先端科学が生み出した「ハイブリッド卵子」 実用化のための「法的な課題」とは?

弁護士ドットコムニュース / 2014年2月3日 12時2分

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高齢出産の増加などを背景に、「卵子を若返らせる研究」が着々と進んでいるようだ。報道によると、独立行政法人「医薬基盤研究所」などの研究チームはこのほど、ヒトの卵子から染色体だけを取り出して別の卵子に移植して作った「ハイブリッド卵子」で、体外受精に成功したと医学専門誌に発表した。

卵子は年齢とともに細胞質が老化し、妊娠が難しくなる。そこで、この研究では、高齢女性の染色体(遺伝情報)を若い卵子に移植することで、「卵子の若返り」を狙う。技術が確立すれば、不妊治療への応用も期待できそうだ。

ただ、この技術では、染色体のみ移植するため、若い卵子の細胞質にもともとあるミトコンドリアなどはそのままだ。つまり、この「ハイブリッド卵子」には、(1)移植された高齢女性の染色体と、(2)若い卵子にあったミトコンドリアDNA――という「2人の母」の遺伝子情報が含まれることになる。

もし将来、この技術によって子どもが生まれた場合、法的な問題が生じないのだろうか。医療問題にくわしい内山知子弁護士に聞いた。

●民法が想定していない大問題

「最大の問題は『子どもの法的地位が不安定』になることです。これは、扶養・相続にも関わる大問題です」

内山弁護士はこのように指摘するが、なぜ不安定になるのだろうか?

「今回の技術は、若い女性の卵子の細胞核のみを取り出して、出産したい高齢女性の卵子の細胞核と入れ替える(細胞核以外の部分は提供女性のもの)ということのようです。

つまり、ミトコンドリアDNAは『卵子を提供した女性』のもの、核の染色体DNAは『提供を受けた女性』のものということになります。そうすると、この卵子は、法的には誰の卵子と言えるのでしょうか?

残念ながら、いまの民法は、このような事態を全く想定していません。そのため、生まれた子どもが、分娩した女性の子とされるのか、細胞核以外の卵子の部分を提供した女性の子とされるのか、明確に決められるとは言えないのです」

子どもを分娩したことは、もはや決定的ではない?

「確かに、母子関係はこれまで、嫡出子でない場合にも、『分娩の事実』で発生するとされてきました(昭和37年4月27日の最高裁判決)が、こうした技術は昭和37年には存在していませんでした。

つまり、この判断は『分娩があれば生物学的な母子関係を疑いようがない』という場合を念頭に置いていると考えるのが自然で、卵子自体の中に他人のDNAが混ざっている場合にも、妥当するかどうかは分かりません。

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