セクハラでうつ病、パワハラによる適応障害…休職や退職する事例も 労災と認定される?

弁護士ドットコムニュース / 2021年2月3日 9時56分

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職場でセクハラやパワハラの被害を受けることは、誰にとっても、ショックが大きいはずです。被害を受けたとき、大企業であれば、職場の配置転換も可能かもしれません。ただ、それが認められない、異動先がないなど選択肢がないケースでは、被害者の苦悩はさらに深まります。

中には、ハラスメント被害によるうつ病や適応障害と診断され、休職や退職を余儀なくされる人もいます。

弁護士ドットコムにも、「上司のセクハラが原因で、うつ病を発症した」という女性が相談を寄せています。相談者は会社に相談し、この上司は退職させられることに。しかし、上司がいなくなった後も相談者の体調は良くならず、最終的に働くことも困難になり、退職せざるを得なくなったといいます。

もし、セクハラやパワハラの被害にあった場合は「労働災害」として認められるのでしょうか。寒竹里江弁護士の解説をお届けします。

●「労働災害」と認められる事案はある

ーーセクハラやパワハラによる「うつ病」「適応障害」が「労働災害」と認められることはあるのでしょうか。

はい、「労働災害(労災)」として認められる事案はあります。

その条件として、まず当該セクハラ・パワハラ行為が立証され、認定されていることが前提となります。その上で、当該セクハラ・パワハラ行為と「うつ病」「適応障害」の疾病との間に因果関係が認められることが必要です。

そして、この「因果関係」を認定する上で、一つの基準となるのが「発症前約6カ月間の業務内容やセクハラ・パワハラ行為の存在と内容」です。

ーーなぜ、「6カ月間」という期限があるのでしょうか。

当該セクハラ・パワハラ行為が認定されても、その後1年以上とか数年とか長期間を経て「うつ病」等の疾病が発症した場合、専門医でも因果関係を診断するのが困難となるという理由が挙げられます。

当該セクハラ・パワハラ行為が疾病の原因ではなく、発症のより近い時期の、私生活上のストレスなど(家族・友人関係や環境変化等)別の原因が、発病原因ではないかと疑われる余地が出てくるためです。

ただし、「発病・発症前約6カ月」というのは基準の一つに過ぎません。その基準を満たさない場合でも、別に因果関係を立証・認定し得る事実や証拠があればその限りではありません。

また、「労働災害補償保険」に関しても、セクハラ・パワハラ行為による「うつ病」「適応障害」による休職や退職が保険適用の対象となる余地はあります。

●因果関係の立証が困難な場合も多い

ーー実際に、労災として認めてもらうのは難しいのでしょうか。

近年、セクハラ・パワハラ問題や「うつ病」等の精神疾患と労災の関係も以前に比べれば注目され、認められる可能性が高まってきました。

しかし、精神疾患は「職場で作業中に機械に挟まれて骨折した」などの事例と比較すると因果関係の立証は困難な場合が多いため、未だ認定までには困難が伴うことが多いのも事実です。

(弁護士ドットコムライフ)

【取材協力弁護士】
寒竹 里江(かんちく・りえ)弁護士
東京弁護士会所属 労働事件(セクハラ・パワハラ等の問題や不当解雇等含む)・医療事件・企業法務(人事・雇用問題等)、その他、多方面の案件を手がけています。
事務所名:弥生共同法律事務所
事務所URL:http://www.yayoilaw.jp/

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