スズキ、ガソリン車No.1低燃費の「アルト エコ」に改良を施し、33km/リッターを達成!

Autoblog JP(オートブログ) / 2013年2月20日 20時30分

スズキ、ガソリン車No.1低燃費の「アルト エコ」に改良を施し、33km/リッターを達成!


スズキは20日、ガソリン車No.1の低燃費を誇る「アルト エコ」に改良を施し、さらに燃費を向上させたと発表。JC08モードで33.0km/リッターを達成したという。3月4日より発売となる。

Gallery: 2013 Suzuki ALTO ECO


 
30km/リッターの低燃費と、電気自動車やハイブリッドカーに次ぐ「第3のエコカー」という宣伝文句を引っ提げて2011年9月に登場したダイハツの軽乗用車「ミラ イース」(下の画像:左)に対抗するため、スズキが急遽(?)、「アルト」の燃料タンク容量を30リッターから20リッターに減らしてまで、30.2km/リッターを達成させた "燃費スペシャル" 「アルト エコ」(下の画像:右)は、ミラ イースから遅れること僅か2ヶ月後の2011年11月に発表された。数値の上ではライバルを凌いだものの、その形振り構わぬ手法には批判が多かったことも事実。お陰でその他にも数多く施されたはずの工夫・改良点があまり評価されず、スズキのエンジニア達は悔しい思いをしたに違いない。それから1年3ヶ月経った今回の改良では、スズキが「グリーンテクノロジー」と称する様々な新技術が投入され、"正攻法" でその燃費を33.0km/リッターまで伸ばすことに成功している。



2012年9月にモデルチェンジされた「ワゴンR」で一足先に採用され、「2013年次RJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した「スズキグリーンテクノロジー」とは、「環境に配慮しながら、さらに便利で楽しいクルマを目指す技術の総称」だという。

そのまず1番の目玉といえば、ダイハツの「第3のエコカー」に対抗したのか、より具体的でキャッチーな「発電するエコカー」という宣伝文句で耳目を集めた、独自の減速エネルギー回生機構「エネチャージ」。アクセル・ペダルから足を離して減速するときに、慣性の法則を利用して高効率・高出力なオルタネーターで "発電" し、それを従来の鉛バッテリーだけでなく、高効率なリチウムイオン・バッテリー(下の画像:右)にも蓄えておくことによって、クルマに必要な電装品の電力をそれで賄い、エンジンを発電機から解放してやることで燃料消費を抑えるという仕組みだ。このリチウムイオン・バッテリーには東芝製のSCiBという2次電池が採用されている。高価だが、サイクル寿命は長く、低温性能に優れている上、事故の際にもし破損してショートを起こしても発火しにくいという安全面でも優れた特徴を持っているという。



そしてもう一つの低燃費を支えるグリーンな技術が、「新アイドリングストップシステム」。現在では多くのクルマに装備され、すっかりお馴染みとなっているアイドリング停止機構だが、通常この手のシステムでは、交差点などでクルマが停止するとエンジンも停止する。ところがスズキのこの「新」システムは、ブレーキを踏んでクルマが減速すると、完全に停車するよりも前に、走行速度が13km/h以下になった時点でエンジンを自動的に止めてしまう。エンジンの停止時間を長くしたことによって、その分、燃料の消費量が少なくなったというわけだ。

また、スズキではアイドリングストップ時にエアコンまで停止して室温が上昇してしまうことを抑制するため、ユニークな「エコクール」という技術を併用している(上の画像:左)。これはエアコン空調ユニット内にあるエバポレーターという冷媒の気化によって冷却を行う装置の中に、短時間で凍る蓄冷材を採用するというもので、エアコンが止まっていても、その蓄冷材を通して冷やされた空気が室内に送られるので快適に過ごせるし、室温上昇によるエンジンの再始動を遅らせることが出来る。



以上のような新技術の他にも、今回改良されたアルト エコは「細部の部品一点一点に至るまで徹底して見直しを行い、材料や構造の変更などの工夫を重ねて」20kgの軽量化を達成したという。これでライバルのミラ イースよりも軽い、710kgという車両重量を実現した。

最高出力52ps/6,000rpmと最大トルク6.4kgm/4,000rpmを発生する「R06A」型直列3気筒エンジンは、タイミングチェーンの幅を細めることでフリクション(摩擦抵抗)の低減を図るなどの改良が加えられ、CVT(トランスミッション)の変速制御も最適化して効率が高められた。ラジエーターはこれまでより薄型軽量なタイプが採用されているという。

さらにボディでは空気抵抗を低減するため、リア・バンパーの形状を変更すると共に、リアのタイヤハウスに整流板を装着して、抵抗となる空気の乱れを低減。転がり抵抗をより低減させた新開発タイヤも採用された。ブレーキパッドのスプリングにコーティングを施して、ブレーキの引き摺り抵抗も低減させたそうだ。

これらの様々な改良により、2WD(前輪駆動)車では今までよりも燃料1リッターあたり2.8kmも走行距離を伸ばした、33km/リッターという燃費を実現。新たに設定された4WD(4輪駆動)車でも、以前の2WDモデルを超える30.4km/リッターを達成しているという。これはハイブリッドを除くガソリン4輪駆動車で、No.1の低燃費だそうだ。



燃費向上以外の点では、これまで通常のアルトとあまり違いが見られなかった外観に、シルバーで塗装された横バー・タイプ(MINIっぽい?)のアルト エコ専用フロント・グリルが与えられ、合わせてドアハンドルもシルバーで統一された。インテリアはシート表皮がこれまでのベージュからライトグレーになるなど、色使いが変更されている。回転計付きの専用デザインとなったメーターには、燃費効率によってメーター照明色が変化する「エコドライブアシスト照明」が採用されたり、マルチインフォメーションディスプレイにエコドライブ度を採点してくれる「エコスコア」機能が付くなど、乗り手にもエコな運転を心掛けさせるようなギミックが用意されている。細かいことでは、廉価グレードの「ECO-L」にも電波式キーレス・エントリーが標準装備されたり、上級グレードの「ECO-S」ではLEDサイドターンランプ付ドアミラー、キーレスプッシュスタートシステム、イモビライザーがセットでオプション設定されるなど、装備の充実も図られた。



価格は「ECO-L」の2WD車が90万円、「ECO-S」の2WD車が100万円と、これまでより5,000円だけアップ。4WD車はそれぞれ10万円高となる(いずれも消費税込み)。

今回改良されたCVTや車体の軽量化などの恩恵は「エコ」の付かない通常の「アルト」にもおよび、一部機種においてエコカー減税の減税率が向上したそうだ。

新技術の投入による大幅な燃費向上だけでなく、ミラ イースを見てから慌てて急造したのではないかという疑念を感じさせなくもなかったこれまでのモデルに比べると専用装備が増やされるなど、熟成されて商品力が増したアルト エコ。トヨタやスバルにもOEM車を供給しているダイハツが次はどう反撃に打って出るか、ユーザーとしては楽しみだが、開発に携わる方々はさぞかし大変だろう。JC08モードという "国土交通省主催試合" の勝負にとらわれ過ぎて、現実の路上で使われる道具としての利便性を損なうことがないように、くれぐれも留意していただきたいところだ。


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