夫から突然の「離婚しよう」生活費の振込もストップ…兵糧攻め、妻子の生活はどうなる?

弁護士ドットコムニュース / 2020年1月14日 10時18分

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夫が帰宅しないようになり、その数日後に「離婚調停の申し立てをする」という手紙が届いたーー。そんな切迫した状況に置かれた女性が、弁護士ドットコムに相談を寄せました。

相談者には2人の子ども(高3、中3)がいます。夫から届いた手紙には「離婚するために別居を始める」と書かれていました。銀行口座に振り込まれるはずの給料も、家を出て行った後の給料日からは振り込まれていません。

「子どもとの生活費や教育費などどうすればいいのでしょうか」と相談者は困っています。相談者にも貯金はあるようですが、夫に生活費を請求することはできるのでしょうか。鳥生尚美弁護士に聞きました。

●離婚が成立していなければ「婚姻費用」を支払う義務

「離婚が成立していない以上、夫には、配偶者に対する扶養義務があります(民法752条)。そのため相談者は、生活にかかる費用や、子どもを育てるのに必要な費用を請求することができます。この費用のことを『婚姻費用』といいます。

これを請求するためには、まずは明確に『婚姻費用として●万円を支払ってほしい』という請求の意思を示しておくことが重要です。内容証明郵便で手紙を送っておくのが確実です。当事者間で話し合いができない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てるといいでしょう」

現在は貯金を切り崩して生活しているそうです。育ち盛りの子どもが2人。食費や学費も多くかかる時期です。婚姻費用はどのように決まるのでしょうか。

「請求できる金額は、夫と妻の収入額(または妻が仕事をしていない事情)及び子にかかる学費等に応じてケースバイケースです。原則は、当事者間で、子の教育も含めそれまでの生活状況を前提として、婚姻費用の分担をどうするか話し合いをして決めることになります。

当事者間で話し合いができない場合、家庭裁判所では、『算定表』と呼ばれる基準をもとに取り決めをするのが実務の運用です。

その際に考慮されるのは、双方の収入と『特別費用』にあたる支出などです。貯金額は、財産分与でその清算方法を協議することになりますが、婚姻費用の分担を協議する際には考慮されません」

●「離婚を見据えて、生活設計の見直しを」

相談者にとっては突然の離婚宣告でした。婚姻費用の分担請求をした後は、何をするべきでしょうか。

「離婚を見据えて、ご自身の生活設計の見直しをすることが何よりも必要だと思います。調停など法的手続によらず婚姻費用の取り決めをした場合には、合意内容を公正証書にしておきましょう。

万が一、妻に収入も預貯金もなく、緊急で婚姻費用を決めて支払いをしてもらわなければならない場合には、保全手続を申し立てることができます。この場合は、弁護士に相談することをお勧めします」

【取材協力弁護士】
鳥生 尚美(とりゅう・なおみ)弁護士
早稲田大学法学部卒業。2006年弁護士登録(第二東京弁護士会所属) 日本司法支援センターの常勤弁護士を経て、あけぼの綜合法律事務所を開設。 中心業務は離婚・相続などの家事事件、とりわけ子の親権、監護者指定、面会交流、養育費等離婚問題の中での子どもに関する事案を多数取り扱っている。
事務所名:あけぼの綜合法律事務所
事務所URL:http://www.akebono-sogo.jp

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