事故のドライバー、無罪だったのに免許戻らず職失う…「行政の対応ひどい」弁護団がクラファン

弁護士ドットコムニュース / 2020年8月12日 10時23分

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福岡県内で発生した交通事故の刑事裁判で無罪となった後、取り消された運転免許の見直しを求め提訴した女性(優子さん)を支援するプロジェクトが2020年7月、ネットで資金を募る「クラウドファンディング」の形式で始まった。

優子さんは、交通事故で相手に重傷を負わせたとして、自動車運転処罰法違反(過失傷害)の罪に問われたものの、「過失があったとは認められない」として無罪が確定。免許取消処分の理由がなくなったとして、免許を事故前の状態に戻すよう警察側に要請した。

ところが、警察側は「免許取消処分は変更しない」と回答。事故から3年以上経過しているが、いまだ事故前の状態に戻っていない。優子さんは免許取消処分の無効確認を求め、このほど福岡県を相手に行政訴訟を起こした。

この裁判を支えようと、弁護団や支援者が呼びかけて始まったのが、「無罪のあと、ちゃんとしよう!プロジェクト」だ。クラウドファンディングサービス「READYFOR」で支援を募っている(https://readyfor.jp/projects/innocent-menkyo2020)。

弁護団は「優子さんはドライバーの仕事も失うなど生活に困窮している。無罪が確定したのに、かたくなに処分を改めようとしない行政はおかしい」と話している。(編集部・若柳拓志)

●無罪確定も免許は戻らず…「どう考えてもおかしい」

ドライバーが交通事故を起こした場合の処分には、「行政処分」と「刑事処分」がある。行政処分は、都道府県の公安委員会(行政)が行うもので、いわゆる点数制度による免許取消処分もこれに当たる。刑事処分は、裁判による懲役刑や罰金などの刑罰だ。

この2つの処分は、それぞれの手続きや判断で行われているため、「たとえ刑事裁判で無罪となっても直ちに行政処分が無効等になるわけではない」というのが制度上の建前となっている。このため、あらためて行政訴訟を提起して取り消しや無効を求める必要が出てくる。

しかし、弁護団のメンバーである木村道也弁護士は、「無罪を勝ち取っても、免許取消処分を見直してほしいなら『行政訴訟して』だなんておかしい」と話す。

「徹底した証拠調べを行った上で事実認定を行う刑事裁判で無罪になっても、公安委員会が警察の捜査資料で硬直的に行う処分が見直されないなんて、明らかにおかしな運用です。

行政処分と刑事処分が別物だとしても、免許取消処分の見直しは、警察側が自主的に職権で行うことができます。『無罪判決が確定したのですね、処分を見直します』で済む話です。 でも、警察側はそれをしません。

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