免許を手放さない「81歳姑」どうしたら運転を止めさせられる? 【小町の法律相談】

弁護士ドットコムニュース / 2016年1月15日 7時48分

では、どのように「運転を止めて欲しい」と、説得ができるのでしょうか。

認知症の高齢者の運転による交通事故が大きな問題になっており、頻繁に法改正が行われるなど、社会全体がこの問題に取り組んでいるのです。高齢の親に対しても、こうした法改正の動きを説明することは、「自分だけの問題ではない」との理解につながり、説得材料となるのではないかと考えます。

また、親が交通事故の加害者となった場合、家族が損害賠償責任を負う可能性があります。

まず、親が家族の所有する自動車を運転しているのであれば、家族が「運行供用者責任」により損害賠償責任を負うことが考えられます。

遠方で暮らしている子どもでも、「運行供用者責任」により高額の賠償責任を負わされる可能性があるのです。

また、親が認知症等で責任能力がない(民法713条)とされた場合に、同居する家族が民法714条1項により監督義務者として責任を追及される可能性があります。

例えば、親が認知症で運転を繰り返しているのを知りながら、特に対応をせずに放置していたということであれば、同居する家族が監督義務を果たしていなかったとして民法714条1項により損害賠償責任を負う可能性があるといえます。

認知症の男性が徘徊し線路内に侵入した列車事故で、同居する妻に民法714条1項の責任を認めた名古屋高裁の判決がありますが(最高裁で判断が変更される可能性があります)、認知症で運転を繰り返していたということであれば、同居の家族に責任が認められる可能性は高いといえます。

高齢者に自動車の運転をしないよう説得するのは難しいですし、多くの方が悩まれている問題でもあります。

しかし、事故を起こすと家族も損害賠償責任を負う可能性があり、被害者だけでなく家族の生活も破壊しかねないことを説明することも、説得材料の一つになるのではないかと考えます。

なお、対人賠償金額3000万円の保険というのは余りに不安ですので、運転中止の説得が難しいようであれば、早急に対人賠償無制限の保険に加入させるべきです。

【取材協力弁護士】
高橋 裕也(たかはし・ゆうや)弁護士
京都大学卒。平成19年に弁護士登録。大阪弁護士会交通事故委員会に所属。交通事故事件を中心として弁護士業務を行っております。
自転車事故にも力を入れており、自転車事故の専門サイトを開設いたしました(http://jitenshajiko-sodan.com/)。

事務所名:西宮原法律事務所
事務所URL:http://nishimiyahara-law.com/

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