荒れたレース展開で今年8人目の勝者が誕生した、2012年F1第18戦アブダビGP決勝レース・リポート

Autoblog JP(オートブログ) / 2012年11月5日 13時50分

荒れたレース展開で今年8人目の勝者が誕生した、2012年F1第18戦アブダビGP決勝レース・リポート


2012年F1第18戦アブダビGP決勝レースが4日、ヤス・マリーナ・サーキットで行われた。昨夜お知らせした結果順位速報に続いて、レースのリポートをお届けしよう。

Gallery: 2012 Abu Dhabi Grand Prix


 
この週末、絶好調だったマクラーレンのルイス・ハミルトンが、土曜日に行われた予選でポール・ポジションを獲得。その隣にはレッドブルのマーク・ウェバーが並ぶ。同じレッドブルのセバスチャン・ベッテルが3番手タイムを記録...したのだが、予選セッション終了直後、ベッテルはチームからの指示によりマシンをコース脇に止め、ピットまで戻らなかった。このとき、ベッテルのマシンにはサンプルとして提出が義務づけられている量の燃料が残っていなかったため、燃料規定違反として予選結果から除外。失格処分となる。ただし最後尾からのスタートは認められた。これを受け、レッドブルとベッテルはグリッド最後尾よりもピットレーンからのスタートを選択。全車がコントロール・ラインを通過してからスタートということで出遅れることにはなるが、決勝レース開始前にマシンのセットアップを大幅に変更できる。具体的には何度もレース中に予想される追い越しに備え、ギア比を変更し最高速度重視のセッティングにしたという。

話を予選順位に戻すと、4番手タイムは今回速さを見せているウイリアムズのパストール・マルドナド。以下5番手にロータス・ルノーのキミ・ライコネン、6番手がマクラーレンのジェンソン・バトン、チャンピオンシップをベッテルと争うフェラーリのフェルナンド・アロンソは7番手ということで苦戦が予想されたが、ベッテルが大幅にグリッド・ダウンしたことで光が見えた。ザウバーの小林可夢偉はクルマのバランスに苦しみ、16番手タイム。ベッテルの降格によって15番グリッドから入賞を目指す。



そして日曜日、「トワイライト・レース」ということで現地アブダビは夕刻の午後5時(日本時間午後10時)に決勝レースがスタート。フロント・ローから真っ先に飛び出したハミルトンの隣で、ウェバーが大きく出遅れる。その横から迷わず追い越していくライコネンは対照的な好スタートで2位に上がった。3位にマルドナド。ウェバーは4位に順位を落とし、その後ろにバトンをかわしたアロンソが迫る。

後方ではまた今回も接触事故が発生。1コーナーの手前でフォース・インディアの2台とザウバーのセルジオ・ペレスがぶつかり合い、その後ろからウイリアムズのブルーノ・セナも追突。大きくコースからはみ出るペレスと、フォース・インディアの1台、ポール・ディ・レスタ。来季はザウバーに移籍が決まったフォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグはマシンを壊しその場でリタイア。そんな混乱を上手く避けた小林可夢偉は10位という入賞圏内まで早くも順位を上げた。



一方の上位ではストレートでアロンソがウェバーの前に出て、ハード・ブレーキングでオーバーテイクを完了。4位に上がる。

オープニング・ラップの混乱はさらに続く。8位を走行していたメルセデスのニコ・ロズベルグと、その後ろから来ていたロータス・ルノーのロマン・グロージャンが接触し、グロージャンは右フロント・タイヤをパンク。フロント・ノーズを壊したロズベルグ共々ピットへ戻る。

1周目を終え、トップはハミルトン、2位ライコネン、3位マルドナド、4位アロンソ、5位ウェバー、6位バトン、7位フェラーリのフェリペ・マッサ、そして8位に小林可夢偉という順位。

2周目、フロント・タイヤが温まらないのか、トップ走行中のハミルトンがコーナーで大きく外に膨らむ。その隙を突いてライコネンが並び掛けるが、ハミルトンはこれを抑える。ライコネンも深追いは決してしない。2007年の世界チャンピオンはそういうドライバーだ。

最後尾から追い上げていたベッテルだったが、セナを抜こうとして接触。フロント・ウイングの右側翼端板を壊してしまう。セナの後輪はこれに裂かれてパンク。レッドブルのピットでは急いで交換用のフロント・ノーズを用意するが、ベッテルはピットに戻らず、そのまま走り続ける。今は行けるだけ行って、タイヤ交換の時に合わせてノーズも換えようという考えだ。

5周目、序盤の事故からいち早く立ち直っていたペレスが、再び可夢偉の前へ出る。その後ろにはメルセデスのミハエル・シューマッハ。



3位走行中のマルドナドに、後ろからアロンソが迫る。その差は1秒を切っているのだが、ストレートで速いウイリアムズのマシンをアロンソのフェラーリはなかなか抜くことが出来ない。

9周目、19位を走行していたHRTのナレイン・カーティケヤンに、後方から追い上げようとしていたロズベルグが激しく追突。高速コーナーでいきなりブレーキを踏んだカーティケヤンに(ステアリングが壊れ、そうする必要があったそうだ)、まさかそんなところで減速すると思わなかったロズベルグがそのままの速度で突っ込んだのだ。跳ね上がったロズベルグのマシンはカーティケヤンのヘルメットをかすめ、広く採られたエスケープ・ゾーンを横切ってバリヤに激突。幸い2人のドライバーは無事だった。

この事故で多数の破片がコース上に散乱したため、セーフティ・カーが出動。この時12位まで順位を上げていたベッテルだったが、セーフティ・カー先導中に大きくスピードを落としたトロロッソのダニエル・リカルドを避けようとしてコースオフ。「DRS」と書かれた表示板にヒットし、今度はフロント・ウイングの左側を壊してしまう。「あいつ、止まってやがるんだもん!」と無線で文句を言うベッテル。13周目を走り終えたところでピットへ戻り、フロント・ノーズとタイヤを交換する。21番手まで再び順位を落とす。

14周目の終わりにセーフティ・カーがコースから退場し、レース再開。アロンソはタイヤが冷えたのか、マルドナドに離される。後ろからウェバーが並び掛けたが、これは何とか抑えた。

16周目、ベッテルが17位走行中のグロージャンをオーバーテイク。この時、コースの外枠を示す白線を越えていたため、これが「レース後に審議の対象」となる。

18周目に入った頃、1位のハミルトンは2位ライコネンに3秒のタイム差をつけて快走中。さらに3秒離されて3位のマルドナド。レース再開直後には若干遅れたアロンソだったが、この時にはマルドナドのすぐ後ろ、1秒以内に迫っていた。

だが20周目、突如ハミルトンがスローダウン。エンジンがブローしたとのことだ。コース脇にマシンを止めてリタイアとなる。替わってトップに立つのはライコネン。



21周目、アロンソがマルドナドをパスして2位へ。ペースの上がらないマルドナドには、後ろからさらにウェバーがわずか0.5秒差まで詰め寄る。そのすぐ後ろにはバトンが迫る。これで焦ったのはマルドナドではなく、ウェバーの方だったらしい。アウトから強引に抜こうとしてイン側のマルドナドに接触。7位まで順位を落としてしまう。

続いて今度はバトンがマルドナドにオーバーテイクを仕掛ける。こちらはイン側からプレーキングで無難にパス。その後方ではペレスがマッサを抜く。これで順位は、1位ライコネン、2位アロンソ、3位バトン、4位マルドナド、5位ペレス、6位マッサ、7位ウェバー、そして8位に小林可夢偉。その後ろには、25周目にシューマッハをかわしたベッテルが上がって来ていた。

25周目を走り終えたところで小林可夢偉がタイヤ交換のためにピットへ向かう。この頃、タイヤが消耗し苦しくなっていたマッサに、後ろから迫ってきたウェバーがまたもやアウトから仕掛け、2台は接触。コースの外へはみ出すウェバー。そしてウェバーが目の前に戻ってきたためバランスを崩したマッサはスピン。これで順位を落としたマッサは26周目の終わりにピットへ戻りタイヤを交換する。

28周目の終わりにアロンソがタイヤ交換のためにピットへ。次の周にはバトンとマルドナドもピットへ向かう。さらに30周目を終えたところでウェバーとペレス、またその次の周にはライコネンもタイヤを交換。

それぞれ1度のタイヤ交換を終えたところで、順位はトップがライコネン、変わらず。2位にベッテル。3位がアロンソ。4位バトン。5位は2度のピットインを済ませたグロージャン。序盤の事故からここまで上がって来たディ・レスタが6位、7位ペレス、8位ウェバー、9位マルドナド、10位小林可夢偉となる。



ひょっとしてこのまま最後まで走り切るのかもと一時は思われたベッテルだったが、37周目の終わりに2度目のタイヤ交換のためにピットへ。ペースの上がらないグロージャンよりも前、4位でコース復帰に成功する。

38周目にまたしても多重事故が発生。7位走行中のペレスが、グロージャンとそれをかわしたディ・レスタを、2台まとめてオーバーテイクしようとして、ディ・レスタと接触。2台がコースアウトする。そして戻ってきたペレスは今度はグロージャンにぶつかり、そのせいで止まったグロージャンのマシンに後ろから来たウェバーが追突してしまう。マクラーレンに移籍が決まってから、ペレスはこうしたラフな接触事故が多い。結果を手土産にマクラーレン・チームに移りたい焦りなのか、それともトップ・チームから認められたという傲りのせいか。ペレスにはピットで10秒間停止するという「ストップ&ゴー」ペナルティが科せられた。

この事故によりこの日2回目のセーフティ・カー出動。この時の順位は、1位ライコネン、2位アロンソ、3位バトン、4位ベッテル。5位マルドナド、6位小林可夢偉、7位シューマッハ、8位マッサ。そしてコース上に残されたマシンの破片を踏んだのか、シューマッハのマシンがパンクしてピットへ向かう。



42周目の終わりにセーフティ・カーがコースから退出、43周目にレース再開となる。タイヤが冷えてしまうと温まりにくいアロンソを引き離そうと、ライコネンがペースを上げる。45周目にはライコネンとアロンソのタイム差が3秒に開く。その後ろには1秒以内にバトン。さらに1秒を切る間隔でベッテルが続く。上位4人は全員、ワールド・チャンピオン経験者だ。あとそこにハミルトンとシューマッハがいないことが、とても残念。

レースは終盤。アロンソはペースを上げてライコネンを追う。48周目にその差は1.7秒に縮まった。ファステスト・ラップ(最速ラップタイム)更新を連発するアロンソ。だがこれに反応してライコネンもペースを上げる。

52周目、タイヤがフレッシュなベッテルは、バトンに仕掛けてオーバーテイク成功。きちんと相手のラインを1台分残しておく、クリーンなバトルだった。

レースは残り1周。ライコネンとアロンソの差は1.1秒。DRSが使える1秒以内にまであと僅か。しかしライコネンはミラーで相手の動きをチェックしながら、また少しペースを上げてこの差をコントロール。安定した走りを続けるロータス・ルノーに対し、アロンソのフェラーリは時にコーナーでドリフト状態。



そして55周目を終え、チェッカーフラッグ。0.852秒差で1位を守りきったライコネンは2009年のベルギーGP以来、F1復帰後では初の優勝。「厳しいシーズンだった。(チームで)仕事をしてくれている人たちもこれで少しは安心してくれるだろう。また来シーズンもいいレースが出来るように頑張りたい。まだ今シーズンのレースは残っているけれど、今日の夜はきっと遅くまでパーティをするだろうから、明日はちょっと辛いと思う」と彼なりに喜びを表現。

"諦めない男" アロンソは、予選7番手から2位という結果に「大変嬉しい。トラックで働いてくれたメカニックや、クルマを仕上げてくれたエンジニア、我々全員が、自分たちのした仕事を誇りに思っていいはずだ。今日は最初から最後まで戦い続けた。まずはマルドナド、次はジェンソン、そして最後はキミを追い掛けた。1周たりともリラックスできなかった。今年のベスト・レースかって? それはまだこれからだよ」とプレスリリースでコメント。チャンピオンシップ・ポイントでベッテルとの差はあと2戦を残して10ポイント。まだまだ分からない。

最後尾から3位を獲得したベッテルは「いいレースだった。アロンソとフェラーリには大きなチャンスだったけれど、我々もただ見ていただけではない。まあともかく、今日はとても楽しんだよ。フロント・ウイングにダメージを負って13位からピットに入らなくてはならず(本当は12位まで上がっていたと記録されている)、また全員を抜かなければならなくなったのは最悪だったけれど、最終的には3位に入って表彰台に上がれたからファンタスティックだ」とコメントを発表している。

15番グリッドからスタートして6位入賞を果たした小林可夢偉だが、マシンは完調というわけではなく、クラッチに問題がありダウンシフトが思うところでできなかったり、KERSがきちんと充電しなくてフル・ブーストが使えないというトラブルを抱えていたそうだ。「残り2レース、頑張ってメルセデスとの12ポイント差を巻き返したい」と語っている。



ドライバー達の頑張りと無謀ぶり、幸運と不運が様々に入り乱れ、久々に荒れたレース展開となった今回のアブダビGPからは、今年8人目の勝者が誕生した。次戦は初めてオースティンで開催されるアメリカGP。日本時間では19日月曜日の午前4時にスタートする。そんな時間にとても観ていられないけれど結果は気になる、という方は、是非またAutoblogの速報とレース・リポートをご覧いただきたい。


優勝 キミ・ライコネン(ロータス・ルノー)
2位 フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)
3位 セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)
4位 ジェンソン・バトン(マクラーレン・メルセデス)
5位 パストール・マルドナド(ウイリアムズ・ルノー)
6位 小林可夢偉(ザウバー・フェラーリ)
7位 フェリペ・マッサ(フェラーリ)
8位 ブルーノ・セナ(ウイリアムズ・ルノー)
9位 ポール・ディ・レスタ(フォースインディア・メルセデス)
10位 ダニエル・リカルド(トロロッソ・フェラーリ)
11位 ミハエル・シューマッハ(メルセデス)
12位 ジャン・エリック・ベルニュ(トロロッソ・フェラーリ)
13位 ヘイキ・コバライネン(ケータハム・ルノー)
14位 ティモ・グロック(マルシャ・コスワース)
15位 セルジオ・ペレス(ザウバー・フェラーリ)
16位 ヴィタリー・ペトロフ(ケータハム・ルノー)
17位 ペドロ・デ・ラ・ロサ(HRT コスワース)

以下のギャラリーは、問題を抱えたマシンで健闘した小林可夢偉特集。レース後のコメント動画と合わせてご覧いただければ。

Gallery: Kamui Kobayashi: 2012 F1 Abu Dhabi Grand Prix


Image Credit: Sauber Motorsport AG

<関連動画はこちら>

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