【フランクフルトモーターショー2013】トヨタ、420馬力の「ヤリス(ヴィッツ)」を出展!

Autoblog JP(オートブログ) / 2013年9月14日 18時30分

【フランクフルトモーターショー2013】トヨタ、420馬力の「ヤリス(ヴィッツ)」を出展!


トヨタ・ヨーロッパは、現在開催中のフランクフルト・モーターショーで、コンパクトカー「ヤリス」(日本名「ヴィッツ」)に420馬力のハイブリッド・システムを搭載した「ヤリス ハイブリッド-R」を公開。レーシング・テクノロジーを応用することで、ハイブリッドのパフォーマンスと運転の愉しさを追求したコンセプトカーであるという。

Gallery: Toyota Yaris Hybrid-R: Frankfurt 2013


 

Gallery: Toyota Yaris Hybrid-R concept official


 

レース用1.6リッター直噴ターボを搭載

ベースとなっているモデルは、日本では「ヴィッツ」の名前で販売されている小型車「ヤリス」の3ドア。そのボンネットの下にはドイツに本拠を置くトヨタ・モータースポーツ GmbH(TMG)が開発した1595cc直列4気筒直噴ターボを搭載。このエンジンはFIAの提唱により世界ラリー選手権(WRC)や世界ツーリングカー選手権(WTC)など様々なモータースポーツで採用されている「グローバル・レース・エンジン」と呼ばれる規格に合わせて製作されたもので、最高出力300馬力/6,000rpmと最大トルク42.8kgmを発生し、前輪を駆動する。



後輪はモーターが駆動

さらに車体後部には2個の電気モーターが搭載され、走行状況に応じてそれぞれ左右の後輪を独立して駆動するという。こちらは海外で販売されている「ヤリス ハイブリッド」用の電気モーターをそのまま流用したもので、1個あたり60馬力という最高出力を発生する。

そしてもう1つ、フロントのエンジンと6速シーケンシャル・トランスミッションの間には発電機として働く3個目のモーターが内蔵されており、加速時に前輪がパワーとトルクを受け止めきれずにグリップを失いそうになると、後輪を駆動するモーターに電力を供給して加速とハンドリングを向上させる、つまりトラクション・コントロールを一歩進めた役割を果たすという。



WECマシン譲りのスーパーキャパシタを採用

ヤリス ハイブリッド-Rでは、モーターを回すための電気はバッテリーではなく、「スーパーキャパシタ」と呼ばれる装置に蓄える。これはFIA世界耐久選手権(WEC)に参戦中のレーシング・プロトタイプ「TS030 ハイブリッド」で使われている技術を応用したもので、市販車のヤリス ハイブリッドに採用されているニッケル水素バッテリーに比べ、より大量の電力を短時間で充電/放電できるため、サーキットでスポーツ走行をするクルマに適したハイブリッド・システムであるとトヨタは言う。もちろんブレーキング時には3個のモーターがジェネレーターとして機能し、減速エネルギーを電気として回生しこのスーパーキャパシタに充電する。



「ロード」と「トラック」2つのモード

このハイブリッド・システムは、ステアリング・ホイールに備えられたプッシュ・ボタンによって「ロード」モードと「トラック」モードに切り替えることが出来るという。「ロード」モードは公道走行に適した設定で、エンジンの出力は燃調マッピングの変更とターボのブースト圧を下げることによって制限され、電気モーターは専ら燃費向上のためにのみ使われる。例えばエンジンが低回転域にあるときにはこれを補助する役目を果たし、駐車場内など短い距離であればモーターのみによるいわゆるEV走行も可能だ。スーパーキャパシタの容量により、2個のモーターは最大10秒間、40馬力を発生するという。

そしてサーキットを走行するときには「トラック」モードに切り替えれば、システムは最大の動力性能を発揮。エンジンは300馬力をフルに絞り出し、後輪を駆動する2個の電気モーターは最大で5秒間、120馬力を発生する。コーナリング時には外側の後輪に多くのトルクを配分し、必要があれば内側の後輪を制動することで、アンダーステアを抑え、より速く安定したコーナリングが可能となる。



ヴァーチャルからリアルへ

そしてもう1つ、このヤリス ハイブリッド-Rにはユニークな技術が搭載されている。それは「プレイステーション」用レース・ゲーム『グランツーリスモ』シリーズの開発元であるポリフォニー・デジタル社とコラボレーションによって実現したという「CAN-Gateaway ECU」システムを使って、車両の走行データをUSBメモリまたはスマートフォンに保存しておき、リアル世界のサーキット走行と、ゲーム内のヴァーチャルなラップを相互関連させることができるというものだ。データロガーとして走行中に記録されるデータは、速度やエンジン回転数、ギア・ポジションはもちろん、加速・減速Gにステアリングの角度、水温など多岐にわたり、それらをもとにプレイステーションのゲーム上でその走りを再現できる...と、ここまでは「トヨタ 86」用システムとして既に公開済み。今回はさらに一歩進化して、逆にゲーム上でラップを重ねて蓄積したデータを、クルマのECUに読み込ませることで、実際のサーキットを走る際にトラクション・コントロールや電力マネジメントを最適化することが可能になったという。つまり、ゲームをシミュレーターとして使い、そこで得られたデータを実戦で利用できるというわけだ。




アグレッシブでワイドなボディ

どうしても興味は"中身"に行ってしまうが、市販モデルのヤリスからアグレッシブに変えられた内外装についても触れておこう。フロント・マスクはトヨタの現行モデルで採用されている「キーン・ルック」と「アンダー・プライオリティ」と呼ばれるデザイン・フィロソフィーをさらに強調したという。フロント・グリルは拡大され、その両側にはブレーキ冷却用のインテークとLEDデイタイムランニングライトを装備。バンパー下部のリップ・スポイラーは車体下を流れる空気を中央に整流する効果があるという。リア側ではヤリス ハイブリッド用のLEDテール・ライトを使って市販車との関連を表し、ルーフに特製スポイラーを、バンパーの下には大型ディフューザーを装着。バンパー両側に大きく開けられたエア・エクストラクターの間には、青く塗られたエキゾースト・テールパイプが収まる。給油口はレースカーのように素早く再給油が可能なクイック・キャップを採用している。



ワイドに拡げられたフェンダーに収まる18インチのTRD製ホイールには、WECでパートナーシップを組むミシュラン製の、公道にもサーキットにも対応できるという「パイロットスポーツ カップ」225/40R18タイヤを装着。ブレーキも当然強化され、溝入り孔開きのディスクに前6ピストン、後4ピストンのキャリパーが組み合わされている。

青いアルカンターラが張られたインテリアには、2脚のレカロ製バケットシートを装備。シーケンシャル式のシフトレバーはラリー・カーの様に、ステアリングを握るドライバーの右手に近い位置まで延長されている。アルミ製ペダルは「86」のものを流用しているとか。



ハイブリッドのスポーティな可能性を示唆

トヨタによればヤリス ハイブリッド-Rは、ハイブリッド・テクノロジーの将来的な可能性の1つとして、レース活動で培われた技術を応用することによって「最大限のパフォーマンスとドライビング・プレジャーの向上」を実現して見せたものであるという。もちろん、このまま市販化されることはまず有り得ない。が、ひょっとしたら1.6リッター直噴ターボのグローバル・レース・エンジンを搭載するヤリスが、世界ラリー選手権(WRC)に登場する前触れではないか、と噂する向きもあるようだ。また、2個の電気モーターで左右の後輪を別々に駆動するという考え方は、ホンダも新型「NSX」などで採用しており、現実的な将来のハイブリッド・システムとして、市販車に投入される技術となる可能性は高い。トヨタにも、そろそろエコだけではない、スポーツが楽しめるハイブリッドカーの発売を期待したいところだ。


By Hirokazu Kusakabe (Facebook)

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
Autoblog JP

トピックスRSS

ランキング