「開かないダイヤルキーください」障害福祉施設がフリマアプリで募集 ”カギ名人”たちの5年間

弁護士ドットコムニュース / 2020年6月21日 9時51分

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「ダイヤルキー開けます。」。2月の中旬、そんな不思議な仕事をフリマアプリ「ジモティー」で見つけた。各地でマスクの品薄・価格高騰が発生。ジモティーへの出品状況を調べていたときだった。

「4桁までのダイヤルキーを開けます。当方障害者の作業所で根気よく1番号づつ(ママ)確認して解錠します! ぜひ持ち込みでも郵送でもお待ちしております」

開けられない鍵がちょうどあったはずだ。自宅の物置から鍵を引っ張り出してきた。(編集部・塚田賢慎)

●破格の依頼料とスピード感

自転車用の鍵を中古で購入したが、3桁の番号がわからなくなっていたところだった。指定された東京都足立区の「のんの作業所」に持ち込んでみた。依頼料は破格の「50〜100円(切手でも可)」。

切手を貼った返信用封筒と、工賃の50円切手をスタッフに渡した。1週間もしないうちに、開けられた鍵が返ってきた。解錠担当者直筆の「ありがとう」のメモも同封してくれていた。

●コロナ禍、自宅などで開けまくる

解錠サービスについて、作業所に取材を依頼し、相談支援員へのインタビューを3月下旬に実施した。その1週間後に作業の様子も取材するはずだったが、感染対策のため、作業所は3月31日から休業することになった。

緊急事態宣言が解除された5月26日から段階的に作業を再開し、6月中旬になってコロナ前の状態に戻ったところで、ようやく取材もかなった。

「のんの」は株式会社てっぱんが運営する障害福祉サービス事業所の1つだ。知的障害者や精神障害者らが働く「就労継続支援A型・B型事業所」として、レストラン・惣菜販売、そして「ダイヤルキー解錠」も行なっている。

コロナ休業中、利用者は自宅やグループホーム(共同生活援助事業所)で鍵開けなどの作業を続けていた。

3月末には十数個あった鍵は、6月の取材日には残り1個になっていた。感染対策のため、鍵の募集を一時的にお休みしていたからだ。

のんのには3人の「鍵開け名人」がいる。楠原さんによると、名人たちは、ダイヤルキーを手にすると、3〜4桁の番号を「0000」から、「0001」、「0002」。1番号ずつカチカチと回し始め、ときには十数分、長い時には何時間でも根気よく取り組み、「鍵が壊れていなければ、必ず開けてしまう」のだという。

「楠原さんによると」と書いたのは、実際の解錠を見ることができなかったからだ。本当であれば名人の1人、Aさんに作業の様子を見せてもらう予定だったのだが、約束の時間の前にグループホームに帰ってしまっていた。名人は気まぐれである。

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