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オープンストリームと電気通信大学、FPGAによるAIエッジコンピューティング技術の実証実験を行い、論文を発表

@Press / 2018年4月2日 11時0分

株式会社豆蔵ホールディングス(証券コード:3756、本社:東京都新宿区、代表取締役社長:荻原 紀男)の事業会社である、株式会社オープンストリーム(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:吉原 和彦、以下 オープンストリーム)と国立大学法人 電気通信大学(所在地:東京都調布市、学長:福田 喬、以下 電気通信大学)の情報理工学研究科 情報学専攻 庄野逸研究室は、FPGA(*1)によるディープラーニングの実装について研究および実証実験を行い、その結果を論文としてまとめ、米国コーネル大学が運営する世界的な論文投稿サイト arXiv.org にて発表いたしました。

「arXiv.org」: https://arxiv.org/abs/1803.10930


【本研究開発の背景】
現在、IT業界ではディープラーニングをはじめとするAI技術の本格的実用化(社会実装)が課題となっています。AIシステムの構成を「クラウド vs エッジ」という構図で見た場合、これまでの研究開発はクラウド型の技術が先行しています。その理由は、大量のデータをもとに機械学習するため、GPU(*2)などの計算リソースをまとめて用意したり、学習データの保存先として利用するために、クラウド型の基盤が適しているためです。

しかし、クラウド側だけにAI機能が偏ることは、今後社会実装を進める上で下記のような問題があります。

(1)通信量・データ容量の増大
たとえば、IoTとAIを連携させようとする場合、膨大なIoTセンサー情報などを全てクラウドに集約することが必要となり、インターネット通信量や、データ保管容量が膨大になるおそれがあります。

(2)処理遅延(リアルタイム性の低下)
IoTの現場(=エッジ)で発生した事象を、一旦クラウドに転送してからAIで解析し、その結果をまた現場に戻す構成では、結果が出るまでの処理時間が長くなります。また、高速なネット接続環境を用意できないシステムではそもそも成立しない構成です。

(3)システムの信頼性・頑健性低下
クラウド型システムでは、何らかの障害等により通信路が途絶えると、AI機能が使えなくなり、エッジ側の機能も麻痺してしまいます。これは、高い信頼性が求められるシステムでは、望ましい構成とは言えません。

(4)電力消費の増大
クラウド型で良く使用される GPUは、単位演算あたりの電力消費が大きく、大規模なAIデータ解析を実用化する際のネックとなります。

上記の問題を解決し、実用的にAI/IoT技術を社会実装するための方法論として、近年「エッジコンピューティング」が注目されています。

エッジコンピューティングとは、クラウドだけに頼ることなく、エッジ側で主要な演算処理を行うシステム構成です。近年の関連技術の進歩により、エッジコンピューティングは、従来の「組み込み」システムのイメージを超える、高度な演算性能を低コストで実現できる環境が整いつつあります。

特に最近ではAI用途の高度な計算も可能とする技術として、FPGAやエッジ用GPU、AI専用プロセッサなどが登場しています。

そこでオープンストリームでは、IoT用途などで重要な小型化や低電力化に効果が高く、またオープンストリームのR&D戦略(後述)の柱であるリアルタイム性に寄与するFPGAに注目し、電気通信大学の庄野教授にも支援を受けつつ本研究を推進してまいりました。


【発表した論文の要旨】
前述のとおり、FPGAによるエッジAI機能の実現を目指し、オープンストリームおよび電気通信大学 庄野研究室の研究チームは、FPGAを用いたディープラーニングのPoC実証実験(コンセプト検証)開発を行い、その結果を論文にまとめ、arXivにて発表しました。これにより、全世界の研究者・技術者に本研究内容を公開したことになります。(arXivは、AI研究者・技術者の研究成果発表のスタンダードとして世界的に認知されています。)

本論文の主な内容は以下の通りです:
● 演算規模を縮小化するため、「バイナリ化ニューラルネット」手法を適用したGAN(*3) モデル"B-DCGAN"を考案し、その性質を検証しました。
● 上記のB-DCGAN をXilinx社のZynq-7000型 FPGA上に実装する手法を開発し、実際に必要な回路規模・メモリ容量などを検証しました。その結果、低コストのエントリモデルFPGAでも実装可能であることが確認できました。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/153112/LL_img_153112_1.png
実装評価に用いたFPGAボード

今回の実装評価に用いたFPGAボード(Digilent社 Pynq-Z1)(写真左)。中央にある黒い部品がFPGAチップ(Xilinx 社Zynq-7000)(写真右)

本論文は、下記URLより閲覧することができます。
URL: https://arxiv.org/abs/1803.10930


【電気通信大学 庄野 逸教授のコメント】
・本論文について
現状のディープラーニングプラットフォームは大規模なGPUを使ったものからスマートフォンや小型化といった方向に舵を切りつつあります。その先駆的な意味で、本論文は非常に興味深い内容だと考えています。
特にFPGAといった論理素子のみでディープラーニングプラットフォームを考えるのは面白いアプローチで、学術的にはどの程度までロバストネスがあるのかといった点、実用的にはどの程度まで消費電力を抑えられるのかという点、それぞれに意義があるように思われます。

・オープンストリーム社との共同研究のメリット
オープンストリーム社と共同研究するメリットの一つは学生に良い刺激が与えられることにあります。特にプログラムコードというものに対する要求のシビアさ、共同開発していくことの大切さがわかってもらえた点は非常に意義深かったと思っています。
また、ハードウェアを用いた研究は、当方の研究室ではそれほど強いわけではありませんでしたが、今回オープンストリーム社からの提案でチャレンジし、課題を一つ一つクリアしながら知見を積み重ねていったことは、研究の幅を広げる意味でも非常に良かったと思います。

・今後の可能性
特にハードウェア系などで、リアルタイム性を追求するようなアプリケーションを開発していくことは非常に有意義なので、今後も共同研究を続けていきたいと考えております。


【今後の展開】
FPGAは、GPUに較べて単位演算あたりの消費エネルギーを小さくでき、演算回路を工夫するとCPUよりも処理速度を高めることが可能なため、最近ではエッジ用途だけでなくAmazon社のAWSやMicrosoft社のAzureなどの主要なクラウド基盤に搭載されるなど、各方面で注目が高まっています。

実際、FPGAの応用分野はAI分野だけでなく、FinTech分野、自動車分野、宇宙開発分野などでの活用が期待されています。

ただし、FPGA上のロジック開発には、特有の知識と技法が必要です。オープンストリームでは今回の研究を通じて基本的な FPGA開発技術を獲得しました。さらに、ディープラーニングのニューラルネット処理もFPGA化が可能であることを実証できました。

今後オープンストリームでは、今回培ったFPGA開発技術をさらに発展させ、画像や音声の認識・生成、スマートホーム、異常検知などのAI系アプリケーションや、ハードウェア暗号処理などのFinTech関連アプリケーションなど、エッジ・クラウド含めたFPGA技術の適用拡大を図ってまいります。


【オープンストリームのR&D戦略について】
オープンストリームでは中長期の戦略的な技術開発テーマとして「リアルタイム行動解析」を掲げております。
たとえば、2017年発表した「ねこもに」(ねこさがしIoTサービス)も、この戦略に沿って開発したものです。ねこもにでは、BLEタグの信号強度をモバイル端末上で統計解析し、ねこの位置をリアルタイム推定するアルゴリズム技術を独自に開発して搭載しています。

リアルタイム行動解析の実用化には、アルゴリズム理論、クラウド基盤技術、エッジコンピューティングなどを高いレベルで統合する技術が必要であり、産学連携・他社アライアンスなどを柔軟に活用しながらR&Dを推進しています。

*1 FPGA:Field-Programmable Gate Array。ユーザが回路構成を自由に設定できるLSIデバイス。AIやFinTechなどの計算の高速化手段として近年注目されている。
*2 GPU:Graphics Processing Unit:もともとは3DのCGやゲーム用の画像処理を行うプロセッサだが、AI用の計算にも使えるため、近年非常に多用されるようになった。
*3 GAN:Generative Adversarial Networks(敵対的生成ニューラルネットワーク)。ディープラーニングの応用法の一つで、2つのニューラルネットを相互に競争させるように学習させることで、自然画像そっくりの画像を生成したりすることができる。


【株式会社豆蔵ホールディングス 概要】
所在地: 東京都新宿区西新宿2-1-1 新宿三井ビルディング34階
設立 : 1999年11月
代表者: 代表取締役社長 荻原 紀男
資本金: 874百万円 ※2017年3月末
URL : http://www.mamezou-hd.com/


【株式会社オープンストリーム 概要】
所在地: 東京都新宿区西新宿2-7-1 小田急第一生命ビル9階
設立 : 2000年1月
代表者: 代表取締役社長 吉原 和彦
資本金: 2億6,260万円
URL : https://www.opst.co.jp/


【国立大学法人 電気通信大学 概要】
所在地: 東京都調布市調布ヶ丘1-5-1
学長 : 福田 喬
URL : http://www.uec.ac.jp/


※記載の会社名・製品名は、各社の商標または登録商標です。
※本ドキュメントの掲載内容は発表時の内容です。


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プレスリリース提供元:@Press

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