法と仏の教えで「俗世の苦しみ」に向き合う  僧籍を持つ本間久雄弁護士の生き方

弁護士ドットコムニュース / 2020年7月5日 9時20分

●ロースクール時代、僧侶になる

一方で、仏教の道にも惹かれていた。東大から進んだ慶應大ロースクール時代だ。23歳のときには夏休みを利用して、正式に僧侶となるために35日にわたって修行した。

ほかの同級生たちは、集中して勉強をする時期だが、本間弁護士は「夏休みで日程が空けられたので、ちょうど入れるご縁だなと思いました。滝壺に飛び込むような気持ちでした」と笑う。

実際の「滝壺」はどのようなものだったのだろうか。

「当時の制度ですと、大本山で1週間ほど仏教の教えについて、講習を受けます。それから試験を受けて、合格したら、今度は読経の試験。それにも合格したら、今度は総本山で35日間の修行があります。その修行が明けたら、僧籍が得られます」

本間弁護士はさらりと話すが、総本山での修行は決して楽なものではない。朝4時に起床して水行をすることもある。しかし、辛くて逃げたいと思ったことはなかったという。

「もうその中に入れば、流れるままというところで……」と微笑む。

その後、見事、現役で司法試験に合格した。仏教と法律。異なる世界を同時並行で学んだ印象は?

「仏教の仏教学や宗教学といった人文系と、法律の社会科学系はだいぶ趣きが違っています。試験勉強に限定の話なんですけど、社会科学系は割と答えがきっちり出ることが多いです。

よく言われますけれど、司法試験の論文は、数学のように論理で解いていくようなものです。でも、仏教学とか宗教学についてはあらかじめこれだ、という答えはなく、自分の心につながっていくようなものです。まったく違っているなという認識ですね」

●「仏の教えだけなく、法的にもサポートしたい」

司法試験に合格後は、司法修習を経て、東京の法律事務所に入った。1年半ほどそこで働いたあとは、横浜市にある現在の法律事務所に在籍、もう10年になる。

駆け出しのころから一般民事を扱うが、「世俗にまみれたトラブル」をどう受け止めているのだろうか。

「そもそも、弁護士になりたいと思ったきっかけが、そうしたお寺のトラブルを解決したい、未然に防ぎたいということ、それからお寺を頼ってくれる檀家信徒さんの力になりたいというところでした。

お寺に持ち込まれる、檀家信徒さんからの相談がまさに相続や賃貸借の問題、労務トラブルが多いです。仏の教えだけでなく、そうした世俗面のトラブルや問題を解決したいと思っています。解決することで、みなさんの気持ちが安らげばいいかなという思いです」

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