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ビクトレックス社、3Dプリンティング対応の新規PAEKポリマーおよびフィラメントを開発

@Press / 2018年8月6日 14時0分

PEEKおよびPAEKポリマーのパイオニア企業であるビクトレックス(英国、ソーントン・クリーブリーズ)は、3Dプリンティングに代表される付加製造技術(以下AM: Additive Manufacturing)に対応した新規PAEKポリマーおよびPAEKフィラメントを開発したことを発表しました。新規PAEKポリマーはレーザー焼結(Laser Sintering)に対応した高強度と非焼結粉末の高いリサイクル率が特徴です。PAEKフィラメントは既存品よりも優れたZ軸強度を有し、フィラメント・フュージョン(FF)との相性を向上させています。これら2つの新製品の技術詳細は、2018年9月に英エクセター大学の付加製造技術センター(CALM)で開催される付加製造技術学会(年に2回開催)で発表されます。
(注)超高性能熱可塑性ポリマー群のPAEK(=ポリアリールエーテルケトン)に属する代表的なポリマーのひとつがPEEK(=ポリエーテルエーテルケトン)です。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/162835/LL_img_162835_1.jpg
新ポリマーによるLSデモパーツ

(本リリースは7月26日に配信された英文リリースの日本語版です)

【新製品の特徴】
付加製造技術にはコスト削減、迅速な商品化、従来方法では製造できなかった複雑形状のパーツ製造を可能にする、など多くのメリットがあります。既存のPAEK素材を用いて付加製造技術を応用した例もありますが、元来切削加工や射出成形向けに開発されたPAEK素材は付加製造技術には向かない特性もあります。レーザー焼結向けに開発された第一世代のPAEK素材は再利用できる範囲がとても限られており、プリンティングのたびに新しい粉末を用意する(リフレッシュ)必要がありました。またフィラメントフュージョン向けのPAEKフィラメントはフィラメント間接合が弱く、十分なZ軸強度がありませんでした。
ビクトレックスが開発した新規ポリマーは非焼結粉末のリサイクル率が大きく改善され、選択的レーザー焼結法(SLS)で製造した場合と同様の機械特性を実現しています。またフィラメントフュージョンにおいては機械特性とプリンティング特性の向上が確認されています。


【チーフ・サイエンティスト:ジョン・グラスミーダーのコメント】
「これら新規PAEKポリマーおよびフィラメントは付加製造技術の輝かしい未来をさらに期待させてくれるものです。リサイクル粉末を使用したテストパーツでは材料特性が失われていないことも確認できました。従来PAEKではレーザー焼結後に残る非焼結粉末の約40%も再利用できずに処分されていましたが、非焼結粉末のすべてを再利用できれば材料コストの大幅な削減が可能になります。」


【CEOヤコブ・シグルドソンのコメント】
「付加製造技術をさらに進化させる次世代VICTREX PAEK素材が第一歩を踏み出しました。これらの素材は、航空宇宙産業や医療業界を始めとする複数の応用分野に大きな変革をもたらすものと期待しています。この素晴らしい初期成果はビクトレックスのたゆまぬ研究開発と、ビクトレックス主導の付加製造技術の業界コンソーシアムに属する各企業や研究機関との連携が生み出したものです。付加製造技術とこの新規ポリマーの組み合わせによるデモ用パーツ(写真)をご覧いただければ、従来の設計思想を大きく変える全く新しい可能性が切り開かれたことが感じ取っていただけると思います。」


【コンソーシアムによる連携で付加製造技術をさらに進化】
ビクトレックスが主導している付加製造技術コンソーシアムはいくつかの企業や研究機関から構成されており、2016年からは英国のイノベーション担当庁(Innovate UK)より資金援助も受けています。本コンソーシアムは付加製造技術を飛躍的に向上させるための先駆的研究開発を目的に発足したもので、中でも航空宇宙用途に適した高耐熱性で安価に製造できるポリマーコンポジットの研究開発に注力しています。このコンソーシアムは、エアバス・グループ・イノベーション、EOS、エクセター大学付加製造センター(Centre for Additive Layer Manufacturing [CALM])、E3D-オンライン、HiETAテクノロジーズ、サウス・ウエスト・メタル・フィニッシング、3T-RPDなどから編成されています。

ビクトレックスの新しいPAEK粉末およびフィラメント開発は、このコンソーシアム参加企業によるテクノロジーと密接に関連しています。EOS社は最近、高温でスーパーエンプラを3DプリンティングできるEOS P 500という全自動型のプラスチック部品レーザー焼結製造装置を発売しました。コンソーシアムで開発された材料は、EOS社の研究開発拠点においてEOS社の既存装置およびこの新型EOS P 500における製造・加工性の評価試験が進行中です。またビクトレックスはコンソーシアムのパートナーであるE3Dと連携して新しいPAEKフィラメント製品の商品化前テストを引き続き実施することを計画しています。E3Dは新しいPAEKフィラメントに最適化された、水冷式フィラメント押出成形用ヘッドの販売を開始しています。

ビクトレックスは35年以上にわたってPAEK/PEEKポリマーの開発に特化してきた専業メーカーで、近年ではポリマーだけでなく、厳選された各種ポリマー加工品やパーツの開発に注力しています。軽量で強固なPEEKポリマーは高温、摩擦磨耗、疲労、腐食、薬品などに高い耐性を示す材料で、厳しい環境下における機構部品や製造工程の開発に、設計自由度とコスト・メリットをもたらす超高性能ポリマーとして知られています。


■Innovate UKについて
Innovate UKは、英国のイノベーション担当庁です。Innovate UKは、英国の経済を成長させる科学技術のイノベーションを発掘し推進させる人々、企業、パートナー組織と共に活動しています。詳細については次のサイトをご覧ください: https://www.gov.uk/government/organisations/innovate-uk


■ビクトレックス社について
ビクトレックス社(Victrex plc) は英国に本社をおく、VICTREX PEEKを中心とした超高性能ポリマー製造開発におけるリーディング・カンパニーです。35年以上にわたって航空宇宙、自動車、エレクトロニクス、エネルギーおよび医療の各産業に向けて最先端ポリマーソリューションを提供し続けており、スマートフォン、航空機や自動車の構造部品、石油・ガスの採掘現場からインプラント用医療機器にいたるまで世界中で広く使用されています。詳細については弊社ウェブサイト https://www.victrex.com/ja/ をご覧ください。


詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press

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