音楽教室での演奏にも「カラオケ法理」適用…JASRAC「圧勝」の判決を読み解く

弁護士ドットコムニュース / 2020年3月8日 9時48分

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音楽教室での演奏をめぐり、ヤマハ音楽振興会など音楽教室の事業者が、JASRAC(日本音楽著作権協会)に著作権使用料の支払い義務がないことの確認をもとめた裁判で、東京地裁は2月28日、請求を棄却した。音楽教室側は3月4日、判決を不服として知財高裁に控訴した。東京地裁の1審判決について、著作権にくわしい高木啓成弁護士に解説してもらった。

●「演奏権」という権利がある

この裁判は、JASRACが音楽教室から著作権使用料を徴収する方針を打ち出したことに対して、音楽教室側が原告になり、著作権使用料の支払い義務がないことの確認をもとめて提起した裁判です。

具体的には、著作権の1つに「演奏権」という権利があり、(1)「公衆」に対して、(2)「聞かせることを目的」として演奏する場合、原則として著作権者の許諾、つまりJASRACへの著作権使用料の支払いが必要となります(著作権法22条)。

裁判では、音楽教室での演奏が、この条文の要件にあてはまるのかどうかが、主な争点となりました。

●「公衆」に対する演奏といえるか

音楽教室側は、音楽教室での演奏の主体は、講師と生徒であり、特定の講師と生徒がマンツーマンまたは少人数で演奏をおこなっているだけなので「公衆」に対する演奏ではないと主張しました。

一方、JASRACは、音楽教室における演奏の主体は音楽教室自体だと主張しました。そして、JASRACは、音楽教室のレッスンは申込をすれば誰でもレッスンを受講することができるため、音楽教室による演奏は「公衆」に対する演奏だと主張しました。

一見すると、「音楽教室で演奏しているのは、講師と生徒なんだから、JASRACの主張はおかしいんじゃないか?」と思われるかもしれません。

しかし、たとえば、カラオケ店舗では、物理的には歌っているのは利用客ですが、法律的にはカラオケ店舗が音楽を利用していると評価されて、カラオケ店舗が著作権使用料を支払う義務を負います。

これは昭和63年のカラオケスナックでの演奏についての最高裁判例以降、テレビ放送転送サービスの事件やカルチャースクールでの演奏の事件など様々な重要事件の判決で踏襲された考え方です。「カラオケ法理」と呼ばれています。

今回の判決でも同様の判断がなされ、結果として、音楽教室の主張は認められませんでした。

●「聞かせることを目的」とするものといえるか

音楽教室側は、音楽教室での演奏は課題や手本を示すためのものであり、聞き手に感動を与えるようなものではないので、「聞かせることを目的」とする演奏ではないと主張しました。

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