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「食」「食文化」を通じて健康長寿を実現するビジョンを発信する 農林水産省主催「和食・食機能・京文化が切り拓く健康長寿産業シンポジウム」彬子女王殿下の御講演や、研究者らの学術発表を約200名が聴講

@Press / 2014年11月26日 16時0分

パネルディスカッション
農林水産省は、2014年11月17日(月)、京都国立博物館 平成知新館 講堂にて、「和食・食機能・京文化が切り拓く健康長寿産業シンポジウム ~超高齢社会を迎え、古都京都から食や文化を通じて健康長寿を考える~」を開催いたしました。専門家のみならず一般消費者からも広く参加があり、約200名が一堂に集まりました。

日本は世界有数の長寿国であり、日本の食事はヘルシーであるというイメージが定着している一方で、科学的に裏付けされたエビデンスが少ないことも事実です。農林水産省としては、食と健康長寿の関係について科学的エビデンスの集積が急務と考え、栄養機能の高い農産物の開発やそのエビデンス取得などの取組を行っています。本シンポジウムは「食」さらには「食生活を含めた文化」を通じて健康長寿を実現するビジョンを発信すること目的に開催しました。


【主催者代表挨拶】
はじめに主催者を代表し、慶應義塾大学医学部長で、健康長寿延伸のための食育イニシアチブ協議会(※1)議長の末松 誠氏と、農林水産省大臣官房審議官 研究・連携担当の長谷部 正道氏より挨拶がありました。
末松氏は「慶応義塾大学医学部では、超高齢者の中でも百寿者に着目した30年間にわたる疫学研究や、長寿にかかわる遺伝の相違の問題を最先端の解析技術を用いて解明していく活動を行ってきた。本シンポジウムではぜひ活発な討論を期待する」、長谷部氏は「日本は世界に先駆けて高齢化社会に突入し、男女とも世界で最も長い平均寿命となっている。一方、介護を必要としない健康寿命と平均寿命の間には8~10歳のかい離が存在する。私たちは高齢者の皆様に少しでも長く健康に暮らしていただくことを目指し、和食をはじめとした適切な食事が果たす役割は大きいものと考える。本シンポジウムが、食が健康に果たす重要な役割を思い起こすきっかけとなり、和食文化の発祥地の京都が健康長寿産業の発展拠点となることを願う」と述べました。

▼末松 誠氏
http://www.atpress.ne.jp/releases/54231/img_54231_2.jpg
▼長谷部 正道氏
http://www.atpress.ne.jp/releases/54231/img_54231_3.jpg


【来賓代表挨拶】
続いて来賓を代表し、京都府知事代理・京都府農林水産部長の小田 一彦氏が「京都では料理人や、和菓子・漬物・お豆腐などの職人、京野菜などの生産者、さらに外食産業の努力により安心で安全な世界に誇れる和食が守られている。京都が世界有数の観光都市として和食のすばらしさを国内はもとより世界各地に発信していく最適の地であると確信し、和食文化の継承・発展になおいっそう尽力していきたい。本シンポジウムが食を通じて皆さんの健康長寿や幸せな社会に結びつくきっかけとなることを願う」と知事からのメッセージを代読しました。


次に、特別講演、シンポジウム、パネルディスカッションが行われました。内容は下記のとおりです。

【特別講演】
特別講演は、彬子女王殿下と京都嵯峨芸術大学教授の佐々木 正子氏が順に登壇されました。
彬子女王殿下の「お米が伝える日本文化」と題した講演では、子どもたちに日本文化を伝えるためにご自身が創設し総裁を務める「一般社団法人 心游舎」での活動を紹介しながら「国民の祝日の15日のうち8日が神事と結びついているものであり、お米と神事と皇室は深い繋がりがある。心游舎ではお米の大切さを伝えるために、自分で絵付けした九谷焼の飯碗でごはんを食べたり、禅の作法にのっとりおくどさんで炊いたごはんを食べるワークショップを行っているが、お米は子どもたちにとって大切な存在だと改めてわかった。お米をいただくことと神様、仏様に感謝することは密接に繋がっていることを今後もワークショップを通して伝えていきたい」とお話しいただきました。

▼彬子女王殿下
http://www.atpress.ne.jp/releases/54231/img_54231_4.jpg

続いて佐々木 正子氏は「絵画にみる和食健康長寿幸福論」と題し、江戸時代の絵師・円山應挙の「難福図巻」に描かれている健やかな老夫婦の長寿の祝いの絵を例に取り上げ「幸福は一つでも欠ける部分があっては成立しないものと絵画は語っている。日本人が『健康長寿幸福』であるためには、健康長寿に関する欠けることのない様々な分野からの研究アプローチと研究成果の統合、連結、発展こそが重要と考える」とまとめました。


【シンポジウム】
シンポジウムは、京都府立医科大学学長の吉川 敏一氏を司会進行役に行われました。
シンポジウム(1)では、京都府立大学大学院生命環境科学研究科 教授の木戸 康博氏と京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学 講師の成本 迅氏が登壇しました。
木戸 康博氏は「栄養科学の視点から健康長寿を考える」と題し、講演。健康長寿のためには適切な栄養素がバランスよく取れているか、さらにそのバランスを短期間で調整する習慣を身につけているかが重要なポイントであること、また健康増進に効果を発揮することが期待される成分を有すると科学的に認められた「機能性農林水産物」に着目し、今後はそれらの食品の機能性を国民に広く伝えていくことが課題であると解説しました。
成本 迅氏は「こころの健康長寿を支える食事と生活スタイル」と題し、講演。認知症の主な原因であるアルツハイマー型認知症と血管性認知症の予防には脳を健康に保つこと、ひいては食事によって脳の血管を老化させないことが大事であり、また老年期のうつ病予防もトリプトファンを食品から多く取ることが有効であると説明。さらに長寿世界一としてギネス記録を持ち116歳で他界した京丹後市の木村 次郎右衛門さんの食生活を例に挙げ、質の高い食事を取るには社会との繋がりが不可欠という見解を述べました。

シンポジウム(2)では、京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学教室 准教授の内藤 裕二氏、独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究 食品機能研究領域長の山本(前田) 万里氏、特定非営利活動法人 日本料理アカデミー理事長で株式会社菊の井 代表取締役の村田 吉弘氏が登壇し、それぞれ講演を行いました。
内藤 裕二氏は「食の機能性から健康長寿を考える」と題し、講演。日本は世界で最も大腸ガン死亡率が高く、その主な原因は環境因子にあること、食の機能性を消化管機能・消化管環境から評価して健康長寿研究に応用することが重要と考え、研究の結果、水溶性食物繊維が腸内環境を変える重要物質であることがわかってきたことを述べ、今後もさらなる研究を進めたいと目標を語りました。
山本(前田) 万里氏は「農林水産物の機能性から健康長寿を考える」と題し、講演。ヒト試験ですでに立証されてきたミカンや茶の機能性を例に挙げながら、今後はさらに機能性農林水産物のデータベースを構築して一般に広く伝えていくこと、将来的には機能性農林水産物やレシピを海外に輸出していくことが食品機能性研究の最終ステージであると述べました。
村田 吉弘氏は「和食を通じて健康長寿を考える」と題し、講演。日本料理とはうまみ成分を中心に構成された料理であり、和食がユネスコ無形文化遺産に登録された今こそ和食をもっと日本人に推奨していくことが健康長寿に繋がる、さらに米食を中心とした以前の食生活に戻して自給率を上げ、日本の農林水産物を世界に輸出していくことが重要と述べました。

【パネルディスカッション】
パネルディスカッションは、「和食・食機能・京文化と健康長寿」をテーマに行われた。吉川 敏一氏が引き続き司会となり、シンポジウム(1)(2)で講演した木戸 康博氏、成本 迅氏、内藤 裕二氏、山本(前田) 万里氏、村田 吉弘氏らがパネラーとして登壇。主に参加者から質問を受け付け、活発な質疑応答が行われました。

▼(左から)吉川 敏一氏、木戸 康博氏、成本 迅氏、内藤 裕二氏、山本(前田) 万里氏、村田 吉弘氏
http://www.atpress.ne.jp/releases/54231/img_54231_1.jpg


その後、吉川 敏一氏から閉会の挨拶があり、約5時間におよぶシンポジウムは無事終了しました。


参考:
※1 健康長寿延伸のための食育イニシアチブ協議会とは
慶應義塾大学、京都府立医科大学、東京大学、タカラバイオ株式会社、太陽化学株式会社、キッコーマン株式会社、日清食品ホールディングス株式会社、株式会社タニタ、セコム医療システム株式会社、サントリーホールディングス株式会社、味の素株式会社、山形県鶴岡市、JA神奈川県厚生連 伊勢原協同病院 で構成する産学官コンソーシアム

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プレスリリース提供元:@Press

【関連画像】

末松 誠氏長谷部 正道氏彬子女王殿下

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