受刑者に陰部検査、全裸で身体検査…大阪刑務所 日弁連が「重大な人権侵害」と勧告

弁護士ドットコムニュース / 2021年1月7日 13時5分

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受刑者を全裸にさせる身体検査のほか、定期的に陰部を調べる検査をおこなっているなどとして、大阪刑務所の受刑者が2018年に人権救済を申し立てた事件について、日本弁護士連合会(日弁連:荒中会長)は1月6日、大阪刑務所長あてに郵送で勧告をおこなったことを明らかにした。

勧告書は1月5日付。日弁連副会長を務める西村依子弁護士によると、6日時点で同刑務所に届いたことが確認できているという。

●すべての受刑者に陰部検査「人格権の侵害」

日弁連の調査報告書によると、大阪刑務所ではすべての受刑者を対象に定期的(年数回)に陰部検査をおこなっていたほか、工場で作業をおこなうすべての受刑者に対して全裸の身体検査、パンツ1枚を着用しての検査をおこなっていたとされる。

陰部検査は受刑者が自ら陰部を持ち上げ、刑務官に見せるというもの。陰部に異物を挿入していないかの確認などを目的におこなわれていたという。

全裸の身体検査は、工場で作業をした日は毎日、就業開始前と終了後に工場更衣室でおこなわれた。複数の受刑者が全裸になって並び、刑務官が目視するというものだったとされる。ただ、2016年11月21日以降は受刑者を全裸にしてはおらず、パンツ1枚を着用しての検査をおこなっていたという。

日弁連は、「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(刑事被収容者処遇法)」や「国連被拘禁者処遇最低基準規則(マンデラ・ルール)」など(注)を根拠に、陰部検査や全裸の身体検査は「受刑者の人格権を侵害し、羞恥心を害し個人の尊厳を損なうもの」であるとし、すべての受刑者に一律にこのような検査をおこなうことのないよう勧告した。

また、パンツ1枚での検査についても「受刑者の羞恥心を害し個人の尊厳を損なうもの」であるとし、態様を改めるよう勧告した。

●今後は法務省などに参考資料として送付

川上詩朗弁護士(日弁連人権擁護委員会委員長)は「受刑者に対して一律にこのような検査がおこなわれており、侵害態様が極めて重大である。他のところでも同種のことがおこなわれているかもしれない」とし、日弁連としてしっかり調査をして意見を述べるべきという観点から調査をおこなったと説明した。

勧告書は大阪刑務所のみに送付されたが、今後は法務省や全国の刑務所などにも参考資料として送付する予定だという。

勧告書の全文は、日弁連のサイト(https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2021/210105.html)に掲載されている。

(注) たとえば、「刑事被収容者処遇法」75条1項は「刑務官は、刑事施設の規律及び秩序を維持するため必要がある場合には、被収容者について、その身体、着衣、所持品及び居室を検査し、並びにその所持品を取り上げて一時保管することができる」と規定している。

また、「刑務官の職務執行に関する訓令(法務省矯成訓第3258号)」20条は「刑務官は…(略)できる限り、被検査者のしゅう恥心を損なわないように配慮しなければならない」としている。

「マンデラ・ルール」では、裸体検査などは「絶対に必要な場合にのみ」おこなわれるものとしている。

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