【短評】「感動を与えてくれるEV」 インフィニティ「Emerg-E(エマージ)」コンセプト

Autoblog JP(オートブログ) / 2013年11月9日 17時0分

【短評】「感動を与えてくれるEV」 インフィニティ「Emerg-E(エマージ)」コンセプト


Gallery: Quick Spin: Infiniti EMERG-E Concept Photos



日産の高級ブランド、インフィニティが2012年のジュネーブ・モーターショーで発表した、ガソリン・エンジンと電気モーターを搭載する2シーターのスポーツコンセプトカー「Emerg-E(エマージ)」。流線型のデザインと美しいスタイルは見事だが、その中身は2010年のジュネーブ・モーターショーで発表されたロータス「エヴォーラ」のハイブリッドコンセプトカー「エヴォーラ414Eハイブリッド」の改良版だ。しかし、その性能には全く問題はなく、このインフィニティのバッジを付けたロータスは最高出力402hp、最大トルク102kgmを発揮し、南カリフォルニアのインフィニティのデザインチームが手掛けた魅力的なカーボンファイバー製のボディの下には軽量の接着アルミシャシーが組み込まれている。
ハイブリッドのパワートレインはシート後部に搭載されており、リアの左右に設置された2個の電気モーターが後輪を駆動させる。モーターにはそれぞれ1速ミッションが組み合わされている(このシステムには、ディファレンシャルギアが不要で、トルクベクタリングを自動制御する)。シート後部にはエヴォーラ414Eハイブリッドのリチウムポリマーではなく、15 kWhのリチウムイオン・バッテリーが搭載されており、バッテリーのみで最大30マイル(48km)の走行が可能だ。バッテリーの残量が少なくなるとロータスが開発したオールアルミニウム製の1.2リッター3気筒エンジン(約50hp)がレンジエクステンダー(航続距離延長装置)として働き、発電。 8.1ガロン(約30リッター)のガソリンタンクが装備されているので、無給油で300マイル(480km)走ることができる。

今回、筆者はインフィニティから南カリフォルニアのオートクロスのコースを軽く回ってみないかとの申し出を受け、それに飛びついた。

所感
車高の低いコックピットに乗り込むのはそれほど難しくはなかったが、この右ハンドルのテストカーはドアシルの幅が広く、乗り越えるのにはちょっとしたコツが必要だった。室内は身長が約188センチある筆者でもスペースにかなり余裕があり、 レース仕様のバケットシートも掛け心地がよかった。バッテリーやエクステリアのデザインがエヴォーラ414Eハイブリッドから新しくなっていることに加え、ユニークなダッシュボード、計器類、シート、ステアリングホイールといったインテリアも一新されている。

駆動をすべて電気でまかなっているにもかかわらず、低速での走りはスムーズだった。クリープはないが、アクセルペダルは適度な重みがあり、パドックでは純粋なEVモードで楽にゆっくり進むことができた。インフィニティによれば、 0-60mphは 4.1秒ということ,だが、筆者がフルスロットルを試したところ、1、2秒ほどそれよりも遅い気がした(バッテリーの残量がなくなりかけていたときだったので、そのせいでパフォーマンスが悪くなっていると、筆者の隣に座っていたインフィニティのエンジニアは話していた)。走行中は2個のモーターの回転音とタイヤが跳ねる砂利の音以外は何も聞こえなかったが、3気筒のエンジンが始動して発電を始めると、心地良い重低音が響くとともにパワーが増幅された。

ブレーキは市販モデルのエヴォーラと同じ4ピストンのモノブロック・キャリパーとドリルドローターを装備しているほか、回生ブレーキを採用しており、高い制動力を発揮した。ペダルはしっかりした感触で制動力の調節もしやすい。アクセル・ペダルを戻したとき、回生ブレーキに特有の強く引き摺られるような違和感は感じなかったのだが、それはおそらく筆者が急速に近づいてくる最初のコーナーに集中しすぎていたためだろう。

最初のコーナリングでは期待したほどのシャープさを感じられず、強いて言えばシボレーの新型「C7コルベット」と同じくらいの切れ味だったが、狭いサーキットを飛ばしたり、コーンを避けたりする操作には何の問題もなかった。重心は驚くほど低く、重量物の多くが後輪のすぐ前に配置されている。スローラムでもアンダーステアをまったく感じず、 ピレリ「P ZERO CORSA」のタイヤはしっかりと地面をつかんでいた。強大なトルクと瞬時のスロットルレスポンスのおかげで、このクーペを古いコンクリートの滑走路で走らせるのは楽しかった。車両重量がもう少し軽い方が筆者の好みだが、パワフルなハイブリッドのパワートレインとシャシーのチューニングは、このままで申し分がないほど素晴らしかった。コンセプトカーには最大の賛辞である。

エマージは感動を与えてくれるクルマだ。少数のプロトタイプが製作されているが、インフィニティがすぐにでも市販化するという計画は今のところない。同車から得た効率的な技術は、インフィニティとしては初となる電気自動車の市販を目的として開発されたもので、エマージはあくまで試験モデルの役割だと考えられる。


【基本情報】
エンジン: 150kW電動モーター(2個)、 1.2リッター3気筒
パワー:最高出力402hp/最大トルク102kgm
トランスミッション: 1速(2個)
0-60mph:4.1秒
最高速:130mph(約209km/h)
駆動方式: 後輪駆動
車体重量:1,598kg
座席数:2
ベース価格: 該当なし

By Michael Harley
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
監修:日下部博一

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