弘兼憲史「“島耕作流”ニッポン経営サバイバル」(3)こうして島耕作は決断した

アサ芸プラス / 2013年5月9日 9時58分

 中には、軍事国家が台頭してきたら、軍事力を全て放棄すればいいという、おめでたいことを言いだす人もいますが、国際社会の常識では相手が丸腰でも撃つ時はどんどん撃ってくる。だから、日本という丸腰の国は、実はかなり迷惑な存在なのです。

 想像してみてください。ある軍事大国に対峙しようと、各国の軍隊が命を危険にさらしている中で、「僕は軍隊じゃないので、危ないことはできません。弁当代を払いますんで、皆さんで守ってもらえますか」なんて国があったらどう思われると思いますか? 卑怯だとか不公平だとか文句が出ますよね。日本は国際社会でそういう非常識をずっと続けてきたのです。

 03年から09年まで行われたイラク派兵で、自衛隊は交戦権が認められず、たとえテロリストから攻撃を受けても反撃することができなかった。そのためオランダ軍、英国軍、オーストラリア軍などの友軍から警護をされていた。もし、これらの友軍が攻撃を受けていても助けることができないというゆがんだ構造に注目が集まったのは間違いない。

 よく誤解されていますが、「集団的自衛権」は個別的自衛権とともに国連憲章によってどの国にも認められた権利です。それを日本は中曽根内閣の時に、「行使しない」と明言した。当時は冷戦で米ソが緊張している時代ですから、平和国家を標榜したつもりだったのでしょうが、今の時代ではまったくそぐいません。

 日中関係が緊張している今だからこそ、日米関係、つまりは「集団的自衛権」についてもう一度見直すべき時期に来ているのではないでしょうか。

 そのような「集団安全保障」は経済の面でも効果的に働くと思っています。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の中で、ASEANとのパイプをより強固して中国包囲網を作るというのは非常に意味があります。中国という国には「中華思想」がありますから、周辺を劣国と見なしてどうしても膨張拡大していく。それを抑えるという意味があります。

 経済における中国とのつきあい方でいえば、日本の場合は中国市場との向き合い方もあるでしょう。私は中長期的には日本企業は生産国として中国から徐々に撤退し、ASEANへと移行していくと思います。人件費が高くなっていて、インドネシアでは最低賃金が昨年より1.5倍になったと言われますが、人々の生活水準が上がれば消費もされますので、日本製品を買ってもらえる。「市場」もASEANにシフトしていくのではないでしょうか。

「社長 島耕作」の中で島耕作はすでにそのような判断をしました。前回の尖閣国有化での暴動を見ると、「反日」というものが人々の間に定着をしてしまったように思えたからです。

アサ芸プラス

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