【短評】「高い。WRXのほうがいい」 スバル「インプレッサWRX STI Special エディション」

Autoblog JP(オートブログ) / 2013年9月7日 17時0分

【短評】「高い。WRXのほうがいい」 スバル「インプレッサWRX STI Special エディション」


Gallery: 2013 Subaru WRX STI Special Edition: Quick Spin Photos


どうやら筆者がこの車を所有するには年齢を重ねすぎたのかもしれない。「いや、そんなことはない」と必死で自分を納得させようとしたのだが...。 筆者がかつてウイングのついたスバル「WRX STI」に入れ込んでいた頃、気にしていたのはターボで味わえるスリルのことだけで、値段やパッケージング、内装のクオリティ、快適性などは、これっぽっちも気に留めていなかったことを、この試乗の前に思い出した。しかし、ひと味違うカラーチョイスに戸惑いを見せる人たちと同じように、筆者も100台限定の色鮮やかなオレンジ色にペイントされたこのスペシャルエディションに乗り込むには、相当な勇気がいった。ちなみに、Autoblogの西海岸担当の編集長であるマイケルは、最近200台限定となる「WRXスペシャルエディション」のセダンを試乗したらしい。
このリミテッドエデションは、ミラーやフェンダーのバッジにブラックのアクセントがつけられ、ホイールもブラックで、ロッカーパネルには特別なグラフィックデザインが施されている。また、インテリアにはオレンジのアクセントがつけられている。この色鮮やかなスバルの値段は34,795ドル(約337万円)。(米の場合は)輸送料として700ドル(約7万円)あるいは、標準仕様以上のモデルには500ドル(約5万円)以上が必要となる。

35,000ドルという値段は決して安くはない。同じ金額を支払うのであれば、他にもっとよさそうな車の選択肢もあると、多くの人が意見するだろう。筆者の老いゆく脳も「もっと合理的に考えれば?」と訴えてくるが、この車は今もなお私の気持ちを若々しく、幸せな気分にさせてくれるのだ。

所感ボクサー4のターボは非常に気持ちがいい。このスペシャルエディションSTIは、通常のSTIと同じ最高出力305hp、最大トルク40kgmを発揮する2.5リッター水平対向4気筒エンジンを搭載している。回転数の低い領域ではターボラグを感じるものの、トルクポイントとなる4000回転に近づくとしっかりと本領を発揮してくれる。

このSTIは、標準仕様の「インプレッサWRX」よりも最高出力で40hp、最大トルクで6.3kgmのパワーアップをしているにもかかわらず、はっきりと"より速い"とは感じられない。その上、筆者が独自で実施したテストでは、パワーが劣るはずの標準仕様のWRXのほうが、時速60マイル(約100km)に到達するのが早かったのだ。WRXにはSTIに装備されている6速マニュアルではなく、よりギア比がワイドな5速マニュアルが採用されているため、各ギアを長めにホールドできる。WRXだとセカンドとサードだけで1日中ドライブできそうだが、STIではもっと頻繁にギアを変える必要がある。

ギアチェンジする際にやや引っ掛かりはあるものの、STIのマニュアル・シフトは楽しめる。アクセルとクラッチ・ペダルの感触は良く、シフトの都度しっかりとギアをつなぐことができる。

STIが標準仕様の兄弟車よりも価値を見いだせるのは、コーナーでの走りだろう。硬めのサスペンションとドライバーズコントロールセンターデフのおかげで、ドライバーが求めるドライビングダイナミクスを明確に堪能できる。このサスペンションだと日々の運転にはつらいものがあるが、もし筆者が5時間運転するなら、ライバルの三菱「ランサーエボリューション」よりスバルのほうが断然いい。

続けてランエボとの比較になると、インテリアはスバルの方がマシということになるが、しかしそれでも、良いとは言えない。このSTIを運転していて筆者は、(ベースとなっている)旧型インプレッサのキャビンがいかにチープだったかを思い出した。このスペシャルエディションSTIも、室内全体に硬質プラスチックが使われており、感情に訴えるような造形はほとんどなく、鮮やかなオレンジ色のアクセントがあるにもかかわらず冴えない印象だった。さらにキャビンには風切り音がイヤというほど入り、値段はそれなりであるにもかかわらず、インテリアのほとんどが非常に安っぽく思えた。

快適さに関しては、残念ながら「いい」とは言い難い。このスペシャルエディションには、スバルの非常に古いスタイルのナビはついておらず、代わりにごく普通のラジオ/CDが搭載されている。また、Bluetooth機能も装備されているものの、直感的に使用できるものとは言えない。

もちろん、すばらしい点もある。標準装備のスポーツ仕様のシートは座り心地がよく、しっかりと身体を支えてくれる。また、一般的にコンパクトセダンと呼ばれる同車のボディサイズを考えると、車内には乗員のための充分な広さがある。後部座席の座り心地と仕上げについてはすばらしいと言えなかったが、少なくとも上部と足元の空間については、後席の誰も文句を言わなかった。

STIの最大の敗因は価格だ。メーカーの希望小売価格である35,000ドルを十分に保証した内容になっていない。STIには"BRZを除く、すべてのスバル車に用意されているすばらしいシンメトリカルAWDが装備されているにも関わらず"だ。価格で考えれば、ノーマルのWRXのほうがよっぽどいいクルマと言える。これだけの金額を出すのであればフル装備のフォード「フォーカスST」を購入でき、尚且つ、お釣りがくる。フォーカスSTはFWDのみだが、筆者ならSTIよりもフォーカスを選ぶだろう。確かにこのSTIにはAWDの良さはあるが、フォーカスの心地のいいインテリアや洗練されたドライビングダイナミクスはそれに勝っているからだ。

このような小さくて凶暴なターボ車は、いつも私に元気を与えてくれる。筆者のホットハッチバック好きは、Autoblog上ではよく知られていると思う。確かにこのSTIは楽しいクルマだ。しかしこういうクルマは、パフォーマンスとそれによって味わえる楽しさが価格に見合うことを証明する必要がある。STI スペシャルエディションは率直に言ってそれができていないのだ。


【基本情報】
エンジン: 2.5リッター水平対向4気筒ターボ
パワー: 最高出力305hp / 最大トルク40kgm
トランスミッション: 6速MT
ドライブトレイン: AWD
車両重量: 1535kg
座席数: 2 + 3
荷室容量: 320ℓ
燃費: 市街地17mpg(約7.2km/ℓ)、高速道路 23mpg(約9.8km/ℓ)
ベース価格: 34,795ドル(約337万円)
試乗車価格: 35,495ドル(約348万円)

By Steven J. Ewing
翻訳: 日本映像翻訳アカデミー

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