部下に舌打ちやため息を繰り返す→懲戒処分に どこからがパワハラに当たる?
弁護士ドットコムニュース / 2020年11月23日 10時17分

関連画像
部下に舌打ちやため息を繰り返した県職員が懲戒処分に——。職場の指導方法をめぐり、鹿児島県が初めて職員を処分しました。
読売新聞(11月11日)によると、課長級の50代男性は2019年から20年4月、部下に指導する際、舌打ちやため息を繰り返したほか、「こんな資料でどうやって上司に説明できるんだ」などと感情的に強い口調で叱責するなどしたという。
男性は過去に不適切な指導について注意されたこともあり、県は戒告処分としたが、パワハラに当たるとは判断していない。
この記事に対し、ネットでは「よくある光景」「全部署の日常だった」と見覚えのある人も多そうだったが、はたしてどこからがパワハラに当たるのだろうか。
●パワハラに該当する可能性はある労働問題に詳しい徳田隆裕弁護士は、「舌打ちやため息を繰り返すだけでも、パワハラに当たる可能性はある」と話す。
「パワハラとは、『職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること』(改正労働施策総合推進法30条の2第1項)と定義されています。
このパワハラの定義だけでは、どのような言動がパワハラに該当するのか、判断に迷いますので、厚生労働省は2020年1月15日、指針を公表して、どのような場合にパワハラに該当するかの判断基準を明確にしました。
『業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動』の判断の際には、その言動の態様・頻度・継続性といった要素が考慮されます。
さらに、言葉の暴力などの精神的攻撃の例として、『業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと』、『他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返すこと』が挙げられています。
そのため、上司が部下を指導するにあたり、一度注意すれば足りるはずなのに、他の社員のが見ている前で、長時間、延々と舌打ちやため息を繰り返し、それが何回も実施されたのであれば、『業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動』として、パワハラに該当する可能性があると考えます」
●不適切な指導であることは間違いない今回のケースは、どう考えられるのだろうか。徳田弁護士は「舌打ちやため息を繰り返すことが、パワハラに該当しないとしても、不適切な指導であることは間違いない」と指摘する。
「報道されている事実のみを前提にすれば、舌打ちやため息が繰り返されていたとしても、短時間で、他の社員がいない場所で、回数もそれほど多くないのであれば、パワハラに該当しないという判断もありえます。
-
-
- 1
- 2
-
この記事に関連するニュース
-
職場クラスター発生、不安から退職…コロナ離職なら「失業手当」優遇されるってホント?
弁護士ドットコムニュース / 2021年1月23日 9時59分
-
「パワハラあった」 山口・宇部市の消防士自殺 当時の副署長に減給処分
毎日新聞 / 2021年1月20日 20時47分
-
パワハラは減らないどころか増えている――加害者の典型的な言い訳と、決定的な「2つの見落とし」とは
ITmedia ビジネスオンライン / 2021年1月20日 7時50分
-
地方公務員の懲戒処分2年連続増加…汚職は87件、財政悪化で処分も増加
日刊サイゾー / 2021年1月1日 20時0分
-
「コロナ禍で医療機関において頻発する労働問題への対応実務」と題して、井上法律事務所 井上 清成弁護士によるセミナーを開催!!
PR TIMES / 2020年12月28日 15時15分
ランキング
-
1石原伸晃氏入院に疑念の声紹介 野党議員「なぜ無症状で」
共同通信 / 2021年1月26日 0時3分
-
2「緊急事態」政府内に1か月延長論…「解除して状況悪化したら意味ない」
読売新聞 / 2021年1月26日 7時56分
-
3なぜ日本企業に「働かないおじさん」が生まれてしまうのか 変化のカギを握るのは“40代”
文春オンライン / 2021年1月26日 6時0分
-
4コロナ変異種、「市中感染の“疑い”」ではなく「市中感染」……辛坊治郎が解説
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年1月26日 7時50分
-
5コロナ陽性者への封筒に「葬儀案内」 大阪市「今後は配慮する」...広告主も同意
J-CASTニュース / 2021年1月25日 16時39分