客を殴って顔面骨折させた店長に「無罪判決」 なぜ「正当防衛」は認められたのか?

弁護士ドットコムニュース / 2014年2月18日 18時27分

写真

関連画像

有罪率99%とされる日本の刑事裁判で、無罪判決が出ることは極めてまれだ。だが、昨年10月31日、傷害罪に問われた飲食店の店長に対して、横浜地方裁判所は無罪を言い渡した。この店長は男性客を殴って全治1カ月のケガを負わせたのだが、「正当防衛」が認められたのだ。

●男性客とのトラブルから傷害事件に発展

判決によると、事件は2012年4月、横浜市内で起きた。店長が客同士のトラブルを避けるため、4人組を退店させようとしたところ、店内で4人組の1人から暴行を受けた。さらに、路上でも殴られそうになったので、逆に殴り倒した。

しかしその後、店長は路上で2人目に押し倒され、起き上がったとき、3人目の男から殴りかかられそうになった。そこで、3人目の顔面を数回殴り、全治約1カ月の顔面骨折のケガをさせたというのだ。

裁判で検察側は、店長が男性客を何度も殴ったことや、その前に他の客も殴っていたことなどを挙げて、これは単なるケンカで正当防衛は成り立たないと主張した。

しかし裁判所は、事件は店内でのトラブルを避けるため、男性客らに退店を求めたことがきっかけで、店長に非があるとは言えないと判断。ケガをした男性客が店長に殴りかかろうとしていたことや、素手で数回殴った程度だったことを挙げて、正当防衛だったと認定した。

この判決では、相手に大ケガをさせても「正当防衛」が認められたわけだが、一般的に正当防衛が認められるかどうかのポイントは、どんな点にあるのだろうか。

●「正当防衛」が成立するのはどんなときか?

「正当防衛とは、(1)急迫不正の侵害に対し、(2)自分または他人の権利を防衛するため、(3)やむを得ずにした行為のことを言います(刑法36条)。正当防衛が認められた場合、処罰はされません」

元検察官で刑事事件にくわしい荒木樹弁護士は、正当防衛の要件について、こう説明する。この場合の「急迫不正の侵害」というのは、どういう意味だろうか?

「(1)『急迫不正の侵害』とは、相手方からの切迫した攻撃行為のことです。相手方の攻撃行為があったとしても、それが終了している場合には、『急迫不正の侵害』とは言えません」

まさにいま、差し迫っている場合でなければ、正当防衛にはならないわけだ。他はどうだろうか。

「(2)『自己または他人の権利を防衛するため』は、身体や生命、財産を守るためと、ほぼ同じです。自分から挑発した場合は『防衛』ではないので、正当防衛にはなりません」

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
日本最大級の弁護士/法律ポータルサイト。23万件の相談実績。無料法律相談・弁護士ランキング・口コミ弁護士検索でお悩み解決。他にも弁護士費用の見積比較・法律Q&Aなどの豊富なサービスとコンテンツで「インターネットを通じて法律をもっと身近に、もっと便利に。」

トピックスRSS

ランキング