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カナダ・トロント小児病院が北米初の無切開骨腫瘍手術に成功!

@Press / 2014年8月19日 15時30分

トロント小児病院の外見
カナダ・オンタリオ州のトロント小児病院(The Hospital for Sick Children, SickKids)*1は本日、骨腫瘍子ども患者の無切開手術に成功したと発表しました。この手術治療は成人の子宮筋腫や移転性骨腫瘍に施されていますが、子どもの骨腫瘍手術への適用は北米で初めてとなります。

今回、トロント小児病院が行った無切開の骨腫瘍手術は磁気共鳴映像法(MRI)で腫瘍の位置を確定し、超音波を一点に集めて高いエネルギーを作り、高温で腫瘍を破壊するという高密度焦点式超音波治療法です。従来の方法とは異なる非侵襲治療法のため、皮膚や周囲の骨は損なわれず、感染などの併発リスクも大きく軽減されます。また、CTスキャンの代わりにMRIを使用したことで、患者が被ばくする怖れがありません。この治療法は併発リスクを軽減し回復時間を短縮するのみならず、患者の痛みを大幅に緩和することができます。

今回、手術を受けたのは、オンタリオに住むスポーツ好きの16歳の少年、ジャック・カンパニーレ(Jack Campanile)君です。ジャック君は、術後の数時間のうちに退院し、その夜は久しぶりに痛みにも悩まされず、ぐっすり眠れたと笑顔で語ってくれました。

医療技術開発の最前線に立つトロント小児病院の画像誘導技術開発・治療センター(Centre for Image-Guided Innovation &Therapeutic Intervention , CIGITI)のセンター長で、今回の手術リーダーの一人、ジェームズ・ドレイク(James Drake)博士は、「手術には何年もの共同作業や調整作業を要しましたが、技術的にも組織的にも偉業と言える成果を出せたのは喜ばしい事です。この治療技術を生かし、軟部組織腫瘍、小児の脳卒中、てんかんなどを含む医療や外科手術分野に、新たな非侵襲治療法を開発することは非常に有望だと期待しています」と述べています。

トロント小児病院の快挙を受け、オンタリオ州政府、レーザ・モリディ(Reza Moridi)研究革新省大臣は、以下の声明(一部抜粋)を発表して同病院の医療チームを称賛しました。

「トロント小児病院は科学の新境地を開拓したばかりでなく、更に重要なことは、16歳の少年の痛みを即座に緩和するという、画期的な偉業を達成したことです。
今回の偉業に貢献した20人以上から成る医師、科学者、技士、看護師、麻酔医のチームの中でも、私は、画期的な治療法を成功に導いたジェームス・ドレイク博士と、同病院のインターベンショナル・ラジオロジーの医師、マイケル・テンプル (Michael Temple)博士達のリーダシップを称賛したいと思います。
今回の功績は、オンタリオ州に極めて優秀な研究者がいて、更に、同州が世界的に有名な研究所を支援している意義を確かに裏付けるものと自負するものです。そして、このような画期的な治療法を可能にする研究資金を提供し続けていることを光栄に思います。
今後、患者のジャック少年ができるだけ早く快方へ向かい、また彼の好きなスポーツであるスノーボーディングやホッケーができる日が日一日も早く来ることを祈ります」

※なお、本件に関して、レーザ・モリディ研究革新省大臣、ジェームズ・ドレーク博士およびマイケル・テンプル博士へのご取材を希望される場合には、下記までご連絡ください。
カナダ・オンタリオ州政府経済開発省 日本広報窓口 
株式会社トークス  レオン
Tel: 03-3261-7715   E-mail: ontario@pr-tocs.co.jp

■関連情報
・ 過去数十年の間、骨腫瘍の治療は侵襲手術で腫瘍を骨から削り取るのが一般的でした。1990年代半ば以降、より効率的でかつ侵襲手術より低リスクで、コンピュータ断層映像(CT)や無線周波数もしくはレーザエネルギーを使って、腫瘍を焼く低侵襲手術が普及しました。しかし、放射線被ばく、感染、周囲細胞のやけどなどの一定のリスクは依然存在しています。
・ 2014年7月17日に行われた今回の治療は、トロント小児病院のスタッフが、サニーブルック・ヘルスサイエンス・センター(Sunnybrook Health Sciences Centre)で特殊なMRIテーブルを使い、同センターのMRIおよび放射線腫瘍学スタッフのサポートを受けて実施されました。
治療自体は30分ほどで終わりましたが、3時間の事前準備を要しました。同チームはMRIを使って、腫瘍の正確な位置を特定するほかに、治療中、腫瘍周囲に超音波による温度の上昇がないように監視(モニター)します。超音波は焦点周囲の細胞、神経や皮膚を破壊する怖れがありますので、正確な位置の把握やモニターは非常に重要です。

※1 トロント小児病院について
同病院は、世界的に有名な小児病院の一つです。北米にある他の小児病院と比べても、国際性が際立っていることが大きな特色で、臨床フェローの約半数を外国人が占めています。子供たちや乳児向け手術用の次世代ロボットや医療画像診断術の最先端の研究を行っています。
ウェブサイト:http://www.sickkids.ca

※2 Centre for Image-Guided Innovation & Therapeutic Intervention (CIGITI) について
CIGITIは、大学・ビジネス界から、外科医、エンジニア、そしてソフトウェア開発者を集結させ、ロボットを用いた低侵襲手術において革新的な技術を創出することをミッションにしています。CIGITIの研究領域は主にイメージング、ロボット、シミュレーションの3分野に分かれています。

■オンタリオ州について
オンタリオ州はカナダ経済の中心地となっており、カナダ全体のGDPの38%、人口の39%、カナダの輸出品の39%がオンタリオ州に集中しています。あらゆる規模の事業者に対する財政面や事業面でのサポート体制、イノベーションや研究開発を促進させる資金支援プログラム、G7の中で最も高い教育水準を誇る労働力などをベースにして、オンタリオ州は、カナダ最大の経済圏、かつ、北米でトップ10の経済圏となっています。
約200社の日系企業が、オンタリオ州に投資しており、ホンダ、トヨタ、日産、三菱重工業、カプコン、コーエイ、アステラス製薬、武田薬品工業、キャノンなどの主要企業が現地法人を置いています。日本はオンタリオ州の5番目の貿易相手国となっており、また、当州への海外資本投資額のうち、日本からの投資額が約9%を占めます。2010年の日本の対オンタリオ州の輸入額は10億6,000万カナダドル、同輸出額は、91億6,000万カナダドルとなっています。

■オンタリオ州政府在日事務所について
オンタリオ州政府在日事務所(Ontario International Marketing Centre、東京都港区カナダ大使館内)は、日本とオンタリオ州の貿易・投資促進を図る目的で2006年6月、オンタリオ州政府経済開発省(Ontario Ministry of Economic Development, Trade and Employment)によって、開設されました。同在日事務所は、日本企業の投資誘致活動、オンタリオ企業・輸出業者への支援、日本の行政・媒体関係者の協調関係を深めるなど、様々な活動を通じてオンタリオ州の産業、ビジネスを紹介し、日加間のビジネス交流・貿易の促進に取り組んでいます。

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プレスリリース提供元:@Press

【関連画像】

ジャック君(左)

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