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IEEE 電気電子技術の学会誌「IEEE Spectrum」が掲載した「MITの海水の塩分除去のための新手法」に注目集まる

@Press / 2016年8月30日 12時30分

Illustration:MITtleman Lab / Brown University
IEEE(アイ・トリプル・イー)は、アメリカで発行する電気電子技術の学会誌「IEEE Spectrum」にて昨年掲載した「マサチューセッツ工科大学(MIT)研究チームの海水の塩分除去のための新手法」に清潔な飲料水の確保方法として注目があつまっていることをお知らせします。


人口の急増に対処するための清潔な飲料水と農業用水の確保は、21世紀の喫緊の課題の1つです。注目すべき自然資源として世界の海がありますが、海水の脱塩には多くのコストとエネルギーが必要なことがわかっています。

アメリカの電気電子技術の学会誌「IEEE Spectrum」で発表されたマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、衝撃波を利用して海水から塩分を取り除く新しい脱塩システムを開発しました。同システムについて、MITの研究者たちは、脱塩、遠隔地および緊急時における浄水、水圧破砕法で排出される汚染した汽水の浄化に対して、実用的でエネルギー効率に優れた方法となり得ると述べています。

もっとも一般的に使われている脱塩方法は、海水の沸騰処理を伴い、多くのエネルギーを消費します。これよりも幾分エネルギー消費量の少ない方法として、塩や塩化物イオンをブロックし、純水だけを通す分厚い膜を使って海水をろ過する「逆浸透法」があります。しかし、この逆浸透法は水分子が膜を通過するのに時間がかかるため、使用が限定されます。加えて、膜で水をろ過するには、少ないと言ってもまだかなりのエネルギーが必要です。

そこで、MITでケミカル・エンジニアリングと数学を担当するマーティン・バザント(Martin Bazant)教授は、浸透膜を必要とせずエネルギー消費量も少なくてすむ「shock electrodialysis(ショック電気透析)」と呼ばれる方法に着目しました。

その手順とはまず、小さなガラス粒子を焼結して作られた荷電多孔質材を通過して、水が流れるようにします。多孔質材全体にわずかな電流を発生させると、塩化物イオンが水流の一方の側に集まり、塩分濃度の高い側と、低い側とができます。電流が一定の値に達すると、多孔質材の表面に衝撃波が発生し、淡水と塩水の2つの水流に完全に分離されます。そして水流が中間できれいに2つに分かれるという方法です。

塩水で衝撃波が発生する現象については、数年前にスタンフォード大学の研究チームにより発見されていました。しかし、電気透析のプロトタイプ・システムにそれを応用したのはバザント教授のチームが最初であり、その研究結果は『Environmental Science & Technology』誌で発表されました。このプロトタイプ・システムでは、溶液から各種塩類を99%以上除去し、最大79%の水を再生することが可能です。泥やバクテリアなどの汚染物質も取り除けます。

同システムは構造が単純で安価な材料を用いていることから、規模の拡大も夢ではありません。現在、研究チームは、大型のプロトタイプ・システムの開発に取り組んでいます。

MITのプレスリリースにおいて、オランダ水技術研究所の主任研究員のマールテン・ビーシェーヴェル(Maarten Biesheuvel)氏は、この新たな脱塩法について次のように述べています。

「海水と、地下水などの汽水の両方の水資源に向けた塩水脱塩の新たな可能性を開くものです。大きな問題が生じることなく、シングルセルのシステムから数千セルの規模にまで拡張できるのかどうか、今後の動向に注目しています」
(なお、ビーシェーヴェル氏は今回の研究には関わっていません)

http://spectrum.ieee.org/energywise/energy/environment/shocking-trick-to-desalinate-water


■IEEEについて
IEEEは、世界最大の技術専門家の組織であり、人類に恩恵をもたらす技術の進展に貢献しています。160カ国、40万人以上(日本国内には約14,000人)のエンジニアや技術専門会の会員を擁する非営利団体で、論文誌の発行、国際会議の開催、技術標準化などを行うとともに、諸活動を通じて世界中の工学やその他専門技術職のための信用性の高い「声」として役立っています。

IEEEは、電機・電子工学およびコンピューターサイエンス分野における世界の文献の30%を出版、2,000以上の現行標準を策定し、年間1,300を超える国際会議を開催しています。

詳しくは http://www.ieee.org をご覧ください。

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プレスリリース提供元:@Press

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