1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

「政府も野党も何してたんだ」 再び発令された緊急事態宣言に倉持麟太郎弁護士が警鐘

弁護士ドットコムニュース / 2021年1月8日 11時39分

しかし、その店名の公表が、「あくまで要請にとどめ、市民同士の相互監視と同調圧力で自粛を調達しよう」という政府の姿勢によって、今現在は社会的に非常に強いペナルティとして、行政指導を事実上強制するような手段になるのではないでしょうか。

このことは、「行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない」と規定する行政手続法32条2項の趣旨にも違反しているのではないでしょうか。

今回のような要請をするのであれば、責任の主体を明らかにし、事後的に法的な検証ができるように処分性を伴ったものにすべきです。公表についての政令改正ではなく、国会での議論を経た法改正で実行すべきでしょう。

また、そもそも店名(施設名)の公表は、広く国民に情報提供する手段として特措法に定められたものとされています。今回は明らかに制裁目的に転用されており、この点も問題あると思います。

——店名が公表された場合、飲食店側が法的に争う手段はあるのでしょうか。

裁判などで公表を取り消せるかどうかは議論あるところですが、仮に取り消すことができるとしても、1年後に実現では事実上、無意味です。実効的な救済手段とはいえないでしょう。だからこそ、現時点で、より慎重であるべきといえます。

——店名の公表というペナルティを伴う自粛要請は、感染拡大防止対策として合理的な手段なのでしょうか。

今回の要請は、店側の「営業の自由」に対する直接的な強い制約ですし、一定の地域の飲食店という特定の対象に対しておこなわれている点、他業種・他地域との関係で「平等」な扱いなのかという問題もあると思います。

それら法的権利に対する今回の制約(手段)が、コロナ対策という目的と実質的関連性があるかというと、実効性を証明することが難しいこともあり、法的には合理的な手段といえない可能性が十分あるのではないかと思います。

コロナ対策の必要性ばかりが肥大化しており、対策における具体的な手段の相当性(許容性)に関する議論が極めて乏しい状況です。コロナ対策が必要なのは間違いありませんが、適切な手段でおこなわれているかどうかの議論・検証をもっと緻密におこなうべきです。

前回の緊急事態宣言から今に至るまで、一定の時間・猶予があったにもかかわらず、そこの議論が十分にされなかったことも問題でしょう。自分もそうですが、法律の専門家である弁護士などがもっと声をあげるべきだったとも思います。

●罰則を課す手続きについてもっと議論すべき

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング