「政界“怪”人プロファイリング」 -谷垣禎一-

アサ芸プラス / 2014年11月23日 9時56分

◆今週のキーマン:谷垣禎一〈たにがき・さだかず〉(自民党幹事長)●45年生まれ。国家公安委員長、財務相、国交相、法相などを歴任。民主党政権時に自民党総裁。自転車が趣味で、日本サイクリング協会会長を務める。

「ポスト安倍」候補も選挙結果で正念場

 谷垣禎一幹事長が安倍晋三総理の「消費税10%」判断、総選挙結果の行方に頭を痛めているようだ。

 多くの国民に景気回復の実感がなく、再増税なら世論の反発は安倍総理と共に谷垣氏にも向かう。

 谷垣氏は民主党政権時代に、自民党総裁として「10%」への「民自公」三党合意を取りまとめた張本人であるから、当然、責任論が及ぶ。一方で、先送りが必至、ここでも責任論が惹起してくる。

 また、総選挙のメディアの予測は自民党に必ずしも芳しいものでなく、敗北となればその責任論はまた幹事長に及ぶからだ。そのうえで、谷垣氏にはもうひとつの「悩み」がある。

 谷垣氏は先の改造人事で来年9月の総裁選で再選を確実にしたい安倍総理の「陰謀」にハマり、ライバルの芽を潰せで、動きの取れぬ幹事長職に封じ込まれてしまった。

 しかし、ここにきて、自民党内には「ポスト安倍」に「座り」のいい谷垣氏を、という声が出始めてきている。そこで、谷垣氏に近い自民党関係者は次のように言った。

「谷垣氏自身にも、天下取りの色気が出てきた、とみている。そのための戦略は、いつまで安倍総理に付き合うかに尽きる。幹事長としてどう存在感を高め、対立軸を構築して戦うか。ただ待つだけの『禅譲』などは、これまでの政界の故事からしてあり得ない。ところが谷垣氏、責任感は強いが、慎重居士、政局観も乏しい。仮に消費税10%が先送りにでもなればメンツ丸潰れ、筋を通すということで、後先を読まず幹事長辞任もあり得る。これでは天下は取れない。政局観の乏しさで、前回総裁選の出馬をミスミス見送った失態もある男だけに‥‥」

 出馬を見送ってしまったことで、党内からは「谷垣氏は終わった」の声が出たものだ。

 谷垣氏は文部大臣をやった父・専一氏の急死により、昭和51年の京都補選で初当選した。専一氏が亡くなる少し前、まだ駆け出し記者だった筆者は、当時弁護士だった禎一氏の後継問題を質したことがあった。

 専一氏いわく、

「アレは生マジメ、真っ正直なところがある。果たして政治家に向いているかどうか」

 政治家は「真っ正直」で僥倖が来たためしがない。「悪人」のみが天下を取るのだ。

 ここでいう「悪人」とは、自らの信念を呑み込み、時には必ずしも相容れぬ相手とも手を握る「度量の人」を指す。中曽根康弘氏、大平正芳氏といった大物たちの多くも、こうして天下を取った。これが、天下取りの「鉄則」である。

 谷垣氏、これまで石破茂前幹事長とは異なり、安倍総理との「共闘」に腐心してきた。しかし、穏健、リベラル派として06年の総裁選出馬時には対立候補だった当時の安倍官房長官の歴史認識、中国・韓国との近隣外交を批判した経緯もある。

 正念場に立った谷垣氏に求められるのは、「怪物」逸ノ城のような徳俵に押し込まれても土俵中央へ寄り返す粘り腰と迫力だ。東大在籍は実に8年、そして7年かかってようやく弁護士資格を得たあの粘り腰である。「豹変」なるか。

◆政治評論家・小林吉弥

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