勇人が3安打を放ち、長野と並んで最多安打のタイトルを獲得しました。その際、ベンチで長野は自分のことのように大喜びしていましたよね。他人に対する気遣いだけでなく、常に仲間を大切にしています。それは寮にいた頃からまったく変わっていませんね」

 長野といえば、ルーキー時代から年上の女子アナと交際していることが明るみに出ている。年の差を強調する報道もあったが、一人暮らしを始めるにあたり、女性関係について心配をすることはなかったのか。

「本人からいろいろなことを相談されましたが、『マスコミの報道なんか気にするな』と言っておきました。まだ若いんだから女性と交際するのは当たり前。それよりも野球に没頭して、ちゃんと食事をとり、健康管理をするようにと伝えました。本人は『たった1年で寮を出ていいんですか?』と驚いていましたが、彼の場合、安心して送り出すことができましたね」

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