涙の分泌制御の仕組みを解明 ドライアイの治療薬開発に向けた新たな標的分子の発見
@Press / 2016年6月27日 18時0分
星薬科大学 先端生命科学研究所 生命科学先導研究センター ペプチド創薬研究室の塩田 清二 特任教授および富山大学大学院理工学研究部(理学)の中町 智哉 助教らの研究グループは、涙の分泌に関わる新たな機構を発見・解明しました。涙液分泌を促進する機構が明らかになったことで、ドライアイなどの乾燥性疾患の原因解明と効果的な治療法の開発に繋がることが期待されます。
この成果は2016年6月27日(月)以降、英科学雑誌Nature Communicationsにて発表されます。
1. 会見日時
日時 :2016年6月27日(月)14:00~
場所 :星薬科大学 医薬品化学研究所5F 大谷記念ホール
(東京都品川区荏原2-4-41)
会見者:塩田 清二(星薬科大学・特任教授)、中町 智哉(富山大学・助教)
2. 発表のポイント
◆下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)遺伝子欠損マウスがドライアイと類似した症状を示すことを発見しました。
◆マウスにPACAPを点眼することにより涙液分泌が促進し、その機構に水チャネルが関与していることを明らかにしました。
◆本成果より、ドライアイなどの乾燥症候群の原因解明とPACAPの創薬展開が期待されます。
3. 発表の概要
星薬科大学 先端生命科学研究所 生命科学先導研究センターの塩田 清二 特任教授、および富山大学大学院理工学研究部(理学)の中町 智哉 助教らの研究グループは、涙の分泌に関わる新たな機構を発見、解明しました。
涙液分泌量の低下は眼球乾燥症(ドライアイ)の主な原因となっており、涙液分泌の制御機構を明らかにすることはドライアイ患者への効果的な治療法の確立に向けた重要な研究課題です。しかしながら、これまでに涙液分泌を促進させる有効な治療法の開発はほとんど進んでいませんでした。
塩田 清二 特任教授と中町 智哉 助教らの研究グループは、神経ペプチドの一種である下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)の遺伝子欠損マウス(PACAP KOマウス)が加齢に伴って角膜傷害や涙液分泌量の低下といったドライアイ様の症状を示すことを発見しました。このことから、PACAPには涙液分泌促進作用があると考え、PACAPをマウスに点眼したところ、涙の分泌が点眼開始15分から45分まで有意に増加しました。また、ドライアイ様症状を示したPACAP KOマウスでもPACAPを点眼することにより、涙液分泌量が回復し、さらに連続で点眼することで角膜傷害の進行を抑制することができました。
PACAPによる涙液分泌促進メカニズムを解析したところ、PACAPは涙腺で発現する水チャネルの一種であるアクアポリン(AQP)5に作用し、AQP5を細胞質から細胞膜に移動させることにより、細胞膜上に水の通り道を作成し、涙液分泌を促進することを明らかにしました。
本成果より、ドライアイなどの乾燥性疾患の原因解明とPACAPの創薬展開が期待されます。
4. 発表雑誌
雑誌名 :「Nature Communications」
(オンライン版の場合:6月27日以降)
論文タイトル:PACAP suppresses dry eye signs by stimulating tear secretion
(PACAPは涙液分泌の促進によりドライアイ症状を抑制する)
著者 :Tomoya Nakamachi, Hirokazu Ohtaki, Tamotsu Seki,
Sachiko Yofu, Nobuyuki Kagami, Hitoshi Hashimoto,
Norihito Shintani, Akemichi Baba, Laszlo Mark,
Ingela Lanekoff, Peter Kiss, Jozsef Farkas,
Dora Reglodi & Seiji Shioda
(中町 智哉、大滝 博和、関 保、養父 佐知子、加賀美 信幸、
橋本 均、馬場 明道、マーク ラズロ、ラネコフ インジェラ、
キッシュ ピーター、ファーカス ジョセフ、レグロディ ドラ、
塩田 清二)
DOI番号 :10.1038/ncomms12034
詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
この記事に関連するニュース
-
腎臓の糖新生を制御する臓器間ネットワークを世界に先駆けて解明!―ケトン体が腎臓による血糖、酸・塩基バランスのコントロールに一役―
PR TIMES / 2024年4月22日 12時15分
-
B型肝炎の新薬開発に成功!新しい機序の治療法の開発は、いよいよ治験準備段階へ
PR TIMES / 2024年4月13日 14時40分
-
光で記憶を操る!新たな技術「光駆動型ホスホリパーゼCβ」を開発
Digital PR Platform / 2024年4月6日 9時1分
-
生きた細胞内で小胞の動きを可視化し、2種類の小胞融合機構を発見
Digital PR Platform / 2024年4月5日 14時0分
-
セルロース系バイオマスの分解効率化に期待
PR TIMES / 2024年4月5日 11時15分
ランキング
-
1【解説】円安どこまで進む? 深刻…家計にも影響、為替介入の可能性は
日テレNEWS NNN / 2024年4月25日 20時5分
-
2アキレス、シューズの国内生産終了へ コスト増や少子化など背景
ロイター / 2024年4月25日 16時27分
-
3サイゼリヤ、ギリギリ「国内黒字化」も残る難題 国内事業の利益率0.05%、値上げなしで大丈夫か
東洋経済オンライン / 2024年4月24日 7時30分
-
4イトーヨーカドー、祖業のアパレル復活なるか アダストリアとの新ブランドが生んだ“相乗効果”
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月25日 10時0分
-
5グリコ「17種類出荷停止」巨大プロジェクトで誤算 40年ぶり社長交代で"データ志向"を目指したが
東洋経済オンライン / 2024年4月25日 16時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください