電車で「足広げるな」 女子高生の膝を押した疑いの男性…逮捕までする必要はなかった?

弁護士ドットコムニュース / 2020年8月29日 8時22分

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電車に座っていた女子高生に「足を広げるな」「閉じろ」と注意して、膝を押して、足を閉じさせたとして、神戸市在住の60代男性が8月26日、暴行の疑いで兵庫県警に逮捕された。

県警によると、男性は8月26日午後4時12分から17分かけて、岡山県内を走行中のJR山陽本線の普通列車内で、女子高生の膝を両手で押すなどの暴行を加えた疑いが持たれている。

神戸新聞によると、男性は、警察の取り調べに容疑を否認している。また、女子生徒は上郡駅で下車後、駅員に通報。男性は終点の相生駅で取り押さえられたという。

●逮捕の必要性に疑問も

刑事事件にくわしい鐘ケ江啓司弁護士が解説する。

「あくまで否認事件ということを念頭に置いたうえでの話になりますが、女子高生の言い分が正しいとすれば、たしかに違法な有形力の行使として、暴行罪が成立すると思われます。ただし、神戸新聞からは、私人による現行犯逮捕のように読めますが、女子高生が現場にいるわけではないですよね。降りた駅も違うので、現行犯逮捕はできないはずです。そのため、"取り押さえた"という話がおかしいように思います。もし私人逮捕されているなら違法な身体拘束となるのではないでしょうか」

この点について、兵庫県警に確認すると、相生警察署での「通常逮捕」だったという。またJR西日本によると、相生駅の係員5名くらいで、男性に声をかけて、駅の事務室まで連れて行き、そのあと相生警察署に引き継いだという。

「実質的には(駅員による私人)逮捕のような気もしますが、任意同行という扱いになっているのでしょう。しかし、男性が任意同行に応じているのであれば、『通常逮捕』するのもおかしいということになります。

というのも、逮捕するためには、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由だけでなく、逮捕の必要性、すなわち『逃亡のおそれ』や『罪証隠滅のおそれ』が必要です。罪を犯したと疑うに足りる相当な理由は勾留や緊急逮捕の場合と比べて低い嫌疑で良いとされていますので、女子高生の供述だけでも足りると思いますが、逮捕の必要性は疑問があります。男性は任意同行に応じているわけですし、男性が通報した女子高生を突き止めて証言を変えさせるといったことも現実的な話ではないですよね。これらのおそれがあるのか疑問です。

逮捕状請求を受けた裁判官は明らかに逮捕の必要性がない場合は逮捕状請求を却下するように『刑事訴訟規則143条の3』で定められていますが、裁判官による審査は警察からの一方的な資料だけで判断されますし、捜査機関の判断を尊重するものと解釈されているので、却下は極めて稀です。そのため、警察においては逮捕の必要性を的確に判断した上で逮捕状を請求することが望まれます。

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