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池上彰 そうだったのか!日本復興を阻む「敵」(5) 国債発行ができなくなる危機

アサ芸プラス / 2012年5月15日 10時58分

 年金、福祉、そして消費税! これまで棚上げ、積み残し、先送りを繰り返してきたお金の問題が、震災以後いよいよ差し迫った問題となっている。2週連続登場のジャーナリスト・池上彰氏が、荒波に揺られる小舟の灯台のごとく、この難局に立ち向かう知恵を授ける。

──前回はガレキと原発の問題についてお聞きしました。今週はいよいよお金の話をうかがえればと思います。

 はい、ではやってみましょう。

──国会では、消費税を上げる議論をしていますが、復興もできていない状態では、ますます景気が悪くなるのではと心配です。

 なるほど、それは本当にそのとおりですよね。まだ景気がよくなっていない時に増税するのはけしからんという気持ちはよくわかります。私だって、景気がよくなってから消費税を上げることを望みますが、では、いつになったら増税できるんでしょう。思えばこの20年間ずっと景気をよくしようと一生懸命に頑張ってきたんじゃなかったでしたっけ?

──言われてみればそうですね。

 でね、基本的に国の借金がかさんでも、国の信用があるうちは国債を発行し続けることができるから大丈夫なんですよ。でも、どこかでこれがつまずいた瞬間に大変なことになってしまうんですね。

──どういうことでしょう?

 まずは日本の国債についてご説明いたしましょう。今、日本の国債はとりあえず国内で買われているから大丈夫なんですが、その費用はどこから出ているかというと、私たちの預貯金を使っているんですね。もちろん、個人が買っているものもありますが、そのほとんどは私たちが銀行や郵便局へ預けたり、生命保険で積み立てたりしたお金が国債の購入に充てられているんですよ。

 しかし、今、国債の発行残高がおよそ1000兆円にまで膨れ上がっています。これに対し国民の資産は1400兆円、そのうち400兆円くらいは住宅ローン等の借金として使われているんです。

──つまり国内で買える崖っぷちのところまで来ているということですか?

 そういうことなんですねぇ。これ以上増えると、いよいよ日本国内だけでは買い支えられなくなってくるわけなんです。つまりね、ほら、昨年のギリシャ危機の場合はそのほとんどをドイツ、フランス、ベルギーなど、他のEU諸国が国債を買っていた。だから、その国々が「不安だから売るよ」と言ったその瞬間にギリシャの国債の価格は暴落し、次の国債はものすごい高い金利をつけないと発行できなくなってしまったわけです。

──日本もその状態に近づいているんでしょうか?

 これまでは、だいたい94%が国内で買われ、外国の投資家は6%だから大丈夫だと言われていたんです。ところが昨年末の数字では国内は91・5%に減っているんですね。つまり、残り8・5%の外国勢が突然「売るよ」と言った瞬間に市場はパニックになり、国債が発行できなくなりかねないんです。

──国債が発行できなくなったら大変なことになるんでしょうか?

 はい、それはもちろん。国債が発行できなくなると、日本の予算はおよそ40兆円の税収と50兆円の国債からの借金で成り立っているわけですよ。その50兆円の借金ができなくなったとたんに、いきなり40兆円の予算だけでやっていきましょう、という話ですよ。

──いきなり半分以下ですか?

 ですから、他から買ってもらうしかないわけなんです。実際に日本の財務省も外国に日本の国債を買ってくださいと働きかけています。ここで問題です。今、日本の国債を大量に買っている国はどこでしょう?

──アメリカでしょうか?

 残念。日本のすぐ近くに元気な国が1つだけあるでしょう。

──もしや、中国ですか。

 そのとおり。ふと気がつくと日本の国債は大量に買った中国に支えられていたことになってしまう。そうすると、中国が「言うことを聞かないのなら日本の国債を売るよ」となったとたん、日本の国債は暴落ですよ。

──北朝鮮のミサイルどころではありませんね。

 そういうことです。

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