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武田科学振興財団、「2016年度 武田医学賞」受賞者を発表 11月14日(月)東京・ホテルオークラにて贈呈式を開催

@Press / 2016年9月26日 11時0分

豊島 近 博士
公益財団法人 武田科学振興財団(理事長:横山 巖、所在地:大阪市中央区)では、このほど「2016年度 武田医学賞」を下記の2氏に贈呈することを決定しました。
受賞者には、賞状、賞牌・盾のほか一件につき1,500万円の副賞が贈呈されます。なお、贈呈式は、11月14日(月)午後6時よりホテルオークラ(東京)において行います。


「武田医学賞」は、医学界で顕著な業績を挙げ、医学ならびに医療に優れた貢献を果たされた学者・研究者に贈呈されるもので、1954年、武田薬品工業株式会社の創業170周年記念事業の一つとして設けられ、1963年、当財団の設立と同時に継承され今日に至っています。
2016年で60回目を迎える「武田医学賞」の受賞者総数は、2016年度を含めて124名となります。


■豊島 近 博士(とよしま ちかし)
東京大学 教授(62歳)
受賞テーマ:「イオンポンプの輸送・制御機構の原子構造による解明」


■斎藤 通紀 博士(さいとう みちのり)
京都大学 教授(46歳)
受賞テーマ:「生殖細胞の発生機構の解明とその試験管内再構成」


■豊島 近 博士 略歴
<学歴・職歴>
1978年3月  東京大学理学部卒業
1983年3月  東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了
       理学博士号取得
1984年1月  東京大学理学部助手(物理学教室)
1986年7月  米国スタンフォード大学細胞生物学教室博士研究員
1988年4月  英国MRC分子生物学研究所研究員
1989年7月  理化学研究所・国際フロンティア研究員
1990年1月  東京工業大学理学部(生命理工学部)助教授
1994年5月~ 東京大学分子細胞生物学研究所 教授
2008年4月  カリフォルニア大学・バークレー校 Hitchcock Professor
2009年8月~ 国立台湾大学 Distinguished Research Chair Professor
2010年7月~ 東京大学分子細胞生物学研究所
       附属高難度蛋白質立体構造解析センター長

<賞罰>
2005年 米国科学アカデミー外国人会員
2007年 National Lecturer(米国生物物理学会)
2008年 Michael Berridge賞(欧州カルシウム学会)
2010年 朝日賞(株式会社朝日新聞社)
2011年 山崎貞一賞(一般財団法人材料科学技術振興財団)
2015年 紫綬褒章(日本国)
2016年 上原賞(公益財団法人上原記念生命科学財団)
2016年 Gregori Aminoff賞(Royal Swedish Academy of Sciences)


■豊島 近 博士 研究業績
<受賞テーマ:イオンポンプの輸送・制御機構の原子構造による解明>
細胞の内外でナトリウムや、カリウム、カルシウムといったイオンの濃度は大きく異なっており、その濃度の違いを、生体はエネルギー源や信号として利用したりする。信号として特に重要なイオンはナトリウムとカルシウムである。
イオンは濃度勾配に従って自然にチャネル蛋白質を通って信号となるが、元の状態に戻すためには濃度の薄い方から濃い方へイオンを汲みあげなければならない。この役割を果たすのが、イオンポンプと呼ばれる生体膜中に埋まった(膜蛋白質と呼ばれる)蛋白質群で、生命活動に極めて重要なものである。蛋白質は立体構造を変化させ機能を果たすのだから、その作動機構の解明には立体構造の決定が必須である。
豊島博士は困難なことで知られる膜蛋白質の結晶化において常識に囚われない独自技術を開発し、2000年に世界で初めてカルシウムポンプ蛋白質の原子構造決定に成功した。その後、輸送サイクル中のほぼすべての中間体の結晶構造を決定し、ポンプ蛋白質の作動機構を原子レベルで解明した。さらに、骨格筋における制御蛋白質であるサルコリピンとの複合体の構造を決定し、カルシウムポンプの制御機構の解明にも成功した。
また、より複雑で、生物学的・医学的により重要ともいえるナトリウムポンプにも取り組み、ここでも、「ナトリウムポンプはカリウムより低い親和性しか持たないのに、何故ナトリウムのみを厳密に選別し、しかも高速に運搬できるのか」という長年の謎に明快な答えを与えた。さらに、2世紀以上にわたって処方されてきた強心配糖体ジギタリス類の結合様式をも明らかにし、ナトリウムポンプの制御機構をも明らかにした。
豊島博士は「蛋白質はどうしてそういう構造でなければならないのか」という本質的な問いに常に答えようと努力しており、現代生物学の重要な分野の一つである能動輸送とその制御機構の解明に多大な貢献をした。


■斎藤 通紀 博士 略歴
<学歴・職歴>
1995年 3月 京都大学医学部医学科 卒業
1999年 3月 京都大学大学院医学研究科 博士課程修了
      博士(医学)取得
1996年 4月 日本学術振興会特別研究員 DC1(京都大学大学院医学研究科)
1999年 4月 日本学術振興会特別研究員 PD(京都大学大学院医学研究科)
2000年 1月 英国ガードン研究所 研究員
2003年 1月 英国ガードン研究所 上級研究員
2003年 4月 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター
      チームリーダー
2003年10月 科学技術振興機構「さきがけ」研究者 兼任
2009年 4月 京都大学大学院医学研究科 教授
2011年 8月 科学技術振興機構「ERATO」研究総括 兼任

<賞罰>
2009年 文部科学大臣表彰若手科学者賞(文部科学大臣)
2013年 読売テクノフォーラム ゴールド・メダル賞(株式会社読売新聞社)
2013年 大阪科学賞(大阪府・大阪市・一般財団法人大阪科学技術センター)
2013年 ナイスステップな研究者2013(科学技術・学術政策研究所)
2014年 日本学術振興会賞(日本学術振興会)
2014年 日本学士院学術奨励賞(日本学士院)


■斎藤 通紀 博士 研究業績
<受賞テーマ:生殖細胞の発生機構の解明とその試験管内再構成>
生殖細胞系譜は、精子及び卵子に分化し、それらが融合することで新しい個体をつくり、新しい世代に遺伝情報を伝える細胞系譜である。その重要性にも関わらず、生殖細胞の発生機構、特に、哺乳類の生殖細胞形成機構は長く未解明であった。
斎藤博士は、単一細胞発現遺伝子解析法を用い、マウス始原生殖細胞に発現する遺伝子群を次々に同定し、その機能を解明、生殖細胞形成過程の分子制御モデルを提唱した。これらの成果に基づき、斎藤博士は、マウスES細胞やiPS細胞などの多能性幹細胞から始原生殖細胞様細胞を誘導し、それらから精子、卵子、健常な産仔を作成することに成功した。斎藤博士は、本実験系を用いて、生殖細胞の転写制御機構やエピゲノム動態を解明した。
次に、斎藤博士は、ヒトiPS細胞からヒト始原生殖細胞様細胞を誘導することに成功し、ヒトとマウスの生殖細胞形成機構の共通点と相違点を明らかにした。さらに、斎藤博士は、カニクイザルを用いた研究により霊長類発生学の礎を形成しつつある。
斎藤博士の研究は、生殖細胞の発生機構に関する様々なコンセプトを提唱するのみならず、不妊やエピゲノム異常症の原因究明など医療応用に結びつくことが期待される。


■FAQ
Q.武田医学賞は国際賞ですか?
A.武田医学賞は日本人研究者を対象に贈呈しております。国際賞ではありません。

Q.武田医学賞の選考方法は?
A.財団理事、評議員、名誉顧問、武田医学賞選考委員、武田医学賞受賞者、日本学士院会員(第7分科)、日本学士院賞受賞者(1999年以降医学関連)の90名からの推薦をもとに、9名からなる選考委員会で公正に決定いたします。
今回は18名からの選考でした。
選考委員長は岸本 忠三 先生(元 大阪大学 総長)にお願いしています。
その他8名の選考委員については公表を控えさせていただいております。

Q.武田医学賞の起源について教えてください。
A.1954年:武田薬品工業株式会社の創業170周年記念事業の一つとして
      和敬翁(五代 武田 長兵衞氏)の発意を受け、
      六代 武田 長兵衞氏により武田医学賞の褒賞事業が始まる。
  1963年:武田科学振興財団設立
      武田医学賞を武田薬品工業株式会社から当財団に移管

Q.武田科学振興財団の財源は?
A.1963年財団設立以来の武田薬品工業株式会社の寄附金、および1980年、武田 彰郎氏(当時武田薬品工業株式会社副社長)の遺志により寄贈を受けた同社株式の配当金が基盤になっています。
当財団は、同社株式の2.27%を保有する第5位の株主です(2016年3月末現在)。
詳細につきましては武田科学振興財団ホームページをご覧ください。
( http://www.takeda-sci.or.jp/ )

詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press

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