将棋ファン待望の「棋譜利用ガイドライン」公開 質問状送付した弁護士はどう見るか?

弁護士ドットコムニュース / 2020年9月21日 9時23分

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日本将棋連盟はこのほど、タイトル棋戦「王座戦」(主催:日本経済新聞社)における「棋譜利用ガイドライン」を公式ホームページで公開した。一定の範囲に限り、申請なしでも利用できる。

連盟はこれまで、2019年9月に公表した「棋譜利用に関するお願い」に基づき、私的利用の範囲を超えて棋譜を使用する場合は事前申請するよう求めてきた。

これに対し、将棋YouTuberのすぎうら氏が2020年3月、申請を繰り返してもほとんどは回答なしか、一律拒否されているなど棋譜利用をほぼ認めていない状況について、質問状を送付。連盟は4月、主催者とガイドライン作成も含め協議しているなどと回答していた。

今回のガイドライン公開について、すぎうら氏の代理人を務めた杉村達也弁護士は「王座戦限定ではあるが、利用基準が明確となり、一定の条件を満たせば一律に棋譜利用が可能となったことは喜ばしい」と話す。

ガイドラインは全6項で構成されているが、以下では注目すべき2点について見ていきたい。(編集部・若柳拓志)

●棋譜には著作権「的」なものがあるとの姿勢

まず一つ目は、棋譜に関する主催者側の権利についてだ。「棋譜の利用」を定義している第3項に着目したい。

3.「棋譜の利用」とは
目的ならびに有償・無償の別を問わず、上述の「棋譜」を使って、公式戦対局の指し手順を、文字情報、図面(静止画または動画)、音声、盤面、ディスプレー、集団演技等によって、刊行物、頒布物、放送、公衆送信、上映、上演等の媒体上に再現することを言います。

この規定について、杉村弁護士は、「『棋譜には著作権が認められない』という立場が通説的な見解だが、おおよそ著作権法上の権利に則した内容となっている」と解説する。

連盟も4月の時点で、「棋譜の著作権の有無に関して、様々な議論があることは承知している」と回答しており、著作権を念頭に置いているのは間違いない。

この点、ガイドラインは、主催者の権利について、「優先的使用権及び利用許諾権」と表現している(第1項)。著作権に関する議論に正面からは踏み込まないが、権利の内容としては著作権に準ずるものとして考えている姿勢がうかがえる。

気になるのは、棋譜を参考にして自分で指した場合についてだ。将棋を指す者にとって、プロ棋士の棋譜は「最高のお手本」。主催者に権利があるからといって、同じ指し方を制限されては困ってしまう。

この点について、杉村弁護士は「心配ないだろう」との見解を示す。

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