田母神俊雄が教える「紛争が戦争に変わる瞬間」(2)戦争開始までに3カ月は必要
アサ芸プラス / 2013年2月26日 9時59分
なぜ中国の艦艇が、ここまでの挑発行為を行ったのか、考えてみましょう。
近年、中国は漁師らを尖閣に上陸させたかと思えば、漁業監視船や海洋監視船を我が国の領海に侵入させています。また、頻繁に領空侵犯を行ったあげく、今回のように火器管制レーダーを照射するなど、しだいに我が国に対する工作をエスカレートさせています。
これは従前から申し上げているとおり、中国が仕掛けている“情報戦”です。つまり、尖閣の実効支配に対して、譲歩を迫ろうという狡猾な作戦です。火器管制レーダーの電波照射など、毎日世界中で行われており、慌てる類いのものではありません。全てが、中国が日本に仕掛けている情報戦の一環なのです。
一方、報道の中には「中国軍が勝手に行い、中国外交当局は知らなかった」との論調もありますが、これは当然考えられる事態です。2月5日に日本が発表して以来、中国政府が反論するのに3日間かかったのも、予期せぬ事態の対応に困ったからでしょう。しかし、軍レベルでは完全に指示された行動だと思います。ただ、軍の独断だったのかもしれませんが、いったん公になるや、中国は国家一丸となって情報戦を強化しています。これが、今の中国政府のスタンスです。
中国国内では「戦争開始だ」などの声が上がっていると報じられていますが、とてもすぐに戦争ができる態勢にないことなど、中国当局がいちばんわかっているはずです。レーダー照射から突然ミサイルを撃ったとしたら、国際社会から孤立し、自分たちの国がいちばん損を被ると中国指導部も判断しているはずです。
この一件で戦争の恐怖を感じた方もいるかもしれませんが、現段階における中国政府に、戦争の意思などないことは明白です。
本気で戦争を考える場合、少なくとも3カ月から半年ぐらいの準備が必要です。有事が近い場合、国内の動きは間違いなく通常と変わります。例えば、戦闘機の配置を変えたり、戦艦を集結させたりします。あるいは後方支援の機材を集めたり‥‥と緊張感に包まれますが、現在の中国にそうした動きはまったくありません。
平時の体制とまったく同じであり、ニュースに映る中国人の顔つきや言葉にも、戦争が迫っている緊張感など微塵も感じません。また、戦争準備をしているのであれば、電波の通信量も平時と比較にならないほど増えるものです。
例えば、海上自衛隊や航空自衛隊が、実際の戦闘ではなく総合演習をする場合ですら、相当な準備が必要なのです。ましてや、一国の軍隊が、作戦準備もなしに戦争などやれるわけがありません。
昨年10月に行われた中国海軍による東シナ海での訓練も、ここ数年では最大規模だったと伝えられていますが、それでも部隊単体の訓練であり、ましてや中国海軍全体による演習など、一度も行われていないのが現状です。
こうした私の意見は、ニュース番組での論調とは異なるかもしれません。なぜなら、ニュース番組やワイドショーには、不安や恐怖をあおることで視聴率を稼ぎたいとの意図があるからです。例えば自衛官出身者でも、テレビ局が求める方向性でのコメントを余儀なくされ、なかなか本音を言えませんが、落ち着いて考えればわかることです。
我が国も負けずに、中国との情報戦を戦う必要があるのです。
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