「賞与・退職金」と「手当・休暇」で判断割れる…「非正規訴訟」最高裁判決に整合性はあるか?

弁護士ドットコムニュース / 2020年10月18日 10時49分

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有期雇用を理由とした不合理な差別を禁止する「旧労働契約法20条」をめぐり、非正規労働者が賞与や退職金など、格差是正を求めていた訴訟で最高裁がそれぞれ判断をくだした。

10月13日に第三小法廷で判決があった大阪医科大事件とメトロコマース事件では、賞与と退職金の不支給がそれぞれ不合理な格差ではないと判断された。

一方、15日に第一小法廷で判決があった日本郵便事件(東京・大阪・佐賀)では、手当や休暇について格差が違法だと判断されている。

日本郵便事件を労働者側で担当した森博行弁護士は、判決後の会見で次のように話した。

「賞与と退職金は資金的に大変だということで経営者側をみた。一方、金額が下がる手当は、労働者側を向くことで、最高裁はバランスをとったのだと思う」

しかし、そうなると判決の整合性をどう考えたら良いのだろうか。非正規労働者は現在2100万人ほど。労働者の約4割を占め、当事者はもちろん、経営側からも今後の影響に関心が寄せられている。

●裁判官の全員一致にならなかった「仕事上の相違」

アルバイトに賞与を認めないことも、契約社員に退職金を認めないことも不合理ではないーー。労働者側の逆転敗訴となった13日の判決は、多くの非正規労働者を落胆させた。

この日に判断がくだったのは、元アルバイト秘書が賞与を求めた大阪医科大事件と、東京メトロ子会社で売店の運営をしていた元契約社員が退職金を求めたメトロコマース事件の2つ。高裁判決では、前者が正社員基準の60%、後者は25%の支給が認められていた。

不合理な格差かどうかを判断するうえでは、責任や業務内容の違い、配置転換の有無などが考慮される。

最高裁は、それぞれの事件について、正社員にはプラスアルファの業務や配置転換の可能性があることに言及している。

さらに「その他の事情」として、いずれの職場でも、試験による正社員などへの登用制度があることや、組織改編などの影響で正社員全体からみると、原告らが比較対象としている同種業務の正社員が少数・特殊であることをあげ、格差は不合理ではないとしている。

ただし、たとえばメトロコマース事件では、裁判官の一人が、正社員と契約社員の職務内容などに大きな相違はないとして、反対意見を投じている。裁判官によっては評価が変わるような微妙な差異であったとも言える。

●「有為人材確保論」の強調に懸念

こうした職務などの相違に加えて、最高裁が格差を肯定したある根拠に、労働者側の弁護士たちは警戒を強めている。

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