掛布雅之 オフの間に「失敗の内容」を考えよう(2)

アサ芸プラス / 2014年12月14日 9時56分

 私も現役時代に視野を広げるため、スキー、テニス、バドミントン、卓球といろんなスポーツにトライしました。例えば球技で最も初速の速いスポーツと言われるバドミントンでは、ボールから目を切らないことの大切さをあらためて思い知りました。200キロ以上の初速で打ち出されたシャトルでも怖がらずに目で追うと羽根によって減速されるためラケットで捉えることができるのです。スキーでは体幹を鍛え、崩れてもふんばれる形を覚えました。倒れそうになるところを我慢することで、野球では使わなかった筋肉を鍛えることにもつながったのです。

 他の種目で新たな発見をすると同時に、野球というスポーツがいかに難しいかということも実感するはずです。どれだけ技術を磨いても打率4割には手が届かず、結局は3割しか打てないのです。7割も失敗していいスポーツは他にありません。そこで、その7割の「失敗の内容」を考えられるようになると、打者として確実に一歩階段を上がります。

「失敗の内容」を具体的に説明しましょう。例えばAという打者が今年、Bという投手に15打数0安打に抑えられたとします。でも、その内訳が、ライナーがことごとく野手の正面をついたり、もう少しでホームランという大飛球ばかりだとどうでしょう。BはAに対して得意意識どころか、苦手意識を持つはずです。大事なのはその部分です。毎年3割を打つような打者が相手に与えるプレッシャーは、3割どころか、4割も5割もあるのです。

 本物の3割打者というのは、打撃練習では9割ぐらいはバットの芯で捉えないといけません。ホームラン打者なら練習で300球のうち、200本ぐらい柵越えを打てるようになって初めてシーズン40本という数字が見えてくるのです。例えば今年ブレイクしたソフトバンク・柳田も、7割の失敗の内容をよくする練習が大事です。まだよい時と悪い時の内容が極端すぎるのです。彼が質の高いアウトを意識すれば、メジャーも目指せる選手になるのではないでしょうか。

 一昔前に流行したイチローの「変わらなきゃ」のCMではないですが、常に進化しないとよい成績を残し続けることはできません。1つ年を重ねることでスタイルは変わっていくものですし、ベテランにとっては維持することも進化かもしれません。考え方も変えなければいけませんし、毎年同じようなオフを過ごしていても伸びないのです。

 そしてまだ芽の出ていない若い選手たちは、考えるよりも先に体で覚えないといけません。若虎たちはこの2カ月、自分との戦いに勝って、春季キャンプを迎えてほしいものです。

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