乗り継ぎ17時間!? 最悪を最高に変えるシンガポール・トランジット
ASCII.jp / 2023年7月12日 7時30分
国際線の航空券を購入するとき、経由便で「乗り継ぎ時間17時間」と言われたら、みなさんはどう思いますか?「そんな長時間空港にはいられない!」と、別のルートを探す人が多いかもしれません。ところが旅好きの筆者は、場合によっては喜んで長時間の乗り継ぎがあるチケットを選ぶときもあります。
たとえば3月上旬に、仕事でベルリンから帰国したときのこと。このとき手配されたチケットはシンガポールのLCC「スクート」便のチケットだったのですが、シンガポールでの乗り継ぎ時間は、なんと17時間50分。旅程を見た瞬間に筆者は震えるどころか小躍りしました。「シンガポールに10時間以上いられる!」と。
そう、発想を変えれば、乗り継ぎ時間が長ければ長いほど、旅行中に「もう1ヵ国楽しめる」のです。特にシンガポールは、世界でも有数の「途中降機して遊べる国」。今回は、シンガポールの途中降機をいかに楽しむかをお届けしたいと思います。
入国審査はパスポートをかざすだけ 鉄道はApple Payで乗車
シンガポールが途中降機しやすいポイントは、まずチャンギ国際空港の入国審査で機械の自動化ゲートが使えること。日本人ならパスポートを機械にかざすだけで審査完了です。入国審査官に「何のために来た?」などと聞かれることもありませんので、英語が苦手な人でも安心です。
さらに空港から街中まで都市鉄道(MRT)が直結しているので、移動がラク。とはいえ終電(23時台)〜始発(5時台)の時間は止まっているので、早朝や深夜に到着だと使えません。また、早朝だとシンガポール市内のショップもまだ開いていません。
今回は早朝4時半に到着したので、9時くらいまではシンガポールに入国せず、チャンギ国際空港の制限エリア内で時間をつぶしました。チャンギ国際空港は空港自体が大きく、レストランや休憩施設のほか、南国の蝶をあつめたバタフライガーデンや無料の映画館もあり、ある程度時間をつぶしやすい空港でもあります。
MRTでの移動には、スマートフォンでのタッチ決済(Apple Pay)を使いました。改札はクレジットカードのタッチ決済やApple Pay、Google Payに対応しているほか、シンガポールの市内交通の支払いに利用できる交通系ICカード「EZ-link」カードも利用できます。
シンガポールでは、いわゆる1回だけの乗車に使うような"切符"は2022年に廃止されています。そのため、海外からの旅行客としては、EZ-linkカードを購入して現金でチャージするよりも、クレジットカードやスマートフォンでのタッチ決済で乗るほうがラクチンなのです。
観光スポットは路線沿いにあり 屋台街はタッチ決済ができる
シンガポールは観光スポットもMRT沿線にあり、まわりやすいので便利。シンガポール名物のマーライオンを見物したり、ラッフルズホテルのロングバーで、有名な「シンガポール・スリング」を飲んだりと、楽しむことができます。
食事はホーカーズと呼ばれる屋台街がオススメ。マーライオンから徒歩11分の場所にあるホーカーズ「ラオパサ」はシンガポール名物のチキンライスを始め、各国の料理が楽しめます。さらにこのラオパサの屋台は、ほとんどのお店でクレジットカードやスマートフォンのタッチ決済で支払い可能です。
クレジットカードやスマートフォンのタッチ決済が使えるか使えないかは、途中降機に向いている国かどうかにつながってきます。数時間しか滞在しないのに現地通貨を用意するのはめんどうですし、もし、あまるほど両替したものの使いきれず、再度、別の通貨に両替するとなると、手数料などでかなり損してしまいますからね。
国際空港の中にある超巨大な商業施設 Jewel(ジュエル)の滝がすごい
またシンガポールが途中降機に向いているのは、街にわざわざ出なくても楽しめるというのも大きなポイントでしょう。チャンギ国際空港は、2019年に地上5階・地下5階で総面積は約13万5700平方メートルと超巨大な商業施設「Jewel(ジュエル) 」をオープンしています。
見所はなんといっても、室内に作られた人工の滝「レイン・ボルテックス」。屋内の人工の滝としては約40mと世界最大の落差。SF映画のような異次元世界、といった趣です。
Jewel内にはおなじみの すき家やドンキも出店している
またJewel内には、日本人にも馴染みのあるハンバーガー店「シェイクシャック」や、小籠包が美味しい「鼎泰豐(ディンタイフォン)」、牛丼の「すき家」など、世界各地の飲食店が並んでいます。飲食店以外には「東急ハンズ」や「ドン・キホーテ」といった店舗もあるので、品揃えの違いを楽しんでみるのもいいでしょう。
Jewelはチャンギ国際空港の各ターミナルから徒歩数分でアクセスできますが、制限エリア外なので、シンガポールへの入国は必要です。とはいえ、かなり時間をつぶせることは間違いなしなので、シンガポールで乗り継ぎ時間が数時間でもある場合は、是非立ち寄ってほしいところです。
少し前のコロナ禍中は、帰国時に陰性証明の取得などが必要だったため、長い乗り継ぎ時間があっても、空港内の制限エリアでただひたすら待ち続けなければならないという辛い状況でした。現在はそういった制限もなくなり楽しめるようになったので、空港での乗り継ぎ時間も、旅の醍醐味として楽しんでみてください!
シンガポールにある国際空港で、現在ターミナル1〜4までの4つのターミナルで営業中。空港東側で建設中のターミナル5は、2025年に開業予定となっている。ちなみにシンガポール自体が都市国家のため「国内線」はなく、すべての航空便が国際線として就航している。
この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama)
世界60ヶ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。
- 「旅人ITライターさとる」(IT系メイン)
- 「さとる・たべる・あそぶ」(旅行・エンタメ系メイン)
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