鈴木宗男「北方領土奪還交渉の“出口”」(2)「面積等分案」はミスリード

アサ芸プラス / 2013年5月21日 9時58分

 じゃあ、「四島を一括で返還せよ」と最初に言ってしまったら、これは現実的ではない。それどころか“出口”が見えなくなってしまう。それはなぜか。「四島一括返還」というのは、ソ連時代の古い考え方でしてね。当時、向こうは「領土問題はない」と言ってきたから、日本は「ふざけるな!」ということで、「即時に四島を一括返還」と主張してきたわけです。

 でも、ソ連が崩壊して91年に自由と民主のロシアになってからは、日本は「四島一括返還」ではなく「四島の帰属の問題を解決して平和条約締結」と政策を変更している。

 そして、プーチン大統領も、01年に森さんと発表した「イルクーツク声明」を重視している。

 今回の首脳会談を前に、今年2月に森さんとプーチン大統領が会談した際に、プーチン大統領は柔道に例えて、日本とロシアは「場外」に近いところで組み合っている、「柔道場の中央に戻そう」と言った。いわば、「イルクーツク声明」に戻そうということです。

 この「イルクーツク声明」とは、1956年の「日ソ共同宣言」を認め、歯舞と色丹の「二島を返す義務がある」となっている。ならば、まずは二島を返還してもらうのが先決です。

 今回の首脳会談では安倍総理とプーチン大統領の間に、個人的な信頼関係が構築された。これは大きい。国家主権に関わる領土問題は、国家のトップリーダーの決断なしには話が進まないのですからね。2人がそれぞれの外務省に的確な指示を出し、交渉が行われることになった。

 多くのメディアでは「引き分け」という落としどころを期待する報道が多かったが、私は二島返還の先には、「引き分け」より大きなプラスアルファがあると信じていますよ。

 今回の首脳会談後に、多くのメディアで「面積等分案」が取り上げられた。ロシアは過去の領土紛争地域の面積を半分にして国境を引いたことがある。

 この案が北方四島に適用されれば、歯舞、色丹の二島はもちろん、国後と択捉の一部が日本領となる。この「3.5島返還」がプラスアルファなのか。

 その解決案はメディアがミスリードしたのか、官僚側の説明不足でしょう。今回の会談で、プーチン大統領は「中国とノルウェーとの領土問題で『面積等分案』で解決した」と言っただけで、北方領土に適用するとは、ひと言も言っていないと聞いております。

アサ芸プラス

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