あなたが信じている『正義』は本当に正しい? 揺さぶりをかける法廷ミステリ10作品

弁護士ドットコムニュース / 2019年9月29日 9時18分

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法廷ミステリをこよなく愛する工学院大学附属中学校・高等学校司書教諭の有山裕美子さんに、この秋に熟読したい「法廷ミステリ10冊」を選んでいただきました。有山さんは今回の「選書」のポイントをこう語ります。

「秘密の中に隠された真実。正義とは何か、という視点で選んでみました。『秘密』が真実の暴露を阻む、そこを法がどう切り込んでいくか。その中での『正義』とは何だろうという切り口です。何が『正義』か、その答えは、読者にゆだねられます」

本当は軽めのエンターテイメント小説を集めようと試みたそうですが、今回のテーマの内容から、やはり硬派な作品が多くなってしまったとのことでした。一体、どのような作品が選ばれたのでしょうか?

●傍聴人が突然の「殺人告白」、無罪を主張する誘拐犯…真実はどこに?

・『最終陳述』法坂一広著(2014年、宝島社)

強盗殺人の罪で死刑を求刑された被告人の最終陳述が始まろうとするまさにその時、傍聴席の男が、突然自分が殺したと声をあげた。混乱を極める法廷を舞台に、裁判官、裁判員、検事、弁護士、そして事件を取り巻く様々な人々の思いが交錯する。殺人犯は誰か?事件の真相はどこにあるのか?そして、それぞれが守るべき「正義」とは? 現役の弁護士が描く白熱の法廷ミステリー。

・『審判』深谷忠記著(2009年、徳間文庫)

誘拐殺人の罪で15年間の刑期を終えて出てきた柏木喬は、出所後に自身は無実であるとするホームページを立ち上げ、自らの無罪を明らかにしようとする。事件を取り巻く様々な人間模様が描かれ、それぞれの思惑をはらんで、舞台は二転三転していく。柏木は本当に無実なのか、真実はどこへ。そして、ようやくたどり着いた真犯人は、あまりにも意外な人物だった。

・『潔白』青木俊著(2017年、幻冬舎) 

父の無実を信じるひかりは、死刑が執行された裁判の再審を請求する。ひかりは誰よりも、父が無実であるということを知っていたのだ。誰もが無理だと思ったひかりの前代未聞の挑戦に、弁護士の森田や新聞記者らが、再審を阻止しようとする検事らを相手に、一丸となって果敢に挑んでいく。繰り返し歪められた「正義」の先にたどり着いた真犯人は、自らの「正義」で自分を裁いていく。

●社会が抱える問題を、法廷はどう裁くのか?

・『貌なし』嶋中潤著(2015年、光文社)

突然失踪してしまった父を追い求めた娘は、その失踪の陰に隠された悲しい真実に次第に近づいていく。かつて殺人事件の法廷に、証人として立った父は、大きな苦しみを抱えながら生きていた。国民を守るはずの法が、時として人を苦しめていく。自ら人間らしく生きようとするとき、「正義」はどこにあるのか。「無戸籍」という重い問題を改めてつきつけられる作品。

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