松村邦洋の大河ドラマ道(3)ジェームス三木さんの脚本がすばらしい

アサ芸プラス / 2013年7月11日 10時0分

 大河ドラマにハマる前は時代劇といえば「水戸黄門」(TBS系)ぐらいしか見てなかった。だから大河を見たての頃はオヤジに、

「これ、どっちがいい者? どっちが悪者?」

 と聞きながら見てたんですよ(笑)。

「いい者、悪い者もないんだよ。勝ったほうがいい人、負けたほうが悪い人になっちゃうんだよ」

 ここで「勝てば官軍、負ければ賊軍」ということを知ったわけです。

 大河ドラマとともに大人になっていったという。そして、大人になってあらためて見返した名作が「花神」(77年)だった。

 山口中心の幕末を篠田三郎さんの吉田松蔭に始まり、中村雅俊さんの高杉晋作につながって、最後は中村梅之助さんの大村益次郎で終わる。この3人が主役なんですよ。

 明治維新というものを野球で言う先発、中継ぎ、抑えという分業でやり遂げたっていうね。主役が途中で代わっていくというのは、なかなかないパターンで、すばらしかったですね。

 放送当時はまだ10歳だったから、ストーリーはよくわかってなかったけど、大村益次郎を演じる中村梅之助さんのものまねはしてましたね(笑)。

「私にはお琴がいる~」

 大村益次郎には、加賀まりこさん演じるお琴という妻がいます。

 一方、シーボルトの娘で益次郎の弟子でもある、浅丘ルリ子さん演じるイネという女性は、益次郎が大好きで積極的なんですね。

 その葛藤がこのセリフなんですよ。声まねと、このフレーズですから、親戚の前で披露したらウケましたね。でも、同級生にはまったくウケませんでしたけど(笑)。ものまねのクオリティは高かったと思うんだけど‥‥。「大河ドラマ」を見て初めてものまねをしたのが、この中村梅之助さんでしたね。

 本格的に「大河ドラマ」の出演者のものまねを始めたのは、「葵 徳川三代」(00年)からです。

 家康役の津川雅彦さんに、秀忠役の西田敏行さん。この2人の存在感は強烈で、「葵 徳川三代」は男が見るべき大河、深い大河という感じですね。大河ドラマは史実に忠実なものと、脚色やアレンジされたものに分けられると思いますが、「葵 徳川三代」は史実に沿って描くタイプ。

 あたかもタイムマシーンで徳川の内部事情を見てきたんじゃないかと思わせる、ジェームス三木さんのすばらしい脚本でしたね。

 僕は月に1回、津川さん主催のセミナーに参加させていただいてるんですが、その時、津川さんも「ジェームス三木さんの脚本がいちばんよかったな」と言ってましたね。

 ぶっちゃけ、放送直前まで「葵 徳川三代」なんて始まるけど、こんなものどうするんだよ、と思ってましたよ。

 僕はタイガースファンだから、どちらかと言えば、豊臣派なんですよ。どう考えても徳川はジャイアンツってイメージでしょう?

 放送が00年だったんですけど、その年は、関ヶ原の戦いから400年。あの頃の阪神は野村さんが監督で、他球団をクビになった遠山、成本といった選手をかき集めていた。豊臣の残党みたいな感じでしたよ。

 一方、巨人は清原、工藤、江藤など、金にものを言わせた大補強の真っただ中。

 大名の加勢が期待できない豊臣家は浪人を集めたんですね。西郷輝彦さんの真田幸村や重松収さんの後藤又兵衛といった浪人たちを、いわば“派遣軍師”として再雇用するという。あの頃の阪神とダブるわけですよ。だから、「葵 徳川三代」は「頑張れ豊臣」「頑張れノムさん!」という感じで見てましたね。

 豊臣が滅びたあとの、家康(津川雅彦)と秀忠(西田敏行)の関係は、天下を獲るためには非情な家康が渡辺オーナー、人柄のいい秀忠が長嶋監督に見えましたね(笑)

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