掛布雅之 全米野球で感じたNPBとMLBの差(1)

アサ芸プラス / 2014年12月6日 9時57分

 8年ぶりの日米野球は4勝2敗(沖縄での親善試合も含む)で侍ジャパンが勝ち越しました。MLB代表はメンバー的に小粒でしたが、WBC公認球で勝ったことに意義があると思います。これまでの日米野球は、守備側に合わせて2種類のボールを使っていましたから、そもそも「同じ土俵」ではなかったのです。全米側に観光気分があったことは確かでも、条件的には言い訳ができないはずです。

 日本がメジャーを力で上回ったとは思いませんが、総合的な差が縮まっていることは間違いありません。NPBは我々の時代に比べて、全般的に球場が広くなり、外野の守備力、走力が上がりました。一方のMLBは90年代に球団数が4つ増え、30球団になったことで、平均的なレベルは低下したと見ています。野球人口そのものは劇的に変わっていないのですから、ピラミッドを増やせば、一つずつの高さが低くなるのは当然のことです。

 私自身の経験で振り返ると、日米野球の舞台でベースボールと野球の違いを痛感させられましたが、今の選手は「衝撃的な差」は感じなかったのではないでしょうか。藤浪や大谷など、日本人離れした体型の選手が現れ、当たり前のようにMLBがテレビで見られる時代で、情報量も今と昔では雲泥の差。メジャーを身近に思っているはずです。

 特に投手は、メジャーとのレベルの差が格段に小さくなったと感じています。今回の日米野球でも第3戦で、則本、西、牧田、西野の4投手による継投でノーヒットノーランを達成しました。全米側も前田や大谷の存在は戦う前から耳にしていたかもしれませんが、「まだ、こんな投手がいるのか」と層の厚さに驚いたことでしょう。特に5回を完全に抑えた則本のストレートとスライダーにはドギモを抜かれたのではないでしょうか。第4戦からはメジャーの選手たちの目の色が明らかに変わりました。

 95年にドジャースで旋風を起こした野茂がパイオニアとなってから20年がたちます。今季もダルビッシュや田中、黒田、岩隈が各チームの先発の柱として活躍しました。中4日での登板など、肉体的な過酷ささえ乗り越えれば、日本の各球団でエースと呼ばれる投手ならある程度の計算ができるはずです。オリックス・金子は取りざたされていた今オフのポスティングシステム(入札制度)によるメジャー挑戦を断念しましたが、彼の投球術も十分に通用したのではないでしょうか。

 一方、野手のほうはどうか。過去にMLBで成功したと胸を張って言える日本人プレーヤーはイチロー、松井秀喜だけでしょう。松井秀喜にしても31本塁打が最高の成績で、巨人時代のようにホームランバッターとしては活躍できませんでした。科学的なトレーニングも発達し、肉体的なハンデは小さくなったはずなのに、パワーの面で歴然とした差が残っているのです。

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アサ芸プラス

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