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よりパワフルで熱にも強くなった究極のゲーミングスマホ「ROG Phone 7 Ultimate」

ASCII.jp / 2023年7月19日 12時0分

 ASUSのゲーミングスマートフォン「ROG Phone」シリーズの最新モデル「ROG Phone 7」シリーズは、クアルコム製のハイエンド向けチップセット「Snapdragon 8 Gen 2」を搭載し、16GBのメモリーを搭載するなど非常に高い性能を備えるだけでなく、放熱やオーディオに一層注力してよりゲームプレイの体感工場がなされているのがポイントだ。その最上位モデルとなる「ROG Phone 7 Ultimate」をお借りできたので、実力を検証してみよう。

ROG Phoneらしさを踏襲したデザイン

 まずは外観を確認すると、ROG Phone 7 Ultimateはディスプレーサイズに6.78型でリフレッシュレート165Hzの有機ELディスプレーを搭載しており、ノッチやパンチホールを取り入れず、あえてベゼル部分にフロントカメラを配置したゲーミング重視の設計を採用。本体サイズは約77×173×10.4mmで、ディスプレイサイズが大きく変わっていないことから実質的に前機種「ROG Phone 6 Pro」(約77×173×10.4mm)と同じだ。

「ROG Phone 7 Ultimate」の前面。大画面とベゼル部分にフロントカメラを配置する設計は従来モデルと共通している

 ただ重量は245gと、ROG Phone 6 Pro(239g)と比べやや重くなっている。厚さがあることから、スマートフォンとしてはやはり大きく重く感じてしまうのが正直なところだが、その分バッテリーは6000mAhと大容量で、長時間のゲームプレイにも安心感が高い。

 背面のデザインもコンセプトはROG Phone 6 Proと大きく変わらない印象で、カラーは引き続きストームホワイトを採用。カメラと小型ディスプレーの「ROG Vision」が配置されたメカニカル調の独特のデザインが特徴的だ。唯一大きく異なっているのが、横にした状態で上に来る場所にある黒色の部分なのだが、こちらは後述する「AeroActive Cooler 7」用のシャッターとなっている。

背面は「ROG Phone 6 Pro」に近いデザインで、小型ディスプレイの「ROG Vision」も搭載。左側の黒色の部分はAeroActive Cooler 7装着時に開くシャッターとなる
ROG Visionの設定は、後述する「Armoury Create」からすることが可能。画面オン時やゲーム中など、シーンに応じたエフェクトの表示設定ができる

 側面のインターフェースも大きく変わっておらず、縦にした状態で右側面に音量キーと電源キーのほか、後述する「AirTrigger」用の超音波タッチセンサーが備わっており、底面にはUSB Type-C端子と3.5mmのイヤホンジャックが用意されている。

右側面には電源キーと音量キーのほか、「AirTrigger」用の超音波タッチセンサーも備わっている
底面にはUSB Type-C端子と3.5mmのイヤホン端子が備わっているので、リズムゲームなども安心して楽しめる

 加えて従来のROG Phoneシリーズ同様、左側面、横にした状態で下部に位置する部分にもUSB Type-C端子が備わっている。ゲーム中に電源を取りたい場合はこちらの方が扱いやすいだろう。

横にした状態で下に位置する左側面にもUSB Type-C端子を用意している点は従来のROG Phoneシリーズと共通。青色の部分はSIMスロットになる

性能は最高クラスで冷却関連機能も大幅に強化

 続いてゲーミングで重要なパフォーマンスを確認すると、ROG Phone 7 Ultimateはチップセットにクアルコム製のハイエンド向けとなる最新の「Snapdragon 8 Gen 2」を採用し、メモリーは16GB、ストレージは512GBと、現行のスマートフォンとしては最強クラスの性能を誇る。

 実際にベンチマークを取ってみてもスコアは非常に高い。動作クロック数で上回る「Snapdragon 8 Gen 2 Moble Platform for Galaxy」を搭載した「Galaxy S23」シリーズなどと比べても高いスコアを記録する時があった程だ。

「Geekbench 6」のCPUベンチマーク結果
「3DMark」(Wild Life Extreme)のベンチマーク結果

 そうした数値を抜きにしても、主要なAAAクラスのゲームを一通りプレイした限り、グラフィックを最高設定にしても快適にプレイできるのでゲーミングの満足感は非常に高い。ただそれだけに気になるのはやはり発熱と、それによるパフォーマンスの低下だ。

「PUBG MOBILE」のグラフィック設定はクオリティーが「FHD」、フレーム設定が「ウルトラ」までアップでき、現行のAndroidとしては最上位の設定が可能だ
「原神」のグラフィック設定はデフォルトで「中」だが、「最高」にアップさせフレームレートやモーションブラーの設定を上げても十分快適なプレイが可能だ

 これまでのROG Phoneシリーズも、ベイパーチャンバーやグラファイトシート等の搭載によって放熱に力を注いできたが、それでも長時間プレイするとある程度熱くなるので、その際には別途冷却ファンを付けることが推奨されていた。ROG Phone 7 Ultimateにも後述する冷却ファンが付属するのだが、ゲームをプレイしてみると本体自体の放熱も進化している印象を受ける。

 実際、「原神」をしばらくプレイしながら何度か温度を測定してみたが、40度を超えるまで1時間はかかる印象だ。ROG Phone 6が30分程度で40度を超えていたことを考えると温度上昇ペースが遅くなっているようだ。もちろんそれ以上プレイし続けると45度に達するなど温度は高くなるのだが、付属の冷却ファン「AeroActive Cooler 7」を使うことでさらなる冷却効果を得ることができる(標準モデルではオプション)。

 AeroActive Cooler 7はROG Phone 7シリーズ共通の周辺機器で、装着することで本体を冷却できるだけでなく背面に4つの物理ボタンを追加できるのが特徴。だがROG Phone 7 Ultimateの場合は、さらに装着すると先に触れた背面のシャッターが開き、本体内部に直接空気を送り込んで冷却効果を高められるようになっている。

付属の「AeroActive Cooler 7」(右)とROG Phone 7 Ultimate(左)を並べたところ。サイズはかなり大きい
装着したところ。ゲーミング向けの機器らしくファンが光るのもポイントだ
AeroActive Cooler 7を装着した状態でゲームをプレイしているところ。ファン自体は大振りだが、横にした状態で下部に位置するUSB端子に接続する仕組みなのでゲームはプレイしやすい

 AeroActive Cooler 7は冷却モードを4つから選ぶことができ、初期状態ではシステムの状態に合わせて自動で冷却モードを切り替える「スマート」だが、AeroActive Cooler 7自体に直接電源を接続すれば最強の「フローズン」も利用可能になる。その冷却効果はてきめんで、AeroActive Cooler 7を装着し「フローズン」の状態でAAAクラスのゲームを1時間以上ゲームをプレイしてみたところ、激しいプレイをしても本体の温度は35度以下に抑えられていた。

設定で冷却の度合を変えることもでき、ファンに電源につないだ状態であれば最強の「フローズン」を選択できる
フローズンの状態で「原神」を1時間以上プレイしたあとに温度を測定したが、熱いところでも35度前後であったことからその効果はてきめんだ

 加えてAeroActive Cooler 7はサブウーファーを搭載していることから、装着してゲームをプレイするとサウンドの迫力が一層高まるのもメリットだ。もちろん装着するとそれだけ本体の大きさが増すのに加え、音量キーが押しづらくなる、本体からの給電で動作することからバッテリーの消耗が激しくなるなどの弱点も生まれることから、余裕がある時に装着してよりゲームを快適に楽しむ使い方がよいだろう。

AirTriggerやマクロがより活用しやすくなる機能も

 ゲーミングに関するインターフェースはROG Phone 6シリーズと共通しており、代表的な部分でいえば先に触れた超音波タッチセンサーを用いた「AirTrigger」や、本体を傾けたり、振ったりするなどして操作できる「モーションコントロール」などが挙げられるのだが、ROG Phone 7シリーズでは他にもいくつかの機能が追加されている。

超音波タッチセンサーをゲームプレイに用いる「AirTrigger」などゲーム専用のインターフェースは引き続機搭載されている

 その1つが「振動マッピング」で、これは特定の位置をタップした時に振動で触感をフィードバックしてくれるよう設定できる機能だ。スマートフォンの画面タップは基本的にフィードバックがなく、ゲーム中に指の位置がずれてボタンを押しそびれてしまうことも少なからずあることから、割り当てておくとそうしたミスを減らすことができるのではないだろうか。

 そしてもう1つは「ROG Instant Master」というもの。これはゲームに応じたAirTriggerの設定やマクロ操作などをあらかじめ用意し、ダウンロードして追加できるもの。ROG Phoneのインターフェースは使いこなすと便利である一方、設定するのに手間がかかるため活用しづらいのが難点でもあったことから、とりわけゲーミングスマートフォン初心者にはありがたい機能といえる。

「ROG Instant Master」を使えば、対応するゲームでマクロやAirTriggerの設定をダウンロードして使用することが可能。自分で設定することなく便利機能が利用できるのはメリットだ

 他にもROG Phone 7シリーズには、AI技術を活用してゲーム中のイベントなどを通知する「X Sense」や、勝利シーンなどキーとなるイベントで自動的にスクリーンショットを撮ってくれる「X Capture」などの機能が備わっている。ただ筆者がいくつかのゲームを試してみた限りではこれら機能を利用できなかったことから、対応するゲームはある程度限られているのだろう。

 なお、これらゲーム中のインターフェースに関する設定をこなすのは「Game Genie」で、宇宙船のようなイメージのデザインや、ゲーム中に画面左右の上部から斜めにスワイプすると呼び出せる仕組みなどはROG Phone 6シリーズから変わっていない。またホーム画面などから呼び出し、パフォーマンスの調整やAirTriggerの感度調節などをする「Armoury Create」も、デザインや機能の多くはやはりROG Phone 6シリーズと共通している。

「Game Genie」は「ROG Phone 6」シリーズ同様、宇宙船のようなイメージのデザインとなっている

カメラは前機種を踏襲した3眼構成

 最後にカメラと通信機能について確認しておくと、背面のカメラは5000万画素/F値1.9の広角カメラと、1300万画素/F値2.2の超広角カメラ、500万画素のマクロカメラの3眼構成。フロントカメラは3200万画素と画素数が大幅にアップしているが、メインカメラは広角カメラのセンサーもソニーの「IMX766」と共通しているようで、ROG Phone 6 Proから大きく変わっていない印象を受ける。

 ただ実際に撮影してみると、従来よりくっきりとした画作り担っている印象を受けることから、ソフトウェア処理には何らかの変更が加えられていると考えられる。

カメラは広角、超広角、マクロの3眼構成でROG Phone 6 Proと性能面では大きく変わっていない
広角カメラで撮影した写真。ソフト処理の変更からかコントラストが強めになっている印象も受ける
超広角カメラで撮影した写真。イメージセンサーが大幅に異なるので色合いなどもかなり違っている印象だ

 カメラアプリの撮影機能もROG Phone 6 Proと共通しているようで、AIによる被写体認識やライトトレイルモードなどは引き続き利用可能だ。ただし光学式手ブレ補正などが備わっていない点もROG Phone 6 Proと共通しているので、暗所での撮影時には注意が必要だろう。

 一方の通信に関しては、SIMは物理SIM(nanoSIM)×2のデュアルSIM構成でeSIMには対応していない。もちろん5Gにも対応しており、ミリ波には非対応だが日本を含むグローバルモデルではバンドn79(ドコモの4.5GHz帯)にも対応するようだ。

SIMはデュアルSIM機構で、eSIMはなくnanoSIM×2という構成は最近では珍しくなった

【まとめ】着実な進化を遂げたがワクワク感も欲しかった

 まとめると、ROG Phone 7 Ultimateはゲーミングスマートフォンとして性能面だけでなく、機能面でも面でも着実な進化を遂げており、よりゲームプレイがしやすいスマートフォンに仕上がっている印象だ。とりわけROG Instant MasterでAirTriggerなどのオススメ設定をインストールできる点は、充実したインターフェースを持て余していたユーザーにとってメリットが大きいだろう。

 ただ一方でカメラや、Game Genieなどのインターフェースに関しては大きな変化がなく、全体的に見ればROG Phone 6 Proと大きく変わらない印象を受けたのも確かだ。まったく新しい独特のデザインを採用した外箱で演出面が強化されてはいるのだが、実際のプレイ時にワクワク感を与える新たな仕組みも欲しいと感じただけに、次はぜひインパクトのある進化を望みたい。

ROG Phone 7 Ultimateの外箱。AeroActive Cooler 7を同梱していることもあってサイズはかなり大きく、デザインも非常に特徴的だ

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