弘兼憲史「“島耕作流”ニッポン経営サバイバル」(4)家電メーカーはかく戦えり

アサ芸プラス / 2013年5月10日 9時58分

 日本はデバイス(部品)メーカーとして中国とつきあうしかないと考えています。電子部品などは「日本製」ということがわからないからです。しかし、車や電化製品といういわゆる「日本ブランド」はやはり十年など先を見据えて撤退していくしかない。もう一つ付け加えると、中国という国の危うさもある。共産党は隠していますが今、本当に暴動が増えているようです。さらに、軍の暴走も怖い。事実かはわかりませんが、YouTubeでは人民解放軍が南沙諸島で現地人に向けて機関銃を撃った映像が流れています。

 南沙諸島のある南シナ海全域では、中国海軍が監視活動を強めており、フィリピンやベトナムと緊張関係にある。3月25日には、パラセル(西沙諸島周辺海域)で中国海軍の艦船がベトナム漁船を30分間にわたって追跡をしたうえで警告もなしに発砲し、炎上。ベトナム政府は強く抗議をしている。

 このようなリスクを考えると、日本企業の多くは島耕作と同じ決断をしていくのでしょう。

 その一方で、日本企業は台頭してくる中国企業との競争にも目を配らないといけません。

 ボストン・コンサルティング・グループが発表した2012年度の「世界で最もイノベーション能力を備えている企業上位50社」に中国の家電メーカー・ハイアールが8位となり、「消費財・小売」部門でも1位に輝いた。米国の30%の家庭はハイアールの家電を所有しているという報道もあり、日本は白物家電という「お家芸」を取られた形だ。

 例えば、ハイアールに取材に行ったら万年筆のような斬新なデザインの携帯電話がありましたし、韓国のサムスンもデザイナーを大量に雇っている。日本の製造業は「技術がよければ高くても買ってくれる」という思い込みがある。だから、かつては富裕層を標的にしたこともありましたが、それでは世界では勝てません。これから重要になるのは「価格」と「デザイン」。生活水準がすごい勢いで上がっていく人々に買ってもらえるような「おしゃれで安い製品」で勝負をしていくしかありません。

 ですから、よく日本の製造業の衰退を技術流出のせいにしている人がいますが、そうではないと思っています。今や世界のどのメーカーも、競合製品が出たらネジの一つまで分解して研究をしていますし、日本の技術者も積極的に引き抜く。頭の中にある技術やノウハウをコピーして、それが終わったら「ハイ、さようなら」らしいですが。一説には、サムスンは、日本人技術者に3年間で2億払ったことがあるなんて言われていますから、これはもう食い止められませんよ。

「製造工程」にしても同じです。中国や韓国などに工場があれば、どんなにセキュリティがあっても絶対に漏れる。つまり、技術流出というものが完全にブロックできないことを前提として、日本企業は勝負をしていかなければいけないのです。

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