森高千里「私がオバサンになっても」(後編)(3)花開いた「森高ワールド」

アサ芸プラス / 2012年7月9日 10時58分

 森高ファンの間でもう1カ所の聖地となっているのが栃木県足利市にある渡良瀬橋だ。07年に森高自身が作詞した歌詞が、歌碑として残されたことで、市の新しい観光スポットにもなっている。

 今年5月、25周年を記念してネット上に開設された「YouTube」の森高千里公式チャンネルでは真っ先にこの地を訪れ、

「私も久しぶりに来ました。緑も多いし、歌碑もあるし、夕日がとてもきれいな町です。私がこの場所に来て感じたことを書いた曲です」

 と、曲作りの思い出を語っている。

 ビジュアル面でまずは男性ファンの心をわしづかみにした森高だが、2人の男女の別離を描いた「渡良瀬橋」、失恋の涙と雨粒をシンクロさせた恋歌「」などの平成のJポップバラードで女性ファンも獲得していく。

 かつて吉田拓郎をして

「森高は我々が何十年もかけて作り上げてきたものを一瞬で破壊した」と言わしめた森高ワールドだが、初期に歌にしたストレスやハエなど、キッチュ詩の世界観の反動なのか、叙情的なバラードに仕上がっている。

 前出・宝泉氏はこう説明する。

「森高の歌詞の特徴は文学的な言葉やトレンドの言葉を用いないこと。コンビニ感覚でそこにある日常の言葉だけで世界観を作ってしまうところがすごい。それは拓郎に言わせれば、ユーミンのように人の人生を変えてしまうパワーを持った詩ではないが、だからこそ等身大になる。一部の人しかわからないようなものとは違う楽曲となりえた」

 わかりやすい例は、多くのOLの共感を呼んだ「私がオバさんになっても」のこのフレーズだろう。

「私がオバさんになったら あなたはオジさんよ」

 これ以上にわかりやすいサビを聞いたことはない。森高はまさに唯一無二のソングライターなのだ。

 森高の作詞家としての特徴について、前出・波多江氏が解説する。

「彼女は人のおもしろいところを、時には男目線になったり、別のところから見て書いているところがユニークですね。シンプルでたわいのない歌詞ですが、彼女の人生観は絵だったら水彩画や日本画を描いているような作品を描いているんじゃないかな。僕が教えたのは高校生の頃でしたが、その後、病気もして恋愛もし、結婚もして今があるから、当然成長したんだろうけど、根底にある部分は同じでしょう。母親になった今も部屋の真ん中じゃなく端っこにいるようなタイプなのは変わってない気がします」

 現在の森高は中学生と小学生の2児の母、そして俳優・江口洋介を支える妻でもある。手作り弁当、習い事の送迎、学校参観など家庭を中心にした生活を送っている。

 最近の女性誌では、

「仕事をセーブして12年近くになります。どっぷり主婦として家事、子育てを楽しんで来ました」

 と笑顔で語り、家庭第一の生活を自信たっぷりに語っている。

 また、25周年の節目を迎えても特別に新曲のレコーディングなどは予定していないという。今はオバさんの年齢になった森高だが、脇目も振らず家庭に「ドゥ・ザ・ベスト」で全力投球するのも森高流なのだろう。

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