ファッション業界から法曹界へ 海老澤美幸弁護士が切り拓く「ファッションロー」の新天地
弁護士ドットコムニュース / 2020年11月14日 9時38分

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「ブランドのデザインをパクられてしまった」「モデルをやっているが報酬を払ってもらえない」。そんなトラブルや問題が起きたとき、どうすればよいのか。慣習が根強いファッション業界では、長らく法的な問題は後回しにされてきた。
そこで最近、注目を集めているのが「ファッションロー」という言葉だ。著作権法、商標法など知的財産に関する法律や、業務に関連する契約法、労働法などの領域を総称してこう呼ぶ。「ファッション産業に関わるすべての法律問題です」と説明するのは、ファッションローを専門分野とする海老澤美幸弁護士だ。
海老澤弁護士は大学卒業後、総務省(当時は自治省)のキャリア官僚として働いていたが、ファッションが好きだったことから、ファッション誌のエディターになった。
『ELLE JAPON』や『GINZA』など第一線の女性ファッション誌で活躍する中、業界のさまざまなトラブルを見聞きした。徐々に業界への問題意識が高まり、法科大学院に入学、法曹界へと転身した。
2017年から弁護士として活動をスタート、現在は、相談窓口「ファッションロー・トウキョウ」を立ち上げ、この問題に取り組んでいる。今、なぜファッションローが必要とされているのだろうか。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)
●ファッションローの誕生の影にICTの進歩ファッションローは、どのような背景から誕生したのだろうか。海老澤弁護士はこう話す。
「まず、ICT(情報通信技術)を含むテクノロジーの進歩があげられます。昔だったらパリやミラノの現地に行って見ていたコレクションが、SNSなどで全世界にリアルタイムで配信されるようになりました。そうすると、デザインはそのままパクられ、次の日には同じような服が売られる。こうして台頭してきたのが、ファストファッションです」
さらに、巨大なファッション・コングロマリット(合併などで巨大化した複合企業のこと)が生まれたことも大きな要素だという。世界の三大勢力『LVMH』『ケリング』『リシュモン』と言われるものだ。
彼らがいくつものブランドを吸収して、非常に大きなコングロマリットとなったとき、コピー商品、海賊版があふれる状況を撲滅しようという要請が高まったのだという。
●縦割りの法律ではなく、分野を横断するファッションローこの情勢の変化から、ファッションローが求められたという。米ニューヨーク州の名門フォーダム大学のスーザン・スキャフィディ教授が2010年、NPO「ファッション・ロー・インスティテュート」を設立。2015年にはフォーダム大学のロースクールに、ファッションローのコースが開設された。
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