今後増えるかもしれない「嘱託殺人」 普通の殺人と「罪の重さ」はどう違うのか?

弁護士ドットコムニュース / 2014年2月26日 15時16分

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夫を海に突き落として溺死させた疑いで、妻と知人の男が2月中旬、神奈川県警に逮捕された。報道によると、多額の住宅ローンなどを抱えた夫が、自ら入った4社計約1億円の生命保険金のため、妻らに殺害を依頼したとみられている。

そのような見込みのもと、警察は、妻と知人を「嘱託殺人」の容疑で調べているのだという。知人の男は容疑を認め、「金がないから死にたいと殺害を頼まれた」と供述していると、報じられている。

今回問題となっているこの「嘱託殺人」という犯罪は、通常の「殺人」と、どこがどのように違うのだろうか。また、今後、嘱託殺人が増える可能性があるというが、それはなぜなのか。刑事事件にくわしい神尾尊礼弁護士に聞いた。

●「老老介護」や「自殺サイト」が嘱託殺人の典型

「嘱託殺人というのは、人から『自分を殺してくれ』と依頼を受け、その依頼者本人を殺すことです。

最近では、次の2つの場合をよく耳にします。

1つ目は、いわゆる『老老介護』の事案。難病で寝たきりの妻が『殺してくれ』と頼み、夫がその頼みを聞いて妻を殺害する場合などです。

2つ目は、『自殺サイト』の事案。自殺志願者が裏サイトに『自分を殺してくれ』と依頼し、その書き込みを見た人が自殺志願者を殺害するような場合です」

このように神尾弁護士は説明する。この嘱託殺人は、普通の殺人と比べて、処罰に違いがあるのだろうか?

「嘱託殺人は、普通の殺人と比べ、法定刑が軽減されています。普通殺人が『死刑または無期若しくは5年以上の懲役』なのに対し、嘱託殺人は『6月以上7年以下の懲役または禁錮』です。

軽減される理由には、さまざまな説があります。一例を挙げると、被害者が自分の命を放棄している以上、その願いを叶える行為が、普通の殺人と比べて同じほど悪いとはいえない、といった説明もあります」

●殺してくれという依頼がその人の「真意」かどうか

「ところで、嘱託殺人には、普通の殺人と区別が付きにくいケースが存在します」

神尾弁護士はこう指摘する。どんなものだろうか?

「たとえば依頼者が、病気で苦しんでいるなど、正常な判断ができるかどうか不明な状態で『殺してくれ』と依頼した場合ですね。

このような場合は、『依頼が真意に基づいているかどうか』が論点になります。つまり、真意に基づいて依頼していれば嘱託殺人、そうでなければ普通の殺人となりますが、被害者の当時の精神状態を正確に理解するのは難しく、かなり微妙な判断となります。

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