芝浦工業大学、自然界に存在する微生物を利用したレアメタル回収技術の開発に成功

@Press / 2013年6月7日 11時30分

川で微生物を採取する山下教授と研究員の様子
芝浦工業大学(東京都江東区豊洲/学長:村上 雅人)応用化学科の山下 光雄教授は、特殊な金属代謝機能をもつ微生物を用いて工業廃水に含まれるレアメタルを回収する技術を開発し、レアメタル汚染という環境問題に対応すると同時に、回収したレアメタルを市場価値のある資源としてリサイクルすることを可能にしました。これまで、太陽光パネルの材料となるセレン、テルルや、電子部品や自動車モーターの材料となるネオジム、ジスプロシウムの回収に成功しており、産業への利用を検討しています。今後は回収元素を広げ、希少金属のさらなる回収をめざします。

パソコンや携帯電話、自動車などの製造に不可欠であり、近年、供給不安や価格高騰で知られる希少金属レアメタル。その一つであるセレンは水に溶けると毒性を示し、それが体内に入ることで神経障害や脱毛を引き起こすこともある毒劇物で、無意識のうちに環境汚染や人体汚染が進行しているケースも少なくありません。また、従来のセレンを含んだ工業廃水の処理は、セレンを凝集するにも多量の化学薬品を使う必要があり、高いコストがかかります。これは、廃水処理技術としても問題がある上、廃水からセレン元素を回収する技術はありませんでした。

山下教授は、泥中や川などの自然界に存在する微生物を用いて、工業廃水中のセレンを回収する技術を確立しました。具体的には、水に溶けた毒性のセレンを不溶化し、無毒のセレンに還元することのできる好気的セレン酸塩還元菌Pseudomonas stutzeri NT-I株を発見。この微生物を工業廃水中で培養することで、水に溶けていた毒性のセレン酸・亜セレン酸が変化して元素態のセレン(固化物)になります。固液分離すると、セレンは固体として濃縮され、これを焼成(焙焼)すると、酸化物セレンになり資源化できます。このようにして工業廃水中のセレンを除去・回収することに成功しました。

セレンは、太陽光パネルやガラスの着脱色剤として利用されており、後にこのような市場価値のある資源としてリサイクルすることを目的としています。また、テルルや自動車モーターの永久磁石などに使用されるネオジム、ジスプロシウムなどもこの方法での回収実験に成功して特許を出願済みであり、現在、産業への利用を検討しています。


~この研究に、豊富な資源が眠るアフリカも関心~
山下教授と堀池 巧研究員は、5月16日、17日に行われた経済産業省資源エネルギー庁、独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が主催する国際資源ビジネスサミット「J-SUMIT」にて本研究について講演を行いました。当日は、茂木 敏充経済産業大臣や、スーザン・シャバング南アフリカ共和国鉱物資源大臣も参加。現在、レアメタルの埋蔵量が多いとされるアフリカの資源に注目が集まっており、国内だけでなく国外の研究者とも活発な意見交換が行われ、山下教授の研究に関心が寄せられました。

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提供元:@Press

【関連画像】

Pseudomonas stutzeri NT-I株と生成したセレン酸化物セレン(固化物・無毒)

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