iPhoneで手軽に「ハイレゾを聴く」方法を解説
ASCII.jp / 2023年7月14日 19時30分
ライターの山本敦です。この連載ではオーディオの新鮮なプロダクトやサービス、トレンドなどを厳選しながら取材、紹介していきたいと思います。第1回目はスマホで手軽にハイレゾを聴く方法を整理、解説します。最初は「iPhone編」から。
アップルのiPhoneは、日本でもっとも人気のあるスマホです。アップルの定額制音楽サービス「Apple Music」では2021年6月からハイレゾロスレス音質による配信もスタートしています。ところが、現在のところAirPodsシリーズではApple Musicのハイレゾロスレスの楽曲を、ハイレゾ音質のまま聴くことができません。そのためLightning端子にハイレゾ対応の外部オーディオ機器をつないで聴く必要があります。
今回は以下の環境を整えてみました。
・スマートフォン:iPhone 14 Pro(iOS 16)/アップル ・【ハイレゾ対応】USB-DAC搭載ヘッドホンアンプ:M15/Questyle ・【ハイレゾ対応】イヤホン:XELENTO Remote 2nd Generation/beyerdynamic
iPhoneについては少なくともiOS 16がインストールできるiPhone 8/iPhone SE(第2世代)までの機種であれば、以下と同じ方法でハイレゾ再生が楽しめると思います。
ハイレゾ対応音楽アプリの設定を確認する
スマホの場合は、アプリやサービスがハイレゾ再生に対応している必要もあります。例えばiPhone標準の音楽プレーヤーアプリである「ミュージック」は、「設定」アプリから「ミュージック」を選択して、オーディオのメニューから「オーディオの品質」に入り「ロスレスオーディオ」を有効にします。
さらにストリーミングや再生の方法ごとに、音質を決めます。ロスレス再生時にはデータ使用量が増えるので、モバイル通信によるストリーミングは圧縮効率優先、Wi-Fiストリーミング時には非圧縮のロスレス/ハイレゾロスレスを選ぶと良いでしょう。
ミュージックアプリの設定に関しては、「ドルビーアトモス」が自動/常にオンになっていると、空間オーディオ再生の方が優先されます。ハイレゾロスレス再生を楽しむ際には設定を「オフ」にします。
Amazon Music Unlimitedもハイレゾ配信に対応する音楽サービスです。ハイレゾで聴ける楽曲には「ULTRA HD」のロゴが表示されています。アプリの設定から「ストリーミング設定」「ダウンロード設定」をリスニングスタイルに合わせて選びましょう。
イヤホンには、筆者が愛用するベイヤーダイナミック「XELENTO Remote」の第2世代機を選んでいます。ハイレゾ対応のイヤホン・ヘッドホンは、日本オーディオ協会の定義に従って「ハイレゾロゴ」を取得して、カタログやパッケージに表示している製品を選ぶ方法がひとつあります。
またはイヤホン・ヘッドホンについては、40kHz以上の高音域が再生できることもハイレゾ対応の基準とされています。最終的にはこれらを参考にしつつ、音質などが好みに合う製品を選べばよいと思います。
可搬性にも優れるポータブルDACがおすすめ
QuestyleのM15は2022年夏の発売からすでに1年ほど経つ製品ですが、筆者がふだん愛用しているハイレゾ対応のDACアンプなので今回はリファレンスにしました。iPhoneに直接つなぐために別売のUSB-C/Lightning OTGケーブルも用意しています。
USB-DACを搭載するヘッドホンアンプがあれば、iPhoneによる音楽リスニングが一段と充実します。Apple MusicとAmazon Music Unlimitedが配信するハイレゾ楽曲の音質は最大192kHz/24bitですが、QuestyleのM15は最大384kHzまでのリニアPCM方式の音源、またはDSD方式の音源にも対応しています。iPhoneでこれらのより高音質なハイレゾ音源を聴くこともできますが、これはまた別の機会に解説することにします。
QuestyleのM15は本体がとてもコンパクトで、別売のUSB-C/Lightning OTGケーブルを使ってiPhoneと直に接続できる可搬性の高い製品です。
最近は同じスティック型のUSB-DAC搭載ヘッドホンアンプが増えていますが、少し古い世代の製品の中にはiPhoneにアップル純正のLightning-USBカメラアダプタを介さないと接続できないものや、そもそも消費電力の都合からiPhoneで使えないものも存在します。iPhoneとの互換性については、メーカーや製品を取り扱う販売代理店、ショップなどに問い合わせたり、実機を試してから購入を検討すると安心です。
さらにQuestyleのM15は通常の3.5ミリ(アンバランス接続)のヘッドホンジャックのほかに、端子の形状と仕様が異なる4.4ミリのバランス接続用ヘッドホンジャックも搭載しています。ベイヤーダイナミックのXELENTO Remoteのように、同じ4.4ミリのバランス接続に対応するイヤホンに組み合わせると、より力強く情報量に富んだサウンドが楽しめることも覚えておきましょう。
次回は「Androidスマホ編」として、Google PixelなどAndroidスマホによるハイレゾ再生を紹介します。
筆者紹介――山本 敦 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。
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