受動喫煙は「犯罪」にならないの? 「刑罰」への待望論も、「行政罰」が望ましい理由

弁護士ドットコムニュース / 2020年3月17日 10時7分

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受動喫煙の防止を主な目的とした「改正健康増進法」が、4月より全面施行される。各地から灰皿や喫煙所は撤去され、全面禁煙となった飲食店もある。

このような受動喫煙対策が進むにつれ、喫煙者に対する目も厳しくなりつつある。ある喫煙者(50代・男性)は「まるで『犯罪者』であるかのようにみられている気がする。このままだと喫煙すること自体が『犯罪』になるのでは」と不安な気持ちを語った。

そもそも、受動喫煙が「犯罪」にあたることはあるのだろうか。

●場合によっては「不法行為」を構成することはありうるが……

これまで、受動喫煙に対する被害で喫煙者に賠償を命じた民事の裁判例はある。

たとえば、ほかの居住者が喫煙をやめるよう申し入れているにも関わらず、マンションの自室ベランダで喫煙を継続した行為について、不法行為にあたるとし、損害賠償請求を認めた裁判例(名古屋地裁・平成24年12月13日判決)がある。場合によっては、喫煙が「不法行為」を構成することがありうるということだ。

では、刑法が規定する「犯罪」にあたる可能性もあるのだろうか。

厚生労働省の研究班による資料などによると、受動喫煙は喫煙者による「他者危害」であり、他人に対して繰り返しタバコの煙をふきかける行為は、刑法上の「暴行罪」や「傷害罪」が成立しうる可能性があるとしている。

●「暴行罪」「傷害罪」は成立するのか?

『条解刑法第3版』でも、煙を吹きかける行為が「暴行罪」にあたる場合があるとしている。では、「傷害罪」はどうだろうか。

園田寿教授(甲南大学法科大学院・刑事法)は「傷害罪の成立は難しい」と指摘する。ちなみに園田教授もかつては重度の愛煙家(1日に80本ほど)だった。

「傷害とは、生理的機能に障害を与えることですから、相手の健康が害された場合には傷害罪が成立します。ただ、一時的なめまいや嘔吐感のように、生理的機能の障害の程度が軽く、すぐに回復するような程度であれば、傷害罪の法定刑の下限が罰金(最低1万円)である点を考慮すると、受動喫煙について傷害罪の成立は難しいと考えられます。

もちろん、故意にタバコの煙を相手に吹きかけるといったような場合には、物理力の不快な行使がなされたとして、暴行罪(下限は1000円以上1万円未満の科料)の成立は考えられます」

●受動喫煙を「刑罰」で規制することは、なにが問題なのか?

前述したように受動喫煙を「他者危害」とする捉え方もある。

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