【レビュー】ファーウェイの最上位モデル「HUAWEI WATCH Ultimate」はダイビングでガチで使えた
ASCII.jp / 2023年7月16日 10時0分
「HUAWEI WATCH Ultimate」は、ファーウェイのスマートウォッチの最上位に位置付けられるモデル。ジルコニウムベースのリキッドメタルを使用したケースに、セラミックのベゼル、ベルトにはチタン合金を採用するなど、タフさと高級感を併せ持つウォッチになっています。見た目もまさにスポーティーな高級時計といった佇まいで、スーツの腕元にも似合いそう。スマホ(iOS、Androidに対応)とつながって様々な通知が受け取れるのはもちろん、24時間の心拍モニタリングをはじめ、数多くのセンサーを内蔵し、日々の運動や睡眠、健康を管理できます。
加えてこのウォッチの大きな特徴が、ダイブコンピューターの機能を備えていること。ダイブコンピューター(通称ダイコン)は、安全にダイビングを楽しむために欠かせないもので、減圧症のリスクを自己管理するための重要な役割を担います。
最近では「Apple Watch Ultra」にも、同様の機能が搭載されて注目を集めています。HUAWEI WATCH Ultimateのダイコンはどんな感じなのか、実際に海で試してみました。
ダイビングガチモデルのため ウェットスーツ用のスポーツバンドが付属
テストの前にまず実施したのがバンドの交換です。HUAWEI WATCH Ultimateには、コマを外して長さを調整できるチタン合金製のバンドに加えて、ニトリルゴムのスポーツバンドが付属しています。このスポーツバンドには、ウェットスーツの上から装着できるように長いエクステンションも用意されています。
ファーウェイの説明によればHUAWEI WATCH Ultimateは、EN13319というダイビングアクセサリーの技術標準規格に準拠していて、深さ100メートルの潜水にも耐えられるとのこと。筆者がやっているような一般的なダイビングでは、アドバンスという1つ上のライセンスを持っていても、30メートル以上潜ってはいけないのですが、十分な耐水圧性能を備えていると言えそうです。
ワークアウトは4種類のダイビングに対応 ディスプレーが明るく海の中でとても見やすい
ファーウェイのスマートウォッチでは、100を超える様々なワークアウトを記録できますが、ダイビングもワークアウトのメニューの1つとして組み込まれています。「ダイビング」のメニューでは、「レクリエーションダイビング」「フリーダイビング」「テクニカルダイビング」「ゲージ」の4つのモードが選択可能。「レクリエーションダイビング」は、いわゆるレジャーとしての一般的なダイビング。「フリーダイビング」は素潜りや競技用。「テクニカルダイビング」は特別な資格を持って仕事などで潜る人向け。「ゲージ」は単純に深度と時間だけを表示するモードとなっています。
「レクリエーションダイビング」で設定できる項目には、ガス、水の種類、保守レベル、最大PO2、安全停止時間、通知、アラート、通知方法があります。
ガスはエアの種類、空気かエンリッチドエアかで、エンリッチドエアの場合は濃度を選択。水は海水か淡水かでカスタムも可能。保守レベルと最大PO2は警告を出すレベルを設定するものです。安全停止時間は減圧症にならないために、浮上前に水深5メーター付近で一定時間止まり、体内に溶け込んだ窒素を排出するために必須の時間。一般的には3分間ほどですが、4分、5分の設定も可能になっています。通知とアラートでは深さが規定値になったとき、または指定した時間を経過したときに通知や警告を出すかどうかを設定でき、通知方法ではサウンドかバイブかその両方かが選べるようになっています。
このほか「ワークアウト」メニュー内の「ダイビング」の設定で「ダイビングを自動で開始」「ダイビングを自動で終了」をそれぞれ設定するようになっています。「ダイビングを自動で開始」では、自動開始する深度とデフォルトで起動するモード、「ダイビングを自動で終了」では、上がってどのくらいで自動停止するかが設定できます。この「ダイビングを自動で開始」を有効にしていない状態で、ダイビングモードを起動し忘れると、海の中では一切の操作ができない(ダイコンが使えない)ので注意が必要です。筆者は自動起動を設定した上で、念のため手動でダイビング→レクレーションダイビングを起動して潜りました。
HUAWEI WATCH Ultimateには左にアシストボタン、右にデジタルクラウンが回せる2時位置のボタンと、4時位置のボタンがあり、タッチディスプレーのほかに、この3つのボタンを使って画面を操作します。海の中では当然ながらタッチディスプレーは使えないので、基本はボタン操作。デジタルクラウンを回すか、4時位置のボタンを押すと画面が順に切り替わるようになっています。グローブを着けた状態ではデジタルクラウンは回しにくいので、筆者は水中では主に4時位置のボタンを使って画面を操作しました。
筆者が普段使っているスキューバプロ製のダイコンは、モノクロ表示でボタンを押さないとバックライトも光らない仕様なのですが、HUAWEI WATCH Ultimateはディスプレーが明るく、海の中でもとても見やすく感じました。メーカーによればNDLを算出するために採用されているアルゴリズムは、ガーミンのダイコンや「Apple Watch Ultra」と同じ、「Bühlmann ZHL-16C」とのこと。メーカーやダイコンによって微妙に設定が異なるため、どれが良い悪いというのは難しいのですが、24メートル、15メートル、5メートルの深さで見比べたところ、いずれも筆者のダイコンとほぼ変わらないNDLの表示になっていました。
減圧症リスクを避けるために実施する、水深5メートルでの安全停止も、通知が表示されるタイミングや停止時間も含めて、筆者のダイコンとほぼ同じでした。通知方法にはサウンド&バイブレーションを選択していたのですが、サウンドよりも振動で規定の水深まで浮上したことに気づくという感じ。ウェットスーツの上から装着していても、しっかりバイブレーションが感じられました。安全停止終了後に、再び通知されるのもわかりやすかったです。
2日間で4本のダイビングして バッテリー残量は50%以上! 頼もしい!
ダイビングのデータはスマホ経由で自動的にクラウドにバックアップされ、スマートフォンにインストールしたファーウェイの「ヘルスケア」アプリに「運動記録」として記録されます。エントリー(潜水開始)&イグジット(潜水終了)した場所の地図や、潜水時間、最大深度、平均深度、最高水温、最低水温が自動で記録され、深度と温度は時系列のチャートで見ることも可能。データをJPEGで書き出したり、共有できる機能も備わっています。
ダイビングでは毎回、天気や気温、水温、潜水時間や深度といったデータに加え、どんな装備で潜ったか、重りは何キロだったか、エアはどのくらい消費したか、どんな魚を見たか、誰と潜ったかなどを、ログブックと呼ばれるノートに記録します。最近は紙のノートではなく、アプリに記録している人も多いのですが、残念ながらワークアウトに記録されたデータを、そういうアプリに書き出せる機能はないようです。せめてダイビングログだけ一覧できたり、記録を書き足せるといいのですが、そのような機能もありません。紙のログブックに書き写せば済む話とはいえ、この点は少し残念に思いました。
一方で頼もしいなと思ったのが、バッテリー持ち。今回、2日間で4本のダイビングをしましたが、それでもまだ50%以上も電池が残っていました。HUAWEI WATCH Ultimateの公称バッテリーライフは通常使用で約2週間。ダイビングをすると通常よりも速く電池を消費してしまうのは間違いなさそうですが、それでもこの持ちの良さなら十分に実用的だと感じました。今回くらいの短いダイビング旅行なら、専用の充電ケーブルを忘れてもなんとかなりそうです。
ごつくて重いので睡眠記録には HUAWEI Band 8と併用した方がいいかも!
HUAWEI WATCH Ultimateを実際にダイビングで使用した感想は、「良い意味でダイコンとしてフツーに使える」というもの。電池持ちも良いので、充電などもあまり気にせずに安心して使うことができました。ダイビングのほかにも、ゴルフや登山、日々のランニングなど様々なワークアウトに対応。「探検」という楽しいモードも用意されています。
さすがは最上位モデルだけあり、外観も含めて満足度は非常に高いですが、一方で睡眠の記録には、あまり向いていないと思いました。ごつくて重いので、着けているとどうしても気になってしまうのです。
ファーウェイの睡眠機能は睡眠時間だけでなく、眠りの質もチャート化してくれ、他のユーザーと比較しての点数や詳しい解説も読めるなど充実した内容なのですが、同じデータは「HUAWEI Band 8」などでも記録できます。安眠のために、眠るときはHUAWEI Band 8などに付け替える方が良いかもしれません。
筆者紹介――太田百合子 テックライター。身近なデジタル製品とそれら通じて利用できるサービス、アプリケーション、および関連ビジネスを中心に取材・執筆活動を続けている。
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