抜き難いサーキットで静かなバトルが繰り広げられた、2012年F1第11戦ハンガリーGP決勝リポート!

Autoblog JP(オートブログ) / 2012年7月29日 22時50分

抜き難いサーキットで静かなバトルが繰り広げられた、2012年F1第11戦ハンガリーGP決勝リポート!

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2012年F1第11戦ハンガリーGP決勝レースが29日、ブダペスト郊外のハンガロリンクで行われた。画像とともにレースのリポートをお届けしよう。
前日の予選では、マクラーレンのルイス・ハミルトンが2番手に0.4秒差をつけてポール・ポジションを獲得。その2位は自己ベスト・グリッドとなるロータス・ルノーのロマン・グロージャン。3番手タイムを記録したレッドブルのセバスチャン・ベッテルは予選後に厳しい表情を見せていた。その隣にマクラーレンのジェンソン・バトン。3列目にはロータス・ルノーのキミ・ライコネンと、現在チャンピオンシップ・ポイントでトップにいるフェラーリのフェルナンド・アロンソが並ぶ。ザウバーの小林可夢偉は「今シーズン最悪」と言うマシンのバランスに苦しみ、15番手から入賞圏内を目指す。



天気予報に反して晴れ渡った日曜日、現地時間14時(日本時間21時)に決勝レースがスタート...と思ったら、17番グリッドについていたミハエル・シューマッハが乗るメルセデスのマシンがエンジン停止で動けず、フォーメーション・ラップから仕切り直しとなる。

再び1台を除いてグリッド上にマシンが並び(シューマッハはピットから最後にスタートとなる)、今度は無事にレースがスタート。トップで飛び出したハミルトンの後ろで、2番手のグロージャンに、路面状態の良好な奇数列の3番グリッドからスタートしたベッテルが1コーナーで並ぶ。しかしアウト側からでは前へ出られず、かえってコースの外へ追いやられたところ、逆にイン側からバトンに抜かれてしまう。3列目のライコネンは(後で分かったことだが)KERS(運動エネルギー回生システム)にトラブルがあったようで加速がやや伸びなかったのか、アロンソに前に行かれてしまった。その後ろには11番手スタートから大きく順位を上げたレッドブルのマーク・ウェバーが続く。小林可夢偉はトロロッソのマシンに幅寄せされ、コースの外へ押しやられる形となり19位までポジションを落としてしまう。

レース序盤、トップのハミルトンに、2位のグロージャンは2秒前後の差を保ちながら離されずついてゆく。アロンソの後ろにはライコネンが1秒以下の僅差で迫る。

8周目が終わったところで小林可夢偉が早くも1回目のピットイン。硬めのミディアム・タイヤに交換すると、抜き難いこのサーキットで、下位チームとはいえHRTのマシンを2台続けてオーバーテイク。



この時点で順位は1位がハミルトン、約2秒遅れて2位にグロージャン、そこから5〜6秒離されて3位がバトン、その後ろに1秒以下で迫るのが4位のベッテル。5位アロンソはさらに3秒程度離れ、6位ライコネンが1秒前後差で追い掛ける。

15周目を走り終えたところで、バトンが上位陣では最初にタイヤ交換のためピットへ向かう。2周後にベッテルとアロンソ、さらに次の周にハミルトンが同じく1回目のタイヤ交換。アロンソは、ザウバーのセルジオ・ペレスのすぐ後ろでコースに戻ってしまい、やや引っ掛かってしまう形に。この間、ライコネンは自己ベストタイムを出してペースを上げる。19周目の終わりにはグロージャン、次の周でライコネン、ウェバーもタイヤを交換する。多くのドライバーが、予選で選んだソフト・タイヤからミディアム・タイヤに履き替えたのに対し、ベッテルとロータス・ルノーの2台は続けてソフト・タイヤを選択。20周目にようやくペレスの前に出たアロンソだったが、ピットから出たライコネンは彼の前でコース復帰に成功。順位を取り戻した。



それぞれ1度目のタイヤ交換を終えたところで、トップはハミルトン、2位がグロージャン、3位バトン、4位ベッテル、5位にライコネンが上がり、6位アロンソ、7位にウェバーという順位。

25周目、ハミルトンとグロージャンの差が1秒を切る。バトンとベッテルの差も1秒以下に。27周目にはレッドブルのクルー達がタイヤ交換の準備...と思ったら "ふり" だけで、マシンはピットインせず。トランプの勝負などでよく使われる、いわゆる「ブラフ(だまし・はったり)」だ。コース上ではなかなか抜けないので、勝負はタイヤの使い方と交換のタイミングに掛かってくるから、ピットでも「心理戦」を仕掛けて敵を揺さぶろうとするのだ。

27周目にはグロージャンを2.5秒まで引き離したハミルトンだったが、31周目には再び0.8秒まで詰め寄られる。



34周を走り終えたところでバトンが2回目のタイヤ交換へ。ウイリアムズのブルーノ・セナの後ろでコースに戻ってしまい、これに抑えられてペースが上げられない周回がしばらく続く。そして38周目を終えてベッテルもピットへ向かいタイヤを交換。コースに戻ったときにはセナの前、ということはバトンの前に出ることに成功する。次の周にはグロージャンとウェバーもピットへ。さらに1周後にトップのハミルトンも2度目のタイヤ交換を済ませる。グロージャンはまだ2回目のピットインをしていないアロンソの後ろでコースに戻ることになり、しばらく抑えられる形に。トップでレースに復帰したハミルトンはその差を大きくつけようと、全力で逃げる。



43周目を終えてアロンソが2回目のタイヤ交換。コースに戻ったときには、ウェバーに先行されてしまっていた。消耗したタイヤで数周長く走行したことが、裏目に出てしまったのだ。

45周目、暫定トップを走行中のライコネンに「これが最後のラップだ。とばせ!」とピットから無線で檄が飛ぶ。この周を走り終えたところで2回目のタイヤ交換へ。ピットからコースに戻るとき、なんとチームメイトのグロージャンとサイド・バイ・サイドの接近状態に。あわや接触もあるかと固唾を呑んで見守る(特にロータス・ルノーのピットクルーが)中、ライコネンが元世界チャンピオンの風格で後輩を制し(?)、グロージャンの前へ出る。ここまで2位を守り続けていたグロージャンだったが、ピットアウト後、アロンソや周回遅れのシューマッハに抑えられてしまったことによるタイムロスがここで響いた。

これで順位は1位ハミルトン変わらず、2位にライコネンが上がり、3位にグロージャン、4位ベッテル、5位ウェバー、6位アロンソ。セナに抑えられてタイムを損したバトンは7位まで落ちてしまった。

レースは後半。2位に上がったライコネンが、トップのハミルトンを追い上げ、53周目にはその差が1秒以下に縮まる。ホーム・ストレートではDRS(可変リアウイング)を開いてトップスピードを上げ、ハミルトンに迫るライコネン。しかしプレッシャーを与えるのみで前には出られず。本当にハンガロリンクは抜き難いサーキットなのだ。



56周目、ウェバーが3回目のタイヤ交換のためにピットへ向かう。この間、チャンピオンシップ・ポイントを争っているアロンソに前に行かれてしまう。58周目を走り終えたところでベッテルも3回目のピットイン。こちらはタイム差があったためアロンソに抜かれはしなかったが、グロージャンには離されてしまった。レッドブルの「3ストップ作戦」は成功だったとは言えない。

そしてレース終盤。1位のハミルトンに1秒以下まで迫っていたライコネンだが、結局届かず。5位のアロンソを0.7秒差で追い掛けていたバトンも、前に出ることは出来なかった。



予定の70周からスタート・ディレイのために1周減らされて69周のレースを終え、優勝はポール・ポジションからトップを守り切ったルイス・ハミルトン。2位のキミ・ライコネン、3位のロマン・グロージャンと、ロータス・ルノー勢は速さを見せたが初優勝はおあずけとなった。4位にセバスチャン・ベッテルが入り、5位はこの日31歳の誕生日を迎えたフェルナンド・アロンソが、チャンピオンシップ・ポイントのランキング1位を守るだけでなく、2位ウェバーとの差を広げた。

小林可夢偉は最後の1周を残したところでピットへ戻るとそのままガレージにマシンを入れてリタイア。18位完走扱いという結果に終わった。油圧系統のトラブルだったそうだ。

決勝レースの結果順位は以下の通り。

優勝 ルイス・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)
2位 キミ・ライコネン(ロータス・ルノー)
3位 ロマン・グロージャン(ロータス・ルノー)
4位 セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)
5位 フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)
6位 ジェンソン・バトン(マクラーレン・メルセデス)
7位 ブルーノ・セナ(ウイリアムズ・ルノー)
8位 マーク・ウェバー(レッドブル・ルノー)
9位 フェリペ・マッサ(フェラーリ)
10位 ニコ・ロズベルグ(メルセデス)
11位 ニコ・ヒュルケンベルグ(フォースインディア・メルセデス)
12位 ポール・ディ・レスタ(フォースインディア・メルセデス)
13位 パストール・マルドナド(ウイリアムズ・ルノー)
14位 セルジオ・ペレス(ザウバー・フェラーリ)
15位 ダニエル・リカルド(トロロッソ・フェラーリ)
16位 ジャン・エリック・ベルニュ(トロロッソ・フェラーリ)
17位 ヘイキ・コバライネン(ケータハム・ルノー)
18位 小林可夢偉(ザウバー・フェラーリ)
19位 ヴィタリー・ペトロフ(ケータハム・ルノー)
20位 シャルル・ピック(マルシャ・コスワース)
21位 ティモ・グロック(マルシャ・コスワース)
22位 ペドロ・デ・ラ・ロサ(HRT コスワース)

コース上ではなかなかオーバーテイクが見られず、一見退屈なレースに映ったかも知れないが、スタートやピット戦略では順位が変動して、刺激的なバトルが静かに行われていた今回のレース。この後、F1の世界では1ヶ月の "夏休み" に入る。次戦ベルギーGPは9月2日に決勝レースが開催される。

今回は残念な結果に終わってしまった小林可夢偉のコメントを最後にご紹介しておこう。

<関連動画はこちら>

Gallery: 2012 F1 Hungarian Grand Prix



Image Credit: Peter J Fox/Getty | Szilard Koszticsak, Darko Vojinovic, Balazs Czagany, Valdrin Xhemaj, Bela Szandelszky/AP | Sauber Motorsport AG


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